大学の講義への参加

この前、また嬉しいことがありました。静岡の大学で小児看護を学んでいる学生さんの講義に参加させて頂きました。

親の立場から望むこと

もともと息子が白血病YouTuberとして発信していた動画をたまたま見つけた先生から息子にお話が来て、息子も一度講義に参加して患者側から看護学生さんに望むことなどを話していました。
息子が亡くなってからあとで先生とお話ししていると「ぜひ、親御さんの立場からお話しして頂ければ」と言われて、去年は実際講義しているところへ参加させて頂きました。
息子のYouTubeを流した後、見守っていた親として、看護学生さんにやって頂きたいことなどをお話しさせて頂きました。

今年は連絡がなかったので「今年はないのかな。残念だなぁ」と思っていたところへ先生から連絡が来て。
今年は講義時間の関係上、実際講義に参加するのは難しかったので、動画でメッセージを送る形にしました。
zoomで先生からインタビューを受けたものを編集して頂いて、それを流すという形で。

笑いを引き出す

去年もそうでしたが、今年も講義の後、学生さんたちの感想を送って頂きました。学生さんたちは「病気の子どもとの接し方が分からない」って思われてる方が多くて。私が「友達になってあげてください。普通に接してあげてください。それで子どもさんから笑いを引き出してあげてください。笑うってすごく大事なことなので」ってことを言うと「ちょっと接し方が分かりました」って言って頂けて。

笑うって、私たちが普通に暮らしていると当たり前のことですが、入院している子どもさんたちにとってはそうではないんです。
病気になって突然、家からも学校からも離されて、全然環境の違うところへ押し込められてしまいます。親御さんともずっと一緒に居られるわけでもなくて、先生や看護師さんは優しいけど嫌なこと、痛いことをしに来るし。話をしようと思っても忙しいから出来なくて。
全てが不完全燃焼で、結果イライラしてる子どもさん、けっこうたくさんいました。

学生さんの出来ることって限られているけど関わる時間はすごく長くて。でもだからこそ出来ることがあると思います。

入院してる子どもさんのこと「病気になった気の毒な子ども」って思われるかもしれませんが、本人たちはそこまで自分の病気の症状が分かっているわけではなくて。それよりも一番気の毒なのは、病気になったことでお友達と過ごす時間が失くなったことだと思います。友達の影響って良くも悪くもあるわけで、友達から学ぶこともすごくたくさんあって、でも病気になったばっかりにその時間が奪われてしまって。子どもにとって学校って1日のうちで占める割合が多くて、それを基準に1日のスケジュールも決まってしまって、必然的にそこで出会う友だちから多くのことを学んでいくと思うので。

残念なことに親はどんなに一緒に楽しく過ごしても所詮は親なので絶対友達にはなれません。

それに病院の先生も看護師さんもまず病気を治すこと、とりあえず目の前の命を繋ぐことを考えているわけなので、子どもの気持ちに寄り添うとかは二の次三の次になってしまいます。

子ども扱いではなく対人間

そこで学生さんの登場ですよね。学生さんって親や先生、看護師さんよりは絶対的に年齢が子どもに近いと思います。なので年齢が近いぶん、その頃のことは思い出しやすいと思います。でも絶対ダメなのが子ども扱いすることです。そうすると子どもさんってすごくよく見てるから「あー、この人、絶対子供扱いしてるよね」とか「可哀そうとか思ってるよね」とか、全部ばれてしまいます。そこは1人の人間として関わってもらいたいです。

実際、うちは医大生、看護学生がたくさん来てくれて、その方たちと本当に楽しそうに友だちのように遊んでて。研修の終わる時には必ず手紙とその時作ったプラ板やアイロンビーズとかを一緒に渡していました。

高校生になった時に受診した形成外科の先生はその時来られてた学生さんで「あの時もらった手紙とプラ板、大事に置いてるよ」って言ってくれました。診察の後、息子と「立派な先生になったんだね」って話したことです。

同年代の友だちを作る感じで


もちろん話しかけても無視する子どもさんも絶対いると思います。すごく疑心暗鬼になっているので、この人は敵かな、味方かなっていうのを見極めてることもあるし。そんな時はその子のテーブル周りとかを見て何に興味があるのかを見つけて、そこから話しかけてみてください。
同年代の友だち作る時ってその人の興味のあることとか共通の話題とかを見つけて話しかけたりしますよね。相手が子どもさんでも一緒です。自分の興味のあることを話してくれたら自分に向き合おうとしてくれてるっていうのが分かって少しずつ心を開いていってくれるので。時間はかかってもそうやって糸口を見つけてもらいたいです。

どんなにしんどくても笑ってる時間はそのことを忘れられるし、気持ちが前を向いてないと絶対笑うことは出来ないから。だから子どもさんの笑顔を最大限に引き出してもらいたいです。

緩和ケアをされてる先生ともお話ししたんですが「ドクターと正規の看護師さんは治療をする人、看護学生さんは笑いを引き出す人っていう役割分担で病気を乗り越えるっていうのが一番いい形ですね」って言われました。

今回はそういった話をさせて頂きましたが、送ってもらった感想を見返して「もう少しこんなことが聞きたかった」っていうことがいくつかあったので抜き出して、自分で反省会をして、来年はもう少し上手くまとめられるようにしていきたいと思っています。ありがたいことに先生からは「また来年もよろしくお願いします」って言ってくださったので。

息子が亡くなってもうすぐ2年が経ちますが、彼の繋いでくれた縁は途切れてなくて。嬉しいことにそこで私も誰かの役に立つことが出来ているみたいで。この縁を大切に続けて行きたいと思います。

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