プラム、そして江國香織さん
目の前に、プラムがある。
おととい、農協の直売所で買ったもの。
サンタローザという品種らしい。
プラムを見つけると夏が始まる、
そうわたしに教えてくれたのは、江國さん。
手元に、2001年9月号「MOE」もある。
「総力大特集、人気No.1の女性作家を100%楽しむ 江國香織」の号。
(もう22年も前のもの!)
巻頭には書き下ろしの詩や作品も載っていて、何て贅沢な特集だろう。(それで、22年間大切にとってあるんだけど…)
33ページにも及ぶ江國さんの特集に、「人は食べたものでつくられる」と称して、個人的食品成分表なるものがのっている。
それによると、江國さんは果物からできている。(結婚後、江國さんのご主人がいちばんびっくりしたのが、果物の消費量だったというエピソードも…)
当時のわたしはびっくりして、ちょっと信じられなかったけれど、どうやら本当らしい。
前述のプラムのでてくるエッセイ・やわらかなレタスの中の「果物、果物、果物!」を読んだら、わかる。
熟れに熟れているものと、十分に熟れているけれどまだしばらくもちそうなもの、何日もかけてすこしずつ食べられるものや、常備している柑橘類。また夏には別枠として、できるだけ熟れていないプラムと、三日後に熟れて五日後までもちそうな桃を幾つか…を見極めながら果物を選ばなきゃいけないそう。
買い物だけでも大変だ。
毎週毎週大量に買う果物を、一つも腐らせず、なおかついちばんいい状態でたべることにとてつもない情熱を傾けて生きている江國さん。
ちょっと変。
「やわらかなレタス」が江國香織さんのエッセイ集の中ではいちばん好きかもしれない。
江國さんは、けっこう世間離れしてみえるけど、そのちょっと変なところを愛すべき一面として見せてくれる。
(それに美味しそうな食べものの描写もたくさん出てくる。読むと、とたんにその食べものがものすごく魅力的に思えてくるのは、なぜだろう。プラムもしかり。)
さて、このプラムだけど、暗い暗い赤になったら冷蔵庫に入れて冷やして食べることにする。
江國さんに習って…
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