白血病治療、拒絶反応と急性GVHD、慢性GVHDの話

前回慢性GVHDのお話をしたから、今さらですけど急性GVHDと慢性GVHD、それから拒絶反応のお話をしますね。
「急性と慢性どう違うの?」とか「そもそも拒絶反応とGVHDの違いは?」とか思われてる方もいるかと思って。
私自身、息子が病気になった時には何も調べたりせず看病、付き添いに専念していたので、入院中、主治医の先生とお話ししてる時「これは急性GVHDで…」とか「GVHDの影響ですね」とか言われてずっともやもやしていたから。

わかりやすいようにうちの最初の骨髄移植(娘の骨髄を息子に移植しました)を例にお話ししますね。

拒絶反応とは

移植の拒絶反応っていうのはよく聞くと思いますが、ざっくり言うと移植を受けた側(息子)の細胞が体に入って来た造血幹細胞(娘の骨髄液)を敵と認識して攻撃するみたいな感じです。

拒絶反応には発熱、倦怠感、吐き気、発疹、下痢などいろいろな症状が出るのですが、最悪なのは生着出来ないことなんですね。
生着っていうのは、移植された娘の細胞(造血幹細胞)が息子の骨髄の中で血液を作り始めることなんですけど、それが出来ないとなるともう一回移植を受けなければなりません。

GVHDとは

GVHDっていうのはその逆で生着した娘のリンパ球が息子の臓器を異物とみなして攻撃することを言います。
GVHDには急性GVHDと慢性GVHDの2種類があります。

急性GVHD

急性GVHDは移植後早い段階で皮疹などの皮膚症状や下痢などの消化器症状、肝臓の働きの低下で黄疸とかが見られます。

うちの場合、最初の移植は拒絶反応と急性GVHDのオンパレードでした。
発熱、吐き気、倦怠感に始まって、体の皮膚の至る所が赤くなって水疱が出来て潰れたり、そうこうしていると大量の水のような下痢がで始めておむつは余儀なくされる。
口内炎も出来ていたのでご飯もなかなか食べられなくて。口内炎って1個出来ても痛いじゃないですか。でも、それが口の中たくさん出来て…。それから出血性膀胱炎にもなったし、意識障害も出たし。

その後、髄外再発があって抗がん剤の追加もしたのでいろんな症状が混ざって…。
そこから慢性GVHDへ移行して行きました。

話が少し逸れますけど、髄外再発になった時に先生から「骨髄で働き始めたさくらちゃんの血液は太い血管にはたくさん流れるけど、毛細血管には届きづらくて。なので眼や睾丸なんかに蔵之介君のもともとの白血病細胞が集まって再発した感じですね」って言われました。

GVHDは続いていたし、そうかと思えば再発するから私は姉と「いやー、さくらの細胞もけっこう本気で叩きに行ってるけど蔵之介の細胞もなかなか諦めんね」って話したことです。

慢性GVHD


慢性GVHDは移植後3ヶ月以降に発症することが多いみたいです。皮膚、口腔粘膜、消化管、眼、肺、肝臓、筋肉、骨など、全身の広範囲な臓器に現れる可能性があって、例えば口腔粘膜では唾液が出なくなってドライマウスになったり味覚障害が出たり、眼だとドライアイになったり。

うちの場合は皮膚だと色が黒ずんだり硬くなっていたのが20歳過ぎても治ってなかったし、消化管ではご飯とか喉を通りにくくなっていたから味噌汁とか汁物を必ず一緒に食べてましたね。ドライアイで目薬はポケットに必ず入っていてどこかへ出かけた時も「あ、ちょっと待って」って言って秒でさして。完全に生活の一部になっていました。

そんなに日常生活には支障はないものの爪もガタガタでした。ガタガタだけならまだ良くて、真ん中で縦に割れたりしてるところも。これはまあまあ長い期間、皮膚科に通って夜寝る前の爪ケア用のオイルとかクリームをもらって毎日丁寧に塗って手袋はめて「なんか女子みたいやね」とか言いながらお手入れしてました。その後も抗がん剤治療やハプロや臍帯血の移植が続いたので最後まで治りませんでしたけど。

GVHDでもこんなふうに生活に支障がないものもある一方で、重症化すると命に関わることがあるものもあるので、早期に見つけて治療することが大事らしいです。

晩期合併症

また治療の晩期合併症で骨密度が低下して骨粗しょう症にもなっていて。移植のあと主治医の先生に聞くと「骨髄検査の時腰の骨に注射器をさすけど、蔵之介君の骨、最初の方は硬くて刺すのにすごく抵抗があったけど最近はスカッと入りますよ」って言われてました。どうりでラジオ体操で圧迫骨折とかするわけですね。

この他にも、低身長とか心不全とか不整脈、肝臓・腎臓の機能低下とか甲状腺機能低下、白内障も。他にも数え上げればきりがないぐらいいろんな症状が出て来ます。要するにどんな症状が出てもおかしくないってことですよね。
それにどれが急性でどこからが慢性かとかのはっきりした分かれ目があるわけではなくて、だんだん重なっていつのまにか慢性になってるってこともあるわけで。

うちの場合

2度目のハプロ移植の時はそこまでGVHDは酷くなくて、それよりもメンタルをやられてずっと泣いていたのでそちらの方の記憶が強いです。でも吐血したり血尿は出ていたので、それぞれ管は入れられました。味覚障害もあったしおむつは必須でしたけど。

最後の臍帯血移植の時には入院中、いろんな症状が出ましたけどその中でも心不全って言われた時はけっこう危険な状態が続きました。

その後退院してからは何事もなく過ごしてて、もうこのまま治って行くのかなと思ってた頃に閉塞性細気管支炎になって、真綿で首を絞められるように少しずつ少ーしずつ具合が悪くなっていって…。最後まで苦しめられていました。

こうやって改めて書くと、よくもまあこんなに病気がたくさんやって来たものだとある意味関心してしまいます。でも私は、実際症状が起きてる時は拒絶反応とかGVHDとかはどうでも良くて、それよりも出来るだけ早くこのしんどい状況が治まって欲しいと思っていました。

対して息子はというと、こんなふうに後から後から病気がやって来るけど、そのことで打ちのめされてるわけではなくて「え〜?また〜?」とか「しょうがないね」とか言いながら治療を淡々と受けていました。
ずっと治ることを信じて前を向き続けていたんだと思います。

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