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「ジプシーキングス」

1988年に、指揮者カラヤンが最後の来日公演。
ベルリンフィルと共に、ブラームス交響曲1番をひっさげて
やってきた。

この時、「行きたいな~」と思った、20代前半の私。
チケット代があまりに高くて、しかもお給料を
「コンサート代に使う」ということが、すごい贅沢な
ことに思えたのか、買うことができなくて、諦めた。

20代になってクラシック音楽に興味を持ち始めて、
カラヤンのことを知り始めた頃で、年齢も知らなかったし、
「また来るだろう」なんて、甘い考えを持っていた。

その翌年、カラヤンは亡くなってしまった。

それはものすごくショックで、
「あー、チケット代、ケチるんじゃなかったー」
「やっぱり行きたいと思った時に行くんやったー」
と、本当に後悔した。

追悼番組で、白黒のカラヤンの演奏会を放映。
ブラームスの1番と4番。
「こんな素晴らしいものを見逃したのかぁ」

カラヤンが亡くなったショックと、
見逃したショック。
しばらく「がっくりきた」状態だった。

ところが、またこのような事態が起きるかも
しれないのだ。

私は今の松本幸四郎さんの父、松本白鴎さんが
まだ市川染五郎を名乗っていた40年くらい前から
ずっと歌舞伎のファン。
そこから転じて、白鳳さんの弟の
中村吉右衛門さんの大ファンでもある。

先日、映画のポスターに「鬼平犯科帳」があった。
「え?誰が長谷川平蔵をするん?
 まさかの昔のTVの再編?」
とか思っていたら、主演は松本幸四郎さんだった。
その「鬼平犯科帳」という文字をみた瞬間に、
TVの「鬼平犯科帳」を思い出した。
そして、あのエンディング曲、
「インスピレーション」も。
頭の中はずっと「インスピレーション」が
流れっぱなしの日々が続く。

このYoutubeのコメントにもあるように
本当にこの曲をこの番組のエンディングに選んだ
フジテレビのセンスに感謝である。
私の中での、「出会えた1曲」

その2,3日後、車のラジオで、
「ジプシーキングス」来日の話を聞いた。

なんと!
行きたい!
もうカラヤンの時の二の舞はしたくない!
絶対に行く!

・・・しかし、現実は優しくはなかった。
関西では尼崎。月曜日19時スタート。
翌日火曜日は、めちゃめちゃ朝早くから
単発バイトが入っている。
昨日その仕事をしてきたが、気を張る仕事だった。

その火曜日は名古屋。行けるけれども、
家に帰るのは夜中。
無理しすぎだ。
水曜日はパートの仕事が待っている。

あ~あ、今回もまた諦めてしまわなければ
ならないのかなあ・・・と考えて考えて
今の今まで、迷っていたけれども、
今度は、チケット代をケチるとかではなく、
無理をして、仕事をミスして、信頼を失うことの
怖さが勝った。

諦めることにした。

たくさんのヒット曲、名曲を抱えて
来日する「ジプシーキングス」。
月曜日は、CDをぴっぱり出してきて、
名曲「インスピレーション」に浸ろう。

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