アニメの世界に入る日
(本稿にはVTuberに関するメタ的な表現が含まれます。ご注意ください。)
「アニメの世界に入りたい。」
それは、アニメのファンであれば誰もが一度は思うことだが、同時に非現実的であることを前提にした台詞でもある。
しかしながら、現代の技術を目の当たりにすると、この台詞がだんだんと現実味を帯びてきているように思える。
例えば、「VTuber」の誕生。彼ら彼女らは自らの人格や思考を持ち、なおかつバーチャル的存在、いわゆる「二次元」の存在として認識される。現実と非現実の狭間に立つVTuberと対話し、「推す」ことは今や当たり前の文化になっている。実際のところ、アニメの世界に入ってキャラクターと対話することと、VTuberとインターネット上でコミュニケーションをとること、その差はどこまで大きいのだろうか。
そして、近年はメタバースの発達も目覚ましい。例えばメタバースプラットフォーム「cluster」では、自分のアバターを作成し、仮想空間内で他のユーザーと交流したり、ライブなどのイベントに参加したりと、様々な体験ができる。すなわち、ユーザーが自ら「二次元」の世界に没入することができるのだ。
このように、現代においては「二次元」と「三次元」の境界が曖昧になるような体験が数多く存在する。実際のところ、我々の存在はどこまでが「二次元」で、どこまでが「三次元」なのか。今はまだ二つの世界の区別がはっきりつくとしても、将来はどうなってゆくのか。
我々が「アニメの世界に入る」日は、そう遠くないのかもしれない。