千曲川ワインバレーを探索する旅 後編20241025-1026
この旅の前編、小諸エリアはこちらからどうぞ
たっぷり飲んだ翌日、宿の朝食前にシャワーを浴びてアルコールはきちんと抜けて良い感じ、和定食のしっかりした朝食をいただき、電車の時間を見ながら身支度します。
宿をチェックアウトして、小諸の落ち着いた街並みを写真におさめてご機嫌。スケジュールに余裕があればちゃんと散策したいところです。
2日目は東御市のワイナリーさんを探索
東御市(とうみし)のワイナリーに行くにはしなの鉄道の田中駅からアクセスするのが良さそうですが、それでも徒歩だとかなり長時間の移動が予想されました。ワイナリーの開始時間が良くわからなかったのですが、おそらくは早くても9:30、たぶん10:00に着くなら確実に開いていると思い、ちょっと寄り道しながらゆっくり歩いて行きました。
Google Mapsを見ていたら田中駅から5分くらいのところに、東御ワインチャペルという施設の表示があったので近くまで行くと、どうやらレストランで地元のワインの販売もあるよう、開店前なので時間が残ったら帰りに寄る事にしました。
延々と歩いて行きます、途中に地元名士の古い住宅、ワ旅でなければ入りたいところですがまだ開場前、カフェの施設もあるみたいです。
ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリーさん
10:30ちょっと前、寄り道しながらゆっくり歩いたとはいえ約2時間ほどとまあ良く歩きました。レストランは予約のランチがあるようですが、準備が始まる前に使わせていただいて試飲しました。
試飲は4種類
ソーヴィニヨンブラン
独特な乳酸ぽさから、グレープフルーツ、やや太めな雰囲気も後口はさわやか、そして何故かちょっとフルーティな日本酒ぽさもあるかもしれません。
ピノグリ
香りは強くないけれど、残糖とのバランスはまずまず、ニュートラルな割に後口にしっかり残る感じなので食事と上手く合わせてみたい。ごくごく僅かではあるけれど苦手要素の酒粕感がある。価格帯比はアリと思いますが、ちょっと個人的には不思議なイメージのワイン。
ピノノワール
酸味は素直、最初はサワーチェリー強く、少し置いたら苺感が強くなった、若干の雑味と若々しい印象で食事と合わせて活きるタイプと感じます。でも何か楽しいワインと思いますが、最初の印象から5分ほど置いたらどんどん雑味が消えてきて良い雰囲気に。メルローにするかかなり迷いましたがこれを購入しました。
タザワメルロー
ザ日本のメルローという感じ、青みはあるけれどタンニンを上手くまるめた滑らかさがあって良い、赤ベリー主体、やっぱり長野県にメルローは合っているのだと確信、伸びやかでスムーズなのは良い。
ともかくレストランやショップの施設が立派で綺麗な庭や畑も素晴らしい、ワインも全体的に品質はそこそこ高く、価格は控えめなのはとても頑張っていると思います。
委託醸造も受ける兄弟ワイナリーのアルカンヴィーニュさんも含め、適正価格帯で地域のワイン文化を根付かせたいという雰囲気は、オーナーの玉村豊男氏、代表の小西超氏、そしてスタッフさん、関係者の方々のブレない努力と継続性の賜物によるものと感じます。
背中のリュックに3本のワインが入ってかなり重たくなってきましたが、まだまだ余裕、一旦丘を延々と下って休憩を挟むために歩いて行きます。
HARVEST NAGAI FARMさん
こちらはワイナリーさんではありませんがご紹介しておきますね。ワイナリーさんと田中駅のちょうど中間くらいの車ならアクセスしやすい交差点の角にあります。
12:15 行きに見つけたお洒落なカフェ施設のこちらでほっと一息つきました。チーズドッグとアイスコーヒーをいただきリラックス。ショップには地元のお米や農産物加工品を扱っているようです。
ぼんじゅーる農園醸造所さん
東御市発行のガイド冊子とGoogle Mapsを見ていると、ぼんじゅーる農園醸造所というところが事前の情報はゼロですが、単純にアクセスしやすいように見えたのでとりあえず向かってみます。
はい、やってません、土曜日だというのに。サイトを調べなおすと、比較的生産量は小規模なよう、ワイナリー入り口には会員制サービス募集の冊子がありました。
日本ワインの取り扱いがある規模の大きなショップさんで、たまたま体験するタイミングでもない限りは触れる機会がないです、この辺りが人的リソースが限られる小規模生産者さんの難しいところです。
気を取り直してまた丘を上って行き、印象的な写真で見たあの場所に。13:40
Rue de vin (リュードヴァン)さん
えっヴィラデストさんから歩いて来たの? と無茶苦茶驚かれながら、早速試飲させていただきます。
1のソーヴィニヨンブラン
ロワールのものよりも香りはかなり芳醇では? 草原、レモン、グレープフルーツ、とクラウディベイやキムクロフォードといったニュージーランドのミドルレンジのSBを磨いて上品にした感じ、ワイナリーとしては推しのボトルのようなので結局これを持ち帰り。
2のシャルドネ
ステンレスタンク使用、ニュートラルだがかなりサラッとした口当たり、香りの主張はかなり弱め、コンディションが完璧でなかった可能性もあるかもしれませんが、個人的にはちょい選びにくいと感じました。
5のメルロー
複数の赤ベリーが綺麗、青さは緩やかで滑らかさはかなりいいしクリアな口当たり。香りのクリアな抜け感はとっても良い、これは迷った、正直マンズワインさんに行ってなければこれを買っていると思います。
8トリオ
カベルネフラン50%、メルロー25%、カベルネソービニオン25%の配分とのこと。注いですぐは何となく燻んだ感じが、5分で晴れて陰性ではなく良い意味で青みが綺麗になってきました。メルロー単一との差別化を考えると間違いなく落ち着き感はこちら。ゆっくりナッツやドライフルーツなんかと遅い時間にチビチビ飲みたい雰囲気。ちなみにこれ、東京だとかがた屋で買える。
ちょうどこの日、ボランティアさん集めてシーズン最後くらいの収穫作業をしていたよう、興味がありましたら来シーズンは是非来てくださいと誘われました。
ガイド冊子に出ている近隣のワイナリーがあるのでそこも寄りたいと伝えたら、リュードヴァンさんの施設の別館だそう、畑を見てもぶどうは収穫後ですしさすがに体力的に厳しくなってきました。
早めに帰ります、でも早めに帰れませんでした。
時間を見ながら、向かいにあるはすみふぁーむさんを覗いたところ、何か作業中で対応できる様子ではなかったので諦めて田中駅に戻る事にしました。
行きに覗いた東御ワインチャペルさんでもう1本入手、田中駅は何もないので、時間調整して高速バスが来る小諸駅に。
残念ながらお土産があるような販売店はないし時間も余裕がそれほどないので、駅構内の農産物の無人販売エリアで果物類を買ってバスに。
さて帰りの高速バスは、今度は関越自動車道で事故渋滞による100分オーバーの大幅な遅れ、結局バスタ新宿に着いたのは22:00頃、これがあるから電車での移動の方が良いのですよね、実際今回の旅でこれが一番きつかった。
家に戻ってスマホの歩数記録を確認したら34,000歩超え、翌日に仕事がある状況ならこんな無茶はできません。
やや辛口雑感
千曲川ワインアカデミーの功罪というべきか、ぶどう栽培、醸造に関わる人材育成は充分に機能してはいますが、皆さん独立して自分が中心になってやりたいというのはわかります。ただ起業の夢と現実の中でワインの仕事で生活をしていくのは本当に大変なのだろうと思います。多くの起業された新規の生産者さんにとって、結局のところ先行するワイナリーさんのような資金力や人手といったリソースがある所でないと、肝心な週末にあっても機会損失をしてしまっている訳で、非常に苦労されている方々が多いと感じました。
世界的には多量のアルコールの摂取は忌避される時代になっているのは間違いなく、先々もし日本ワインへの注目度が後退局面に入って需要の飽和、停滞となった場合には、色々な他業種で実際に起こっている業界再編といったかなり厳しい現実があっても不思議ではありません。
ともかくひたすら徒歩で廻るという現実離れした行程でしたが、お忙しい中で貴重な機会を提供してくださった各ワイナリーさんの方々に感謝しかございません。
様子がだいたいわかりましたので、次に伺う機会がありましたらタクシーとか利用しつつ、スマートな行動を目指したいところです。いや、ホントに勝沼エリアと違って歩いて行くのはやめた方が良いです。
こっそり追記
下記のようなサービスを利用して楽しく周ったらいいと思います。試飲のクーポンがあったりするし、4人で割ったら負担も軽めになりますね。