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カルト宗教の構造『統一教会 性・カネ・恨から実像に迫る』櫻井義秀

筆者は宗教社会学の教授ということで、
これはいいけど、あれは問題がある
というラインがマスコミや世論と違っていて、ある意味公平。
本で読めてよかったなと思った。

信仰の自由は憲法で保障されている。個人がどんな宗教を信じても自由である。だが宗教側も信者や勧誘相手の信仰の自由を守らねばならず、相手が親しい人と相談できない状態や衰弱している状態(セミナーとか)で信仰を迫ってはならない。

これがすごくすっきりした見解だと思った。

統一教会がもともとどういう教義で、日本でどうやって信者を増やしたのか、セミナーでどんな洗脳が行われているのか、集金方法、犯罪を含めたトラブル、等々。
本当によく調べられていると思った。

私の印象だと、韓国での統一教会は、スケベ教祖のキリスト教フレーバーの異端教だ。そして、コングロマリット宗教という巨大企業(経済団体)の側面。

文鮮明はキリストの生まれ変わりで、独身で亡くなった人生の続きをしなければならないので、
まず6人のマリアを娶る。
えぇぇぇぇ……
そして、その聖なる血は男女の関係をもつことによって広まるので、文鮮明と関係を持った女性たちを男性信者と結婚させたことが、合同結婚式のはじまり。
(ドン引き)
韓国で有名になったのも、女子大で何か騒ぎが起きたから。

いっぽう、日本で過度な献金で苦しんでいるのは真面目そうな人たちだと思う。
日本の信者に対して、教会は金づるになることしか求めていない。なので、お金を集めやすいようにあっさり教義の解釈を一部変更したりしている。

文鮮明は韓国が植民地にされていた時代に日本人から苛烈な拷問を受けて、復讐として日本人を利用するという考えだ。


その後の布教やお金を生み出す方法で、人の気持ちをコントロールする方法もすごい。
相手の手の内や作戦を知り、自己防衛をするためにも読んでよかったと思う。

どうも、孤独につけこまれるみたい。
1970年代におもに入信した人は田舎から上京した学生で、田舎のコミュニティから外れて友達がいないときに誘われた。
女性で狙われやすかったのが看護師で、休みが友達と合わないので関係が分断されがちな上、当時の女性としてはお金持ってる。
現在狙われやすいのが高齢者で、子供が独立してパートナーに先立たれたりした後、人生にクヨクヨしているときに占いとかで誘導される。お金持ってる。

それから
宗教って、いいことをするというのが基本だと思うけれど、押し売りや強引な勧誘(あきらかに悪いこと)を教会の指示でさせられて、信者の心の中ではどういう論理なんだろう
ということの説明もされていた。

論理って合理的に見えて、実は力技で何とでもなるよなぁ、と思った。

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