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青い鳥を探して

チルチルとミチルが幸せの青い鳥を探しに旅をする、メーテルリンクの
「青い鳥」のお話。
小さい頃の私のお気に入りの絵本で、毎晩「これ読んで!」と母にせがんだものでした。
いつしか絵本を卒業し、思い出すこともほとんどなくなって押入れの奥にしまわれてしまった「青い鳥」。
こんな形で思いだすことになるなんて、思ってもみなかった・・・


あきこさんは24歳。大学を卒業したもののなかなか就職が決まらず、派遣やバイトを探しては働く日々を過ごしていました。
実家から仕事に行くことができるため、今の収入で困ることはありませんが、もっとやりがいのある仕事、正社員での仕事、華やかな仕事へのあこがれはないといえばウソになります。

でもどこかであきらめてしまっている自分もいるのです。

先々のことを考えると、このままの生活がすごく不安に感じることもあります。しかし日々の仕事や職場での人間関係、友達との関係、親との関係…
目の前のことに精いっぱいで、遠い将来のことを具体的に考えるなんて思ってもみなかったのです。

毎日が、ただなんとなく過ぎ、これまでもそしてこれからも、ただ淡々と
過ぎていく。大きなわくわくもない代わりに大きなリスクもない。
我慢できないことはないが、面白みもない毎日。

「何かいいことないかなあ。」
「つまらない。」
「仕事、やめたいなあ。」があきこさんの口ぐせになっていました。

職場の同僚と飲み会、友人たちとのおしゃべり、楽しいひと時であるはずなのに、ついついぐちが出てしまい、まるで不幸自慢大会のようです。
「まだましだよ~」
「私なんかもっと大変。」
「あきこ、ぜいたくだよ…」

みんなこんな感じなのかなあ…
私だけが特別つまらない人生ってわけでもないみたいだし…
そんなことを思いながら毎日を繰り返していたある日のことでした。
どこかで見た気のする懐かしい風景。一体どこだったかな?
あきこさんが不思議に思っているとあきこさんを呼ぶ声がするのです。

「アキコ、早くしないと幸せの青い鳥が逃げてしまうよ!」
「早く見つけに行こう!」

そう言われてみると、あの懐かしい絵本の中から出てきたような男の子と
女の子が鳥かごを持ってあきこさんの手を引っ張るのです。
よく見るとあきこさん自身も絵本を読んでいた頃の小さな女の子に戻っているではありませんか!

二人に手を引かれるままに駆けだすあきこさん。
とまどいながらもなんだか、気持ちまでわくわくしています。
思わず、右手を高く差し出し、虹の彼方を指さしながら叫んでいました。「きっとあそこにいるよ!幸せの青い鳥。早く捕まえに行こう!」
「私、絶対あそこまで行くんだ。なにがあっても青い鳥を見つけて捕まえよう!」
すると、男の子と女の子も言います。
「早く見つかるといいね。青い鳥。」

気がつくとあたり一面の白爪草の野原。あきこさんは懐かしくなり、座りこんで花冠を編み出します。


小さい頃、田舎のおばあちゃんの家に行くと、畑のあぜや野原にたくさんの白爪草が咲き、器用なおばあちゃんはあきこさんに花冠を作ってくれたものでした。
「あきこ、白い花冠がよく似合うねえ。大きくなったら真っ白な花嫁衣装を着ておばあちゃんに見せておくれ。きっときれいで世界一幸せな花嫁さんだろうねえ。」
そう言って目を細めてあきこさんを眺めていたおばあちゃん。
あきこさんが小学校の三年生の時、病気で急になくなってしまったおばあちゃんとその言葉を思い出し、あきこさんは鼻の奥がツンとしました。

「アキコ急がないと!青い鳥が逃げちゃうよ!」
その声にハッと我に返り、花冠をそっと下に置くと、あきこさんは言いました。
「待ってて、おばあちゃん。わたしきっと幸せの青い鳥を探してくるから!」

右手で指さした青い鳥の居場所を探して、3人はへとへとになるまで歩きました。雨や風で疲れた体が一層くたびれ、お腹はぺこぺこになり、くじけそうになることも何回もありました。
人のうわさに惑わされ、いくつもの場所を訪ね歩くこともしばしば。
親切心から、そう教えてくれる人もいれば、わざといない場所を教える
いじわるな人もいました。

長いこと青い鳥を探し続けていると、誰かが諦めかけそうになることもありました。
でもそうなると他の誰かが自然に「何があってもあそこまで行くって決めたじゃない!あきらめちゃだめだよ!」と励まし合い、少し休憩した後に再び、右手の方向を指さして歩き出すのです。
そうすると不思議なことに、また力が湧いてきます。
いつのまにか、目の前に困難に思えることがあっても、一度決めた「幸せの青い鳥を見つける」という目標があると、そこに行くためにどうしたらいいのか、困難を乗り越える方法を自然に考えるようになっていたのです。

今までのあきこさんだったら、目の前のことに不満ばかり持って、
「つまらない」「なんかいいことないかなあ」と受け身に思ってしまっていたでしょう。
…私は目の前にことに一喜一憂するばかりで、「私はここに向かいたい!」という人生の目標や夢を忘れていたのかもしれない…
青い鳥探しはあきこさんに見えなくなっていた「夢を見る力」を再び与えてくれたようでした。

そんな青い鳥探しにも終わりがくる時が来たようです。
遠い遠い彼方に思われていた虹のふもとにたどり着く日が来たのです。
3人はそっと鳥かごを持って、光を放っている虹の根元に近づいて行きまし

た。
「こんなにきれいなところだもん。きっとここに幸せの青い鳥がいるよね…」
そう話しながら手を伸ばした瞬間、光の洪水があふれ出しました…


きちんとしまっていないカーテンの隙間から眩しくて目がくらむような朝日が差し込んでいました。
どうやら、友達と飲んで帰った後、あきこさんは部屋にたどり着いたとたん着替えもしないままベッドに倒れ込んでいたようでした。

「青い鳥」のお話も結局幸せは身近にありましたが、あきこさんの青い鳥探しも答えは自分の中にあったようです。
幸せは誰かが与えてくれるものでも、向こうからやってくるものでもなく、そこを目指して行くうちに感じるものだったんだよね…
目指すものや夢を持っていれば、がんばる力も湧いてくるんだ…
そう思うと何だか、これから始まる普段の1日までなんとなく特別な日に思えてくるあきこさんでした。


(ちょっと一言)

イスが2つ並んでいます。
「私は自分を幸せにしたい(存在価値があり成功していい重要な存在だ)」
「私は自分を幸せにしない(存在する価値もなく成功できず重要でもない)」
あなたは、どちらのイスに座ってますか?

自分の存在や価値がないという気持ちがあればベクトルがそっちに向いてしまいます。感じ方・考え方・行動もそうです。

もしネガティブないすに座ってた、と思ってもがっかりしないで!
自分がそこにいた、と気づいただけで何かが変わりだします。
無意識が意識に上がってきたらセルフコントロールの第一歩です。
気づくって本当に大きな一歩!

ネガティブになってたなーと意識して(その時ダメだなーと責めないでね)感情と思考のぐるぐるを一回リセット。
ニュートラルに戻るのを意識してみて下さい。
しあわせの脳のネットワークができはじめますよ。

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