しょうがない
私が子育てをしていて一番心に刺さった言葉は、子供から言われた一言でした。
「みんな『しょうがない』って言うけど何もしょうがなくない!どうしてしょうがないって言うの!!」
これはもう子供も覚えてないかもしれない出来事ですが、私はあの時の恥ずかしくて申し訳ない気持ちを今も鮮明に覚えています。
それは子供が小学校低学年の時でした。
子供が悲しそうに学校から帰ってきたので何かあったのか話を聞きました。
子供の話によるとー
教室の掃除当番だった子供達がみんなの机を前に移動しようとした時に、一人の女の子がうちの子供の机の中身を全て床にぶちまけたそう…
その時にコンパスが入っていた入れ物をその子が踏んでしまい、コンパスも歪んで開かなくなり、入れ物もひび割れて「壊れた」状態になりました。
その女の子は謝ってくれたそうで子供も悲しかったけど許したそうです。
そこには担任の先生もいて両者と話してくださり、きちんと対処してくださいました。
そして壊れてしまったコンパスを子供は持ち帰り私に見せてきました。
なのでとても悲しい顔をしているんだと思ったんです。壊れてしまった事も悲しかったと思いますが、女の子にも謝ってもらっているし私は「悲しいけどしょがないね…」と、言ったんです。
そうしたら子供が大泣きしました。それまでは泣きそうではありましたが泣かずに今日の出来事を話してくれていたのに…
そして上の言葉を私に言いました。
「みんな『しょうがない』って言うけど何もしょうがなくない!どうしてしょうがないって言うの!!」
「先生もしょうがないって言った!ママもしょうがないって言った!どうして大人はみんなでしょうがないって言葉で終わるの!!くやしい!悲しいよーうわぁーん」
私も『はぁ?うちの子もコンパス壊してごめんで許すか??はぁ???』とは内心思ってましたが、私は「大人」だし「親」だし、ここで感情的になっても子供の手前カッコ悪いかも…と気持ちを押し殺して出た言葉が「しょうがない」でした。
子供が大泣きしている理由のもう一つが、そのコンパスが子供がすごく悩んで買ったお気に入りのコンパスだったという理由もありました。
それは悔しいよな…
悲しいよな…
なんで私はしょうがないって言葉を言ってしまったんだろう。
大泣きしている子供を抱きしめて私も泣いてしまいました。
子供に申し訳なくて。
傷付けてしまった…
子供を抱きしめて「ごめんね!辛かったのにママもあなたに我慢させる言葉を言ってしまって。本当にごめんね。」と背中をトントンしながら話しました。
そこから子供が落ち着き、色々と気持ちを話してくれ私は改めて子供に謝りました。
そして担任の先生にも電話しました。こんな事で先生に電話するのはご迷惑だったと思いますが、どうしても子供の気持ちを伝えたいと思ったんです。
担任の先生には「子供同士の事ですので弁償とかは考えてません。ただ子供が私に言ったんです。大人はしょうがないで終わらすって。しょうがなくないって。」
そうしたら先生も「私もお子さんにしょうがないと言ってしまいました…そうですよね…しょうがなくないですよね。お子さんに代わっていただけますか?」
電話を子供に代わると先生から謝罪があったそうです。
そして先生は相手の親御さんにもちゃんと今回のことをお話してくだり、相手方からもお電話をいただき弁償を…と、お話がありましたが今回はお電話だけで充分ですとお断りさせていただきました。
担任の先生の対処にも、お相手の親御さんの対処にも感謝です。
そして自分の気持ちを私に話してくれた子供にも「ちゃんと話してくれてありがとう。本当にごめんね。」と伝えました。
子供は笑って「いいよ!」って言ってくれました。
あの時子供の気持ちを守れて良かったと今でも思います。
大人都合で色々な言葉を使ってしまいますが、子供にはそんな言葉では納得できない事があるんですよね。
自分も子供だったのに、大人でいる時間が長すぎて忘れちゃってるのかな…
子供が大きくなり、それぞれお出かけしたり部屋でダラダラしている日曜の昼下がりにふと昔の事を振り返ってしまいました…
あれも一つの思い出だな~
さてお昼を作るか。