民法#16 虚偽表示②
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虚偽表示①
94条1項通謀虚偽表示
→内心的効果意志と表示行為が異なっている。つまり、外観と本心が違うということ。
よって、心裡留保や虚偽表示を「意志の不存在」という。
→通謀虚偽表示に対して心裡留保を単独虚偽表示ということがある。文字通り、前者は当事者複数人が意志の不存在の状態にあるが、後者は独りだけである。
94条2項の第三者の範囲
→通謀虚偽表示は善意の第三者に無効を主張できない。
→善意の第三者から無効を主張することはできるし、善意の第三者がいても、第三者が主張しない限り、当事者間では当然無効である。
→第三者は過失があっても善意であれば保護される。また、登記もいらない。
※S42.10.31
仮装譲渡者から土地を譲受した者が転売し、その者は善意である。これを甲とする。また、仮装譲渡者が乙に土地を譲渡した。この場合は甲乙は対抗関係であり、この場合は登記の先後により所有権が帰属する。
94条2項の第三者とは
「当事者又は一般承継人以外の者で虚偽の外観により新たに独立して法的な利害関係人を有するに至った者」である。これを前提に下記の場合を考える。
①不動産虚偽売買後に、虚偽売買の不動産に抵当権の設定を受けた者
→虚偽の売買をみて取引をしたので第三者にあたる。
②不動産虚偽売買の後に当該不動産を差し押さえた者
→虚偽の外観をみて差し押さえたわけなので第三者にあたる。
③不動産虚偽売買の譲受人の一般債権者
→不動産虚偽売買の外観をみて、何か取引をして法的な利害関係を得ているわけではないので、第三者ではない。
④仮装債権の譲受人
→第三者にあたる。
⑤仮装債権を取り立てのために譲り受けた者
→取立権限では第三者とは認められない。
⑥通謀虚偽取引された土地に譲受人が建物を建築し、その賃借人
→建物には利害関係を有するが土地にはないため、第三者ではない。
⑦賃借している土地の上に建物を所有している者が、その建物を通謀虚偽表示で虚偽売買した場合、土地の賃貸人
→土地と建物は別なので第三者として認められない。
⑧仮装の債権譲渡がなされた場合の債務者
→虚偽の外観において何か利害関係を得たわけでもないので第三者ではない。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答ください。
①通謀虚偽表示において、善意の第三者が対抗するためにはその善意を第三者が証明しなければならない。
→◯
②単独虚偽表示の相手方が、表意者の真意について悪意だったときのみ、無効となる。
→単独虚偽表示とは心裡留保のことである。心裡留保は原則有効であるが、相手方が悪意か過失がある場合に無効となる。
【コラム 意思の欠缺と瑕疵ある意思表示】
前者は意思無能力者の意思表示、心裡留保、虚偽表示、表示の錯誤がある。そもそも効果意思と表示行為が一致していない。
後者は動機の錯誤、詐欺、強迫がある。効果意思と表示行為は一致していても成立のプロセスに問題がある。
③仮装の債権債務関係をつくり、仮装債権者はさの債権を善意の第三者に債権譲渡した。この場合、仮装債務者は無効を第三者に主張できる。
→✕ 通謀虚偽表示の当事者は第三者に対抗できない類型。
④ある債権を仮装で譲渡した。その場合、債務者は無効を主張することができる。
→◯ 通謀虚偽表示の無効は誰でも主張することができる。ただし、仮装の債権譲渡の債務者は94条2項の第三者にはあたらないため、当事者から無効を主張した場合に対抗できない。
⑤賃借された土地の上に建築された建物につき仮装の売買がされた場合、売買の当事者は土地の賃貸人に無効を主張することができる。
→✕ この場合、土地の賃貸人は94条2項の第三者にはあたらない。
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