僕と2B-2
Chapter 2
翌朝、二日酔いの頭痛で目が覚めた。
なぜか体の至る所が筋肉痛だった。
なんで?
と思いながら目を開ける。
目の前に2Bの顔があった。
「うわっ!」
驚きのあまり僕は叫んでいた。
ちょっとゲームのやりすぎかな。
2Bの幻覚が見える。
もう一度目を開けると、やっぱり2Bの顔が目の前にあった。
「また!」
体が弾んだ勢いで、ソファごと後ろに倒れて、しこたま頭を打った。
これではっきりと目が覚めた。
もう幻覚は見えないはず。
と思っている僕を覗き込んだのは、まぎれもない2Bだった。
ゲームで何度も見た顔。
透き通るように白い肌に黒い布のゴーグル。
薄く紅をさしたくちびるとその下にあるホクロ。
僕がひっくり返ったソファを戻すのを、立って見ていた2Bが口を開いた。。
「バンク・・・では無い?」
「ここは僕の部屋だよ。」
僕が答える。
「ここはどこ?」
僕はゲームの設定を思い出した。
独特の世界観。
「ここは地球の上。人類がまだ生存している時代。」
「いつ?」
「西暦2024年」
「2024年?11945年ではない?」
「うん、2024年」
「あなたは誰?」
「僕は八神九郎。人類の1人。」
「るい?・・・人類・・・。」
「そう、僕は人類。」
僕がそう言うと、2Bは胸の前で腕を水平にして言った。
「人類に栄光あれ!」
あぁ、ゲームでおなじみの台詞だった。
「私は人類を守るようプログラムされている。つまり、あなたは私が守護する対象と認知した。」
「守護する対象と言われても・・・。」
「認知された結果は破棄できない。私は与えられた使命を実行するだけだ。」
なんかえらいことになってきた。
僕は話題を変えるため2Bに質問した。
「ねぇ2B。どうして君はここにいるの?」
「さあ、推測でしかないが、おそらく機械生命体のハッキングにより、バンカーが破壊された衝撃で、バックアップとして残っていた私が時空を飛び越えたと推察する。」
「なんか、ポッドみたいな口調だね。」
「ポッドはここにはいない。現在活動中の機体に随行している。そのため、私には随行するポッドは存在しない。」
「ふーん、そうなんだ。」
「私から質問がある。」
「なんだい?」
「どうして私はあなたと一緒にいる?」
「あぁ、それね。君が言うところの、衝撃で飛ばされて公園に倒れていた君を、偶然に通りかかった僕が助けて連れて来たわけ。」
「と言うことは、あなたは私の恩人?。」
「まぁそうなるかな。」
「では、感謝しなければならない。ありがとう。」
ここまでで感じたこと
バックアップ機体と言うことで、おそらくパーソナルデータをインストールされていない。
したがって厳密にはゲームの2Bでは無い。
でも容姿はあの2Bなんだ。
「お礼になにかして欲しいことはない?」