白血病児への普通小学校の洗礼〜4年生編〜
小学校4年生の3学期から体験授業という名目で地元の小学校に何度か行きました。
その頃は一応寛解はしていたので、特別支援学級ではなく普通のクラスに入ることになっていました。
私もその時はついて行っていたのですが、息子は最初、生徒の多さにびっくりしていました。クラスは35人学級だったので、教室も後ろの方まで机が並んでいます。
今までの養護学校では同級生は自分ともう1人だけ。教室にも2人の机だけ並んでありました。もしかしたら1年生から6年生、全部合わせてもそんなにいなかったかもしれません。
でも担任の先生も同級生たちも、みなさんすごく優しく迎えてくれたので、わりとすんなりと馴染むことが出来たようです。
初めての試練
そうして算数の授業を一緒に受けることになりました。
その時、クラスでは百マス計算をやっていて、プリントが配られ、先生の「よーい、始め!」の掛け声とともにプリントを表に返して、みんな一斉に問題を解いていきます。シーンとした教室でみんなの鉛筆の「カリカリカリッ」という音しか聞こえない中、あたふたとパニックになっている息子を教室の後ろから見ていました。
それはそうですよね。今までは勉強は治療の合間の身体の調子が良い時に、先生とマンツーマンで自分が分かってから先に進むっていう方針でやって来ていたので。誰かと競うとか百ます計算とか、そんなスピードを求められることはやったことがなかったから。
他の授業の時も息子の焦りが教室の後ろまで届いてくるようでした。
先生が黒板に次々と書きながら説明していく。生徒は先生の話を聞きながらノートに写していく。
そんなことは今までやったことがなく、ただオロオロしているばかりでした。
最初は週に一度、1時間だけ行っていました。
少し慣れて来るとそれが2時間になりました。そうすると休み時間になると、珍しさから周りをお友だちが取り囲んでいます。
その時は感染のこともあったのでマスクはしているし、脊椎圧迫骨折があったので、ハードなコルセットをしていました。なので、よけいに珍しかったと思います。質問の嵐だったみたいです。
養護学校(今は特別支援学校に改名したそうです)のお友だちは、みんな何かしらの病気を持っているので、他の人の病気のことをそんなに詳しく聞かないし、そこまで踏み込んでは来なかったから、すごくびっくりしていました。
いよいよ転校
そうして何度か通ううち3学期が終わり、5年生に上がるタイミングでその小学校に転校することになりました。
でも私は少し心配していました。
今までは時々来て一緒に授業を受ける、いわばお客さんだったわけです。それがそこに転校するとなるとお客さんではなくなります。
みなさん、お客さんに対しては丁寧に優しく対応しますよね。
でもそこの一員になるってことは、全く別物だと思います。友達の仲間入りをする、要するにクラスメイトになるってことなので、そこには遠慮とか気遣いとかはお客さんに対してよりずっと緩くなってしまうから、そんな中でやっていけるのかなと思って。
それに先生にとっても、時々やって来る病気の生徒ではなく、クラスの元気な生徒のなかの1人、1/35の生徒になるわけです。
病気のため他の子どもさんと同じように出来ないこともあったのですが、そういったことを気にかけてもらうことが果たして出来るのかどうか、そこのところが気になっていました。
そして、ある意味それは的中したと言っても過言ではありませんでした。