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刑法#49 その他・補足
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強制執行妨害目的財産損壊罪
→保護法益は債権者の保護と強制執行の適正な運営である。前者は個人的法益、後者は国家的法益である。
→債権の存在が本罪成立の要件である。
→強制執行には、仮差押え、仮処分の執行を含む。
→目的犯、すなわち強制執行を免れる目的を要する。
→また、抽象的危険犯であり、財産の隠匿をすればそれだけで既遂となる。つまり、現実に強制執行を免れたかどうかは関係がない。
→罰金刑は対象だが、滞納処分は国税徴収法に規定があるため対象外である。
強制執行行為妨害罪
→抽象的危険犯
談合罪
→公契約関係競売等妨害
→抽象的危険犯
→必要的共犯。事実上有効に自由競争を阻害する協定がされれば成立する。入札者以外の者であっても協定に影響があれば本罪は成立する。
逃走
→主体は裁判の執行により拘禁された既決または未決の者。すなわち、身分犯である。未決とは被疑者や被告人のこと。
→これは現実に刑事施設に拘禁されている者であり、仮釈放中やこれから刑事施設に引き渡される者は含まない。ただし、拘禁中で移送されている者はこの限りではない。また、少年院は刑事施設ではない。および、単に逮捕状を執行された者も含まない。
→逃亡のうち、暴行や器具破損、脅迫、通謀などがあれば加重逃走となる。また、勾引状の執行を受けたものも含む。
【コラム 勾引状】
勾引とは、被告人や証人などのうち、出頭命令などがあるにも関わらず正当な理由なく出頭しない者を公権力にて出頭させることである。執行には勾引状の発行が必要である。そして、これが発行されていて98条の要件を満たすと加重逃走が成立しうる。
業務上過失致死傷罪
→実際に反復継続がなくとも、継続する意思があれば、その行為は本罪成立要件の「業務」として認められる。
→業務は危険である意味を含む。よって、自動車には認められて、自転車には認められない。
公然わいせつ罪
→公然とは不特定、多数人が認識しうる状態におくこと。よって、複数人の集まりなどは対象とならない。
→現実に認識できたことを要しない抽象的危険犯である。
→なお、わいせつ映画を上映した場合らわいせつ物陳列罪となる。映画のフィルムは静止画の集まりだからである。
わいせつ物頒布等の罪
→電磁的記録に係る記憶媒体に音声が含まれる。
→映画の上映も含まれるが、公然陳列という。
→頒布とは通説では有償、無償を問わない。また、所持は日本国内での販売目的のことをいう。したがって、外国へ輸出目的の場合ら本罪には該当しない。保護法益は我が国の健全な性風俗の維持であるため。
強制わいせつ・強制性交等罪
→13歳未満の場合は暴行や脅迫がない場合でも成立する。しかし、犯人が13歳以上と誤信していれば事実の錯誤であり、本罪の故意を阻却する。
→もちろん男性を客体としても成立する。
賭博罪
→賭博とは当事者の任意に左右できない偶然の事情にかかる勝敗により財物の得喪を争うことである。したがって、詐欺麻雀などはあくまで、刑法上は賭博ではなく詐欺である。
→保護法益は健全な経済的風俗の維持であり、それを侵害すれば既遂となる。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①強制執行を妨害することを目的として財産の所有関係を不明にしても、その財産の所在が明らかであれば、強制執行妨害目的財産損壊等罪は成立しない。
→✕ 現実に強制執行を受けるおそれのある状態で、強制執行を免れる目的で財産の隠匿等の行為をすれば既遂となる。すなわち、目的犯かつ抽象的危険犯である。
②少年院に収容されている少年数名が共謀のうえ、少年院の窓を壊して逃走した場合、加重逃走罪は成立しない。
→◯ 少年院は刑事施設や拘禁場ではない。
③自転車を運転中に誤って人にぶつかりけがをさせた。業務上過失致傷罪が成立する。
→✕ 業務とは危険な業務という意味であり、自転車においては過失致傷罪が成立する。