noteを始めたきっかけ(後編)

「一緒に過ごす」

息子は小さい頃から病気と共に生きて来て大変だったと思います。私は息子に元気だったら見えない世界、病気してたからこそ見える世界をたくさん見せてもらいました。

息子のことをテレビや新聞でよく取り上げて頂いたのですが、その時のインタビューで「この年(20才過ぎ)まで一緒に暮らすってどうですか?」って聞かれたことがあります。夫は「普通だったらもう家から出て、大学とか行ってますよね」って答えてたと思うのですが、私はそうではなくて「病気になったからこそ一緒にいられますよね。ずっと関わる事が出来る。そういう意味では息子に感謝しかありません」と答えました。

元気な子どもさんだったら小さい時は普通に学校へ行って勉強し、友達との時間が大事になって会うのは朝と晩だけ。思春期の頃は口を聞いてもらえなくなることがあるかもしれません。18才ぐらいになると県外の大学に行ったり就職して一人暮らしをするようになったり。
親子として関われる時間は本当に短いと思います。
でもそんな時もずっとずっと一緒に過ごすことが出来ました。

自分以外の人間の一生にこれだけ密に関われるって本当にないことだと思うから、彼の生き様をすぐ横でずっと見守ることが出来た、それも楽しく過ごして来れたっていうのは本当に良かったと思います。

息子の生きた24年って、普通に考えたらすごく短いと思うけど、でもたぶん、普通に暮らしている私たちとは違ってものすごく濃い人生だったと思います。
彼はその凄まじい人生をYouTubeや本という形で残してくれました。それも妙に明るく楽しそうに。

「一緒に歩む」

私は彼の人生にまあまあ参加させてもらっていろんなことを体験し、感じることが出来ました。それも楽しく。

そんなあれこれを去年はいろんなところでお話しする機会を頂きました。どこでお話ししても「貴重なお話ありがとうございました」とか「すごく勉強になりました」とか言ってもらえて。
その時話した内容は私にとって普通にやって来たこと、当たり前にやって来たことばかりだったので、それをそんなふうに言われるなんてすごく驚きました。息子の言っていた誰かの役に立つっていうのはこういうことなんだなと。

息子は白血病になった当事者からとして発信していましたが、私はそれを見守る母親として何らかの形で発信出来ないかなと思うようになりました。
そんな時に彼の本の出版に携わってくださった方から「noteっていうサイトがあるから、そこで思いついた時に書いてみたら?」って言ってくれたのが大きなきっかけです。

それにこうやって書いていると、なにより姿形は見えないけど、息子はずっとそばに居て一緒に歩んで行っている感じがしています。
「えー、お母さん、そこ違うやん」とか言われながら。

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