食品添加物の誤解を解く!グリシン(編)
時代の流れとともにイメージが良くなる食品添加物が有る
食品業界に長年勤めている間、こんなにもイメージが変わった食品添加物も珍しい。その中の代表格が「グリシン」。私が社会人になった30年以上前、グリシンは日持ち向上剤として世間のイメージは最悪でした。食品メーカーの商品開発者達と商談していて、もはっきりと「グリシン」以外イメージの良い日持ち向上剤は無いのか?もしくは表示をしなくても日持ち向上出来る食材は無いのか?とよく質問を受けていました。
それが今やどうだろう、グリシンは安眠の為の健康食品として大人気です。別にグリシンはグリシンとして今も昔も何も変わっていないのにw
この変化には、実は食品添加物のイメージを良くしようとする日本の企業努力(アミノ酸メーカー、特に味の素株式会社)が背景に見え隠れします。
「グリシン」は身体を構成する大切なアミノ酸
人間の身体を構成する成分の一つがアミノ酸。アミノ酸が複数以上繋がっているものがタンパク質。アミノ酸は約500種類あるが、人間の身体を構成しているのはその内たった20種類のアミノ酸。その20種類の中の一つが実は「グリシン」。グリシンは人間が生きていくのには欠かせない物質なのです。
(ただ、20種類のアミノ酸は、体内で合成出来ないアミノ酸「必須アミノ酸」と、体内で合成できるアミノ酸「非必須アミノ酸」に大別でき、グリシンは「非必須アミノ酸」で有る事は以下の文章でもとても重要な事なので追記しておきます)
つまり、グリシンは毒でも、身体に悪い何だか不安なものではない事は理解頂けたと思う。逆に人間が生きて行く為には必要不可欠な物質(アミノ酸)なのです。
何故アミノ酸の「グリシン」が食品ではなく食品添加物なの?
普段何も意識せず毎日食べている加工食品。意外?ですが日本人の健康を守る目的で厚労省は影働きをしているのが事実です。食品衛生法では、食品添加物は「食品の製造過程に使用されるものや、食品の保存・加工に必要な物質」として定義しいます。
つまり、栄養成分としてではなく、食品の保存性や品質改善を目的として添加される物質は、たとえ天然由来や生体内成分であっても「食品添加物」に分類されています。
グリシンは単体で、例えば日持ちを向上させる為に添加する場合は保存として使用しているので食品添加物となる訳ですね。
「グリシン」の安全性と特徴
グリシンは基本的に安全な物質(アミノ酸)です。今まで読んで頂いた方なら既に凡そ理解頂けているかと思います。
グリシンのLD50(一気に食べた時半数の生物が急性毒性で死ぬ量)は、マウスで4.92g/kg
70㎏の人間が一気にグリシンを344.4gを一気に飲み込む(大さじで約350杯一気に飲むのは不可能だが)と50%の人が死んでしまいます。
グリシンは多くはコンビニのおにぎりやシュークリームなどに使用されています。例えば200gのおにぎりに0.5%グリシンが添加(使用)されているとすれば、一気に約340個のおにぎりを食べると50%の確率で死ぬことになりますが、一気に約340個のおにぎりを食べる事は無理ですねw
おにぎりの重量でなんと70㎏。自分の体重と同じぐらいの重さのおにぎり食べれませんよね。
そんな安全なグリシンですが、食品添加物としては以下の用途で使用されています。
1. 日持ち向上として
グリシンには抗菌作用があり、食品中の細菌やカビの繁殖を抑える働きがあります。これにより、食品の保存期間を延ばし、品質を保持することができます。
2. 風味改善
グリシンはアミノ酸の一種で、ほのかな甘みと旨味を持っています。これにより、食品の風味を向上させるために使用されることがあります。
3. 品質保持
グリシンは食品中の酸化を抑える働きもあり、特に肉製品や魚介類の変色や劣化を防ぐために使用されます。
4. pH調整剤
グリシンは食品の酸味やアルカリ性を調整し、製品の安定性を保つために役立ちます。
5. 調湿作用
グリシンには水分を保持する特性があり、これにより食品が乾燥しすぎるのを防ぎ、食感を保つことができます。
ほのかな甘みがある為、味に影響を与えない。又保湿効果も(食品が乾きにくくなる)あるの。ただ強烈な保存効果はないので、冷蔵流通品の「おにぎり」や「生洋菓子(特にシュークリーム)」そして「かまぼこ」に特に多く使用されている訳です。
これは冗談ですが、だからと言いてシュークリーム沢山食べたら安眠できるとか思わないで下さいねw
安眠効果は3g摂取が推奨されているので、シュークリーム数十個一気に食べないといけませんw不眠より、他の病気になるかも知れないので絶対にしないで下さいねw
グリシンの危険性
ここまで読んで頂ければ、普通の食生活を続け、大量に摂取しなければ安全なんだと理解頂けたかと思います。又グリシンには習慣性の報告は有りません。
一部、妊娠中や母乳授乳期、統合失調症の治療薬であるクロザピンを服用している場合、大量の摂取(安眠目的の大量摂取)など注意する必要があるとされていますが、偏食をしない限り殆ど問題が無いと言えます。
食べる事は命をつなぐ行為
食べるのは「美味しく、楽しく、安全に」が大切。
神経質になる前に、暴飲暴食をせず、幸せな食生活に心がけましょう。
以上
ここまで読んで頂き有難うございます。
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