Booking.com未払い問題
Booking.com 未払い問題が話題になっている。
一部の宿泊施設では提訴したというニュースも流れた。
この問題、何故か比較的小規模な宿泊施設が
「これでは従業員の給与も払えない。」「取引業者への支払いが出来ない。」
と苦しんでいるようであるが、大手ホテルなどが提訴したという話は聞かない。
これはどういうことなのか?
私の推察であるが、多分こういうことだと思う。
小規模な宿泊施設、仮に10部屋だったとしよう。
月に10×30(もしくは31)で300室を販売することが理論上可能である。
この300室の販売を全てBooking.comに委ねていた。
そして、予約方法は大きく分けて事前決済か現地決済かになるのであるが
現地決済はCXLが煩わしい(後述する)ので、事前決済のみの
予約しか受けないように設定しておいた。
一ヶ月間ずっと満室だった場合で計算すると、1部屋の販売価格が¥30,000だった
場合、¥9,000,000の売上を作ることが可能であるが、これが全てBooking.comの
事前決済だった場合、その ¥9,000,000から販売手数料(12‐15%)を引いた
¥8,000,000弱が振り込まれない為、にっちもさっちも行かなくなっているんだと思う。
先ず、現地決済も受けるように設定すれば、そのリスクは理論的には半減する。
しかし、ことはそう単純では無くて、Booking.comの現地決済のCXL率は
非常に高く、50%を軽く超える。
CXL規定に応じて、CXLになってもCXL料を
落とすことも出来るが、これにはBooking.comは、何の力も貸してくれない。
予約が入ったときに、ゲストの情報が施設に流れる。
その際にはゲストのクレジットNOも記載されている(海外OTAの場合、クレジットカードNO無しでは予約は出来ない)。
しかし、その情報の中でクレジットカードNOだけは
5日間できれに消えて無くなるのである。
個人情報保護の意味なのか?
つまり、予約が入った段階で、全てのゲストのクレジットカードNOをドキュメント
しておかないと、CXLになった場合もCXL料を落とすことが出来ないのである。
CXLの中でもひどいのがノーショーで、これは何の連絡も無く来ない!
というものである。
当然100%の金額を請求出来るが、上記のような手順を踏んでいない限り、手も足も出ないのである。
私は26部屋の旅館を、6ヶ月連続で稼働率100%超えを達成したことがある。
なぜ、100%では無くて100%超えなのか、、、
これは、Non Refundable つまり返金不可のプランを割引価格で設定することで
その予約をしたゲストが、仮にCXLした場合でも施設にお金が入るわけである。
これが、結構CXLになるのだ!そして、その部屋を再販することで100%超えが可能になるわけである。
私は、海外OTA3社 Booking.com, AGODA, Expedia の特徴を理解し、
それをうまく使い分けてコントロールしていた。
話を小規模の施設に戻し、その施設がBooking.comだけでは無く
AGODA, Expedia との契約していたとすれば、リスクは1/3となり
また、事前決済と現地決済を両方設定すれば更にリスクはその半分の1/6と
なり、上記の¥8,000,000未収が、¥1,333,333まで減らすことが
出来たのである。あくまでも計算上ではあるが、、、
なぜ、それをしなかったのか?
理由はそれぞれあると思うが、一番可能性が高いのが
手間が煩わしい!ということだと思う。
大手ホテルでもBooking.comの未払いは起こっているが、全体の売上の
中での比率が1/10とか1/15 というような比率だと思われ、
まあ、遅れても払わないということは無いだろうからもう少し様子を見よう、、、
というスタンスなんだと思う。
このBooking.comというOTA,世界一の売上でパワーもあるが、私個人としては、一番リスクが高いOTAという認識で、それを踏まえてコントロールしていた。