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民法#90 先取特権③

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不動産の先取特権間の順位


①不動産の保存
→保存行為がされて直ちに保存登記をしなければならない。
→不動産に関する権利の保存においてもあてはまる。※不動産の先取特権は修繕費用の他に不動産に関する権利の保存においてもあてはまる。

②不動産の工事
→工事の前に登記をしなければならない。
→先取特権行使の時に不動産価格の現存がない場合は先取特権は生じない。
→実際の工事の費用が工事をはじめる前に登記した費用の予算額を越えるときはその超過額については、先取特権は生じない。
③不動産の売買
→利息が不動産売買の先取特権の登記事項となる。
→不動産の売買の先取特権についてら売買と同時に登記されなくてはならない。
→同一の不動産につき売買が順次された売買は売主相互においては先取特権の優先権の順位は売買の前後となる。

【コラム 不動産の先取特権と順位の競合】
 不動産の先取特権において、不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権については登記の先後によらず優先する。なお、この2つについての競合としては不動産保存の先取特権が優先する。
 一般の先取特権(共益費の先取特権は除く)、不動産売買の先取特権、抵当権については登記の先後により順位が決まる。
 なお、登記されない抵当権は一般の債権と同じ扱いである。

抵当権の規定の準用


→不動産の先取特権において抵当権の準用がある。同じことが不動産質権にもあてはまる。
→消滅時効や優先弁済の範囲が元本および利息などの最後の二年のみというような規定が準用の例となる。
 

問題演習

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①一般の先取特権を有する者は、債務者の不動産について他の債権者が差し押さえの登記をする前に先取特権の保存の登記をしなければ、その債権者に対抗することができない。

→✕ 不動産の先取特権とは違って、一般の先取特権は未登記であることが多い。なお、登記のある抵当権者には対抗できない。

②同一の不動産について順次売買があったときの売主相互間の不動産売買の先取特権の優先権の順位は売買の前後による。

→◯ 先の売買による先取特権が後のものに優先する。

④一般の先取特権を有する者は、債務者の不動産について先取特権保存の登記をしなくても、債務者からその不動産を譲り受けてその旨の登記をした第三者に対抗することができる。

→✕ 一般の先取特権は、不動産について登記をしていなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては対抗できない。

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