
【現職教員必見!】科研費(奨励研究)について①
はじめまして。現職中学校教員の副島です。
note初チャレンジです…!よろしくお願いいたします。
教員のみなさん,夏休み,子どもに会えないのは寂しいですが,
教員をしていて一番うれしい時期ですよね。
この8月,旅行や余暇に全振りするのもいいですが,
せっかくのまとまった休み,ちょっとだけ,
いつもと違う一歩を踏み出してみませんか?
というわけで,現職教員の方向けの
「科研費(奨励研究)」の大まかな紹介です
1. この記事はこんな人向け!
この記事は日々授業研究をしていて,こんなことを感じている教員の方におすすめです!
「授業研究は楽しいんだけど,教育書って高いんだよなあ…」
「学会に行って勉強したいけど,旅費や参加費が高いなあ…」
「お金があって●●が買えれば,こんな教育実践ができるのになあ…」
「実践を研究としてまとめて発信し,フィードバックが得たい!」
授業研究における金銭面で悶々としている方,
もっと研究を活発に進めたい方向けの記事です。
2. 科研費(奨励研究)とは?
科研費とは,日本学術振興会が行っている事業の一つで,研究者を対象に研究のための補助金です。
「研究者?あ~じゃあ私たちは学校の先生だから関係ないね」と思った方!
違うんです!
確かに,大型の研究費は研究者,いわゆる大学の教授たちしか申請できません。しかし,私たち学校の先生にも申請できる区分があるのです。
それが奨励研究です!
1年間で大体10万円~100万円の研究補助金がいただけます。
最大100万円!
今まで自腹を切って高い教育書などを買っていた方にとっては
目から鱗の金額ですね!
もちろん,お金のために教育研究をしているわけではないと思いますが,
これを知っているのと知らないのでは大きな差です。
私はこの奨励研究に,ありがたいことに過去複数回にわたって採択していただきました。そして,授業用i Padのや文献の購入,学会の研究大会のための旅費として使用させていただきました。
私の過去の奨励研究の申請書を見てみると,大体2ページで3000字程度でした。
3000ページと聞くと長いですが,X(旧Twitter)で140文字投稿するのを21回と聞くとなんだかいけそうです。
ちなみに,最大の100万円助成をいただけた場合,
100万(円)÷3000字=333.333333…
なんと,1文字あたり333円!
頑張るしかないですね。
さて,学校の先生が申請できる奨励研究とはどんなものでしょうか?
学術振興会のウェブサイトには次のような記載があります。
教育・研究機関や企業等に所属する者で、学術の振興に寄与する研究を行っている者が一人で行う研究
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/11_shourei/index.html
最初をよく見てください!
「教育・研究機関や企業に所属する者」が対象です!
つまり…学校の先生である私たちには応募資格があります。
日本学術振興会の記載をさらに詳しく見てみましょう。
奨励研究は、教育・研究機関の教職員等(※)であって、他の科学研究費助成事業の応募資格を持たない者が一人で行う教育的・社会的意義を有する研究を助成し、奨励することを目的とするものです。
研究の対象は、人文学、社会科学及び自然科学の全分野の研究で、教育現場等での実務に基づく研究等を対象とします。
ただし、商品・役務の開発・販売等を直接の目的とする研究(市場動向調査を含む。)及び業として行う受託研究は除きます。
※「教育・研究機関の教職員」とは、主に、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・幼稚園・専修学校の教員、教育委員会の所管に属する教育・研究機関の職員、大学等の研究機関の教職員を指します。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/11_shourei/koubo.html
※の注意書きにあるように,小学校,中学校,高校,特別支援学校などに属している先生が対象となる助成事業です。Xで調べてみると,研究機関の職員の方や大学の事務職員の方なども結構申請しているようです。
3. 助成金でできること
助成金がいただけた場合,
例えば次のようなことに使うことができます。
教材の大量購入
授業用i Pad,PCの購入
i Padミラーリング機器の購入
書籍の購入
旅費・宿泊費を気にせず遠方の学会へ!
論文投稿料,英語校正代の支出 などなど…
私の場合,特に書籍代が大きいですね。「書籍代」というカテゴリを家計簿アプリから消すことができました。教育書の値段を気にせず,読みたい本を読めるようになりました!
大学や研究機関の職員の方などは異なるのかもしれませんが,
学校の先生であれば,助成金は機関管理ではなく,個人管理となります。
助成金管理や支出のための煩雑な事務作業もほとんどありません。
名義が申請者と同一であれば,クレジットカードの使用も可能ですし,配達住所が申請者と同一であればAmazon等の利用も可能です。
もちろん,1年後,つまり助成期間終了後に出納簿や各領収書をそろえて提出したり,研究成果報告書をまとめたりすることは必要です。
当たり前ですが,これは公金をいただいて研究をさせていただく立場なのだから「義務」です。きちんと遂行しましょう!
4. 申請の流れ
令和5年度を例に,大体の流れを説明します。この予定は変わることがあるかもしれません。
実際,5年前くらいは公募期間が11月くらいまでありましたが変わりました。そのときは4月1日に採択or不採択の結果発表だったように思います。その日はTwitterが荒れていました…(今は2月28日に荒れます)
早く結果がわかるようになり,ありがたいですね。
R4 7月~9月 公募期間
(令和7年度のための公募は9月18日締め切りです!)
R4 2月最終日 採択or不採択の結果発表
R5 3月 採択辞退など
R5 4月 採択内定,各種手続き
R5 7月 助成金入金
R6 3月 助成期間終了
R6 5月・6月 研究成果報告書,出納簿等の提出
5. 採択と不採択(天国と地獄)
現場で日々戦いながら研究を進めているのだから,本当なら全員に助成をしてほしいところですが,残念ながらそうはいかないようです。
世知辛いものです。
申請書の内容を,その分野のスペシャリスト(いわゆる研究者)が
「この研究はお金を出す価値・意味があるのか?」と審査するのでしょう。
普段の仕事ぶりよりも,「申請書の書き方」がとても重要になってきます。とてもとても重要になってきます。それはもう,本当に。
私も最初は書き方がわからず不採択でした…
ちなみに気になる採択率ですが……
2022年度は2875件,採択が443件とのことで,採択率は約15.4%です。
うーーん,こう見るとやはり結構厳しい数字ですね……
でも,まずは一歩踏み出してみないと始まりません!
「宝くじは買わなければ当たらない」とよく言いますよね。
というわけで,次の投稿では実際に申請した経験談をもとに,
申請書の書き方について具体的に説明したいと思います。
それではまた。読んだ方はぜひ感想やリアクションをくださるとうれしいです。よろしくお願いいたします。