【11月】現役地域おこし協力隊が分析する「地域おこし協力隊のトラブルの原因と解決法」(日本/埼玉県/秩父/横瀬町/地域おこし協力隊)
皆さん、こんにちは。
横瀬町地域おこし協力隊ウェルビーイング担当のやすこです。
地域おこし協力隊2年目に突入。
今、私が住んでいる横瀬町の生活は
人に恵まれたことで
とても住みやすく
充実した日々を過ごしています。
私は自身の要請柄
地元の人たちと関わることも多いので
地域おこし協力隊への
良い意見、悪い意見もよく聞きます
私も全国初の概念を要請とした
ウェルビーイングの担当でなければ
絶対なっていなかった地域おこし協力隊。
現役だから感じるこの制度を
なぜトラブルが起きるのか深堀をしていきたいと思います。
1.地域おこし協力隊の目的と効果と課題
地域おこし協力隊の目的は、地域の活性化と地方への定住促進です。隊員は都市部から地方に住み込みながら地域振興活動を行い、地域の魅力を発掘・発信し、地域に根付くことを目指しています。政府がこのような制度を浸透させたい意図は、地方の経済や社会の活性化を通じて、全体の国力を強化することです。また、地域の文化や伝統を守り、次世代に引き継ぐことも重要な目標の一つです。
【主な活動内容】
地域産業の振興:農林水産業や観光業など地元産業の支援、新規事業の開拓、地場産品の開発やPR活動を通じて地域ブランドを強化します。
地域コミュニティの再生:住民と密接に関わり、課題解決に取り組みます。高齢化や過疎化が進む地域では、生活支援やイベントの企画運営を行い、住民の交流促進や孤立防止に寄与します。
地域の魅力PR活動:広報やPR活動を通じて、地域の魅力を外部に伝え、地域への関心を高めることで、観光客の誘致や移住者の増加につなげています。
移住・定住促進:活動終了後も地域に定住し続けることで、地域の活力を維持します。隊員の約60~70%が定住し、若年層の移住と定住を増やす効果があります。
【効果と課題】
効果:人口減少対策や地域産業の活性化が実現し、若者が地方に定住する機会が増加します。
課題:活動のサポートや地域との連携不足が課題となっており、地方自治体や地域住民が積極的に協力隊を支援する仕組みが求められています。
2.地域おこし協力隊の最新データ
地域おこし協力隊の最新データは、2023年度の調査結果で、総務省によると2024年5月に発表されました。この調査によると、協力隊の現役隊員は過去最多の7,200人に達し、受け入れ自治体も1,164団体に増加しています。また、都道府県別では、北海道が最多で1,084人、続いて長野県が461人、福島県が313人です。総務省は2026年度までに協力隊員を1万人まで増やすことを目標としており、協力隊活動への広報やサポートを強化する方針です。
令和5年度の「地域おこし協力隊 定住状況等調査」の結果によると、近年、任期終了後にその地域に定住する協力隊員の割合は増加傾向にあります。直近5年間(平成30年~令和5年)で任期を終えた隊員4,463人のうち、同じ地域に定住したのは約46%(2,048人)でした。
定住率の上昇:全期間での定住率64.9%に対し、直近5年間では69.8%と高まっており、地域おこし協力隊の制度が成熟し、地域定住の支援が強化されている可能性が考えられます。(地域のサポート体制)定住率が高い地域では、協力隊員を迎え入れるためのサポート体制が整備されていることが背景にあります。
地域内定住が多い:多くの隊員が活動地の市町村内またはその近隣で定住しており、地域密着型の活動が実を結んでいることが示されています。
他地域への転出も一定数存在:約2割の隊員が他地域に転出しており、必ずしも全員が活動地域に定着するわけではないことがわかります。
埼玉県の地域おこし協力隊の定住率は、令和6年4月1日時点で 62.2% です。これは、任期を満了した60人の協力隊員のうち46人が活動地域に定住していることを示しています。この数値は、全国平均の約64.9%に近い水準ですが、わずかに下回る形となっています。
【総務省参考資料】
https://www.soumu.go.jp/main_content/000941085.pdf
3.地域おこし協力隊が任期短縮や定住しない理由(全国版)
せっかく移住するきっかけを経ても、実際に協力隊の任期短縮や定着しないケースもあります。その理由をまとめてみました。
業務内容やサポート体制の不一致:
配属先での業務内容が期待と異なることが原因で、やりがいや達成感を得にくくなる場合があります。
任期開始前に聞いていた内容と実際の仕事内容が違うと、早期退職の原因となることがあります。
サポート体制が不十分で孤立感や不安感が強まると、活動を続けることが難しくなることがあります。
自治体や地域の支援が不十分だと、活動がうまく進まないだけでなく、地域に溶け込みづらくなることがあります。
地域との関係性の難しさ:
地域住民との関係性の構築に苦労することが、定着を難しくさせる要因です。
地域に馴染むことができず、活動が思うように進まないと、孤独感を感じることが多くなります。
特に過疎地域では、住民の高齢化や保守的な価値観があり、新参者である協力隊員が受け入れられにくいケースもあります。
生活環境やライフスタイルのギャップ:
都市部から地方へ移住することで、交通の不便さや生活の不自由さを感じることがあります。
インフラが十分に整備されていない地域や、医療・教育施設が遠くにある地域では、日常生活に不便を感じて早期退職や定住を断念することがあります。
解決方法としては、地域おこし協力隊側は、配属前に業務内容や目的を明確にすること。柔軟に、臨機応変に、自分から地域に溶け込む努力をすること。また、自治体側は、十分なサポート体制を整えること(受け入れた以上は責任を持って対応すること)、地域住民との関係性を深めるための支援を強化することが重要だと考えています。
4.具体的な地域おこし協力隊トラブル(全国版)&自分ごとの意見と解決方法
地域おこし協力隊の活動において、さまざまなトラブルが報告されています。主な傾向とその原因について以下にまとめます。(総務省地域おこし協⼒隊の定住状況等に係る調査結果等より)
1. 隊員と自治体・地域の期待のミスマッチ(全国版)
協力隊員が思い描いていた活動と、自治体や地域が求める内容にギャップがあるケースが多く報告されています。例えば、隊員は地域活性化のために新しいプロジェクトやチャレンジを希望している一方で、自治体がルーチン業務や事務的な作業を求める場合、モチベーションの低下やトラブルに発展しやすいです。
また、地域側が「若者に頼る」という形で期待をかけすぎると、隊員がプレッシャーを感じたり、役割が不明確で疲弊することもあります。
【1に対する私の事例】
着任する前に聞いていた活動内容(PJ)や地域の様子と当初相違がありました。事前に、この制度によるトラブル要因等は調べていたので、一人で悩むこともありましたが、自身で着任してすぐフィールド調査を実施しました。その上で、活動の企画を立て、活動に対する目的とゴールを明確にして活動したので1年以内には実績がでました。しかし、実績が出るまでは、役場担当者から活動報告について説明を求められることが多く、それがとてもストレスでした。
【解決方法】
私は社会人経験が豊富だったことから、制度を熟知した上で、納得できないことは徹底的に役場担当者と話し合いました。特に担当者の異動によって発生する、「前は良かったのに、今はなぜいけないのか」については、契約書内容含めしっかりと理由を聞いたと思います。この時に良かったことは、自分だけで悩まず、この制度に詳しい公的機関の方に第3者として意見を求めること。役場担当者にしっかりと意見を伝え、相互理解ができたことでした。この時に、役場担当者が疑問を曖昧にし、不誠実な対応をしていたならば、すぐ地域おこし協力隊はやめるつもりでした。しかし、横瀬町の役場担当者が誠実にじっくりと話し合いに応じてくださったので、問題解決することができました。
【ポイント】
地域おこし協力隊は立場上非常に弱い立場で地域に入っていきます。その時に、守ってくれないような自治体ならその後も信頼関係を構築することは難しいので即辞めることをお勧めします。
委託型(フリーランス)の協力隊は契約上役場と対等です。納得できないことがあればしっかりと事前に調査し、議論することをお勧めします。委託型は、福利厚生がないので、病気になっても助けてはもらえません。自分の快適な移住環境をつくる上で、しっかりとした自分を育てることも大切だと私は感じています。
2. 地域住民とのコミュニケーション不足(全国版)
地域おこし協力隊の活動には地域住民との連携が不可欠ですが、協力隊員が地域に溶け込むのが難しい場合、誤解や摩擦が生じやすくなります。特に、地方の閉鎖的なコミュニティでは、外部からの人材を受け入れるのに抵抗があるケースもあります。
地域住民との距離が縮まらないと、協力隊員が孤立感を抱くことがあり、早期離職や定着の難しさにつながることが多いです。
【2に対する私の事例】
地域の期待と隊員の目標が一致せず、やりたいことが思うようにできないケースや、活動内容に対して十分なサポートが得られないケースなどがあります。着任当初から地域おこし協力隊が地域の皆さんからあまり良い印象を受けていないことに気づきました。理由は、①地域おこし協力隊が何をやっているのか分からないから、②役場の職員として認識しており、町の税金が使われていると思っていたためなどでした。ちなみに、役場は協力隊の活動については基本受け身のため、親切な町民の方や議員さんが横瀬町のキーパーソンとつないでくださいました。このご恩は一生忘れません。
【解決策】
着任してすぐに町のキーパーソンに挨拶に行きましょう。今後の活動の大きな支え、力になります。
地域おこし協力隊の活動を聞かれたら、誰にでも分かるように、簡潔に説明できる準備をしておくこと。自分の活動について、説明できない時は、文字化したツールの紹介をして、しっかりと活動内容を発信していることをPRすることをお勧めします。その時、自分の活動だけでなく、他の隊員の方の活動もPRするよう心がけ、町民のモヤモヤが少しでも解決し、町全体の良い循環が生まれることを意識すると良いと思います。ただし、自分が本当に感じる、想うことを伝えることも大切だと思います。町民の知らないに寄り添い、対話することだけで、随分、問題解決することができます。最低限、役場から言われたnoteでの町内外の発信は必ずするように私はしています。
自分の要請活動と少しでも良いので地域協力活動にも参加することで、町の方との信頼関係が生まれます。協力隊制度を使うのであれば、その地域の歴史、文化等、自分から理解しようとする姿勢も大切だと感じています。
【ポイント】
1年目は積極的に町民の方と関わり、町、町民を知ること、自分を知ってもらうことに力をいれることをお勧めします。早い段階で、自分に合う地域か見極めることができます。
自分が大変だった時に助けてもらった町民の方への恩は忘れないこと。原則、町民に対して情報開示する姿勢は大切ですが、理解しようという姿勢ではなく、敵意むき出し(政治的理由など)の場合はあまり関わらないようにしましょう。協力隊は定住がゴールなので、心をくじくような方との関わりは必要ないと思います。その時は、信頼できる町民の方にも相談すると良いでしょう。そういう人は、町民の方にもちょっとという存在の場合が多くあり、悩んでいることが自分だけでないことが分かります。
3. 活動内容の不明確さと支援体制の不足(全国版)
協力隊員の活動が始まる際に具体的な目標や計画が設定されていない場合、役割が不明確で、成果が見えづらくなりがちです。このような状況では、隊員が活動に意欲を持ちづらく、トラブルの原因となります。
また、活動中に困難が生じた際に、サポート体制が十分でないと、隊員が孤立してしまう場合もあります。特に、小規模自治体では人手や資金が限られているため、十分なサポートが難しいケースが見受けられます。
【3に対する私の事例】
私自身社会人経験(公的機関含め)を経て協力隊になったので、自治体の体制等は理解していました。自分の活動については報告・連絡・相談を大切にしています。活動で何かあれば積極的に役場担当者に相談することをお勧めします。横瀬町は決して十分なサポートはないですが、相談した時にしっかりと対応してくれるという信頼感はあります。
嫌なことがあった場合は、うわさなどで悩むことなく、原因の本人に直接話しを伺うことをお勧めします。うわさで聞いていたことと、本人の認識がずれていることもあり、早い段階で問題解決することができます。
【解決策】
自分だけで悩まず、何かあれば相談できる人間関係を構築しておくことが大切です。
【ポイント】
一人暮らしの隊員は孤立しやすいので、信頼できる人間関係、コミュニティに身を置くことで、協力隊のゴールである定着につながります。
自治体で新規の隊員を募集する時はチャンスです。協力隊1番目の場合は、体制は整っていないかもしれませんが、十分な自治体フォローがあると聞いています。新規隊員というブランドで地域に入ることは非常にメリットがあります。
4. ライフスタイルの違いや生活環境の問題(全国版)
都市部から地方への移住に伴うライフスタイルの変化も、隊員にとってストレス要因となることがあります。例えば、交通や通信の不便さ、医療や教育環境の違いなどが、隊員やその家族に影響を及ぼすことがあります。
また、地域の気候や生活文化が隊員に合わない場合、生活自体が苦痛となり、任期を全うできなくなるケースもあります。
【4に対する私の事例】
横瀬町は日常生活はまったく困ることはありません。むしろ、都会なので、なんでも手に入ります。ただし、一人暮らしで病気になった時は、めちゃくちゃ困ります。信頼でき、頼りになる医療関係者の町民の方が横瀬町にいたので、コロナに感染した時にはすごく助けられました。ご恩は忘れません。
【解決策】
日頃から病気になった時はどうするか。災害に遭った時はどうするか。など緊急時に備え考えておくといいと思います。
【ポイント】
自分が弱った時に助けてもらえるような信頼できる人との関係性を大切にしましょう。
5. 収入やキャリアの不安(全国版)
地域おこし協力隊の給与は一定の支援を受ける形ですが、特に若年層にとっては生活費の面で厳しいと感じる場合があります。また、任期後のキャリアについての見通しが立てにくいと、早期に退職を検討する要因にもなりえます。
任期終了後の仕事や収入の不安が高いと、地域に定住するよりも都市部に戻る選択をすることが増え、定着率の低下につながります
【5に対する私の事例】
地域おこし協力隊の報酬はとても低いです。活動経費の支給については各自治体の承認がなければ使うことができません。前職が高収入だったことから税金で協力隊の報酬は消え、前収入からマイナス約300万円を経験しました。移住にも費用がかかります。それにもかかわらず、自治体サポートは十分にない、地域の方から文句ばかり言われるとなればこの制度のメリットはないかもしれません。ただし、協力隊の中では、自分のコミュニティ以外の人とは全く関わらないというポリシーの方もいるので、それも自分が傷つくことがないひとつの方法かなと思いますが、私は横瀬町の人たちが大好きなので、できるだけ地域の方と関わりたいと思っています。
【解決策】
地域おこし協力隊制度を利用している以上、自分のやるべきことはきちんとすることをお勧めします。ただし、完全なるボランティア活動は自分にも、地域の人にとっても良い循環は生まれないので、しっかりとしたビジョンとミッションを持つことだと思います。協力隊の任期は、最長3年、最短1年なので、1年ごとにどの活動に力を入れるのかしっかりと計画することが重要だと考えています。
【ポイント】
研修でも言われますが、地域おこし協力隊が地域課題を解決するのではなく、地域課題に対してどのように向き合っていくのか町民と考えていくきっかけをつくり、一緒に対応することが大切だと考えています。決して、地域の消耗品にならないよう、自分で自分の活動をマネージメントしましょう。地域の課題を地域おこし協力隊になすりつけて問題解決しようとする自治体、団体、人には気をつけましょう。
5.さいごに
地域おこし協力隊制度は必ず定着しなければいけないわけではありません。自分が辞めたいと思った時に辞めれますし、続けたいと思ったら期間内であれば続けることができます。移住をしたいけど、勇気を持てない、自信がない方は、一度きりの人生、試してみるのもありだと思います。私は1年目はとにかく税金がきつく、心くじけそうになりましたが、2年目は自分の収入に見合った税金になりました。
横瀬町での活動や人間関係には大変恵まれたので、1年目で辞めることも考えていましたが、2年目を迎えることができて本当に良かったです。
2025年度からは3年目になります。
地域おこし協力隊はいつでも辞めれると思えば、随分、気持ちは楽になると思います。移住チャレンジ、かげながら応援しています。
都心から近く、独身者及びファミリー層にも優しい町である横瀬町は移住におすすめですよ~! ご興味があればぜひ横瀬町役場へご相談ください!!
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地域おこし協力隊や目指されている人の参考になれば幸いです。では、また!