実家から帰る時、私は母とハグをする そんなに頻繁に帰れるものでもないけれど どこか名残惜しいからなのか いつから始まったかも怪しいくらい 理由は特にないと思う でも、私は母とハグをする 会う度に白髪が増えて ハグをする度に細くなった母を感じる 私の背が伸びたからかもしれない でも、あれ?こんなに小さかったっけ と実感してしまう 私より大きくふわふわしていた母の手は 少し筋張ってきたかもしれない 母のぱっちりとした二重は三重になってきた そんな母がどこか消えてしまいそうで時々
ある日から眠れなくなった プツンと糸が切れたかのように、生きるのがしんどくなった ご飯を食べる気力も無くなった お風呂にも入れなくなった ベッドから起き上がる力も無くなった 漠然と死にたくなった でも、死ぬ力が出なかった そんな日々から抜け出したくて夜中に近くの精神科を調べた 1番上に出てきた病院に行くことにした 重い身体を引きずって、次の日には病院へ行った 大好きだったコートが、果てしなく重く感じた 久しぶりの電車は、吐き気がした 人と会うのに動悸がした 受け取ったペンは
真っ暗闇な部屋にひとり 毛布に包まって壁に寄りかかりこの文を書いている 暗闇に呑み込まれそうで眠れなかった 身体は疲れているはずなのに 足先から指先までポカポカしてきたはずなのに ベッドに沈む前には『あ、今日は眠れそう』って思えたはずなのに 眠ることを許されていないみたい 眠らないことを罰とされているみたい 私の脳みそは、まだ眠りたくないみたい また涙が勝手に流れてきた 頬を伝う水は、あつかった カーテンの隙間から光が射すまで観察することにしよう まだ、私はがんばれる
秋の香り金木犀 金木犀の香水もよく見かけるようになった 金木犀をモチーフにしたアクセサリーも出てきたりして秋を感じる でも、帰り道にあった金木犀が散った 激しい雨でほとんど地に落ちてしまった 金木犀の絨毯ができていた 匂いもしなくなった 秋の訪れが散った どこか寂しい それでも、あっという間に冬が来る 私は、冬の香りが待ち遠しい
眠れない夜には明日のおやつを考えよう 数段のパンケーキを作るんだ ふわふわのパンケーキ あまい甘いパンケーキ 四角いバターも忘れないで メープルシロップなんかもかけちゃったりして バニラアイスを乗せるのもお洒落じゃない? 幸せのパンケーキ よく言ったものだなあ
また、朝日が昇るのを眺める夜になりそうだね 何度寝返りを打っただろうか 何匹の羊を数えただろうか 何度過去を振り返っただろうか ふと溢れ出す涙は、どんな理由があるのだろうか 死にたくなる夜は、あと何回あるのだろうか 生きてていいのかな 生まれ変わったら海月になりたい 波に乗って海外を回るのもよし 考えすぎず、ゆらゆらと波に身を任せるのもよし 水族館で人を魅了するのもよし 綺麗にライトアップされたりちゃって そして、死ぬ時は溶けて無くなりたい 跡形もなく綺麗に もし、死に