「すべての仕事に意味がある」
パナソニックの創業者である松下幸之助は、
全国各地の自社工場の視察に訪れた。
彼が訪れたある工場の中に、
ただひたすら小さいソケットのついた豆電球を
磨く作業をしている工員の方たちがいた。
松下さんは、彼らの作業を眺めた後、
いきなり感に堪えない声で、
「ええ、仕事やなあ」と言った。
すると、みんなびっくりして手を止める。
「電球を磨く仕事の何がいい仕事なの?」
そこで、松下さんは彼らにこう言いだした。
「ええ、仕事や。あんたらが磨いている電球は、どこで光るか知っとるか?
山間の村の中には、まだ電球が行き渡ってないところがいっぱいある。
そういうとことにも子どもたちはいっぱいおる。
そこに住む子どもたちは、夜になって暗くなったら、
外で遊ぶことも、本を読むこともできなくなる。
あとは寝るだけや。
本というのは人間の心を豊かにするわな。
その本を読んで彼らが未来を見て、心を躍らせ、
「ああ、僕も大きくなったら、こうなろう、ああなろう」
と、そう考えさせてくれる読書も、
日暮れと共にページを閉じなければならない時がやってくる。
もう少し続きを読みたい。でも暗くて読めない。
そんな時、あんたらが磨いてくれた電球が「ポッ」と灯りよる。
その電球の下には、彼らが読みたいと思っていた活字がはっきりと見える。
子どもたちはその本を開いて、
また心を夢の世界に躍らせ続けることができる。
あんたらのしていることは、子どもたちの夢と未来を育むええ仕事や。
ほんまにええ仕事やなあ。
世の中に意味のない仕事なんてない。
全員の1つ1つの仕事のおかげで、社会は成り立っているんだ。
何の仕事をするかよりも、どんな気持ちで仕事をするのか。
この事実を忘れずに生きていきたい。