売れるNFTゲーム開発の為に知っておきたい。経済圏設計ってなに?

ゲームアーキテクトの米元です。

今回は、ゲームの経済圏を設計するとはどういうことなのか、について書いていきたいと思います。


経済圏とは?


まずは、経済圏という言葉の意味を調べてみましょう。

国際的または国内的に密接な経済関係のある一定の地域。

では、経済というのはどういうものなのか?これについても調べてみましょう。

㋐人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。
㋑金銭のやりくり。「わが家の経済は火の車だ」

デジタル大辞泉より


と定義されています。

つまり、ゲームの経済圏の設計とは、

ゲーム内において、遊ぶために必要なお金やサービス、リソースについて、生産、分配・消費しあう関係性を作り活発にさせる、ということになります。

今回の記事では、これを具体的にどのように進めていくのか、解説していきたいと思います。

ステップとしては、

1.役割分担を作る

2.役割ごとのメリットデメリットを設計する

3.役割同士を補うような関係性へ誘導する仕組みを作る

4.適切なリソースバランスになるように調整する

の4つになります。


1.役割分担を作る


これが意外と意識されていないのですが、ゲーム内のみんなが同じようなことをしていたら、みんなが欲しいものとそうでないものが一致しにくいので、通常のF2Pのようなゲーム設計を行ってしまうと経済圏設計は一切できないです。

通常のF2Pゲームでは、基本的にはみんなが欲しい物を運営側が一方的に提供すればよかったので、特に役割分担を作る必要はなかったのですが、トレードが前提となるNFTのゲーム経済圏設計では、ここの役割分担を作ることが必須になります。

例えば、RPGなどでは、武器を使ってモンスターを倒しまくる勇者以外にも、ゲーム内では武器屋や宿屋など、その勇者にリソースやサービスを提供するNPCが存在します。

そういった形で、ゲーム内の経済圏を作るためには、こういった役割分担をNPCではなくユーザー側にたくさん用意する必要があります。

もちろん、ラスボスの魔王役のユーザーがいてもいいかもしれません。


2.役割ごとのメリットデメリットを設計する


これらの役割を作った腕で大事なのが、役割ごとのメリットデメリットの整理です。

例えば、武器屋という職業があっても、その職業がユーザーにとってメリットがなければプレイする意味がないですよね。

ゲームにおいては、基本的にはこのメリットは楽しさになると言えます。実際のところ、RPGでは勇者的なキャラの楽しい体験に比べると他の職業はメリットがないので、基本的には勇者以外の役職は成り立ちません。

ただ、先ほどお伝えしたように、しっかりと役割分担がないと経済圏は成立しないので、ここでは武器屋にもしっかりとメリットを設計する必要があります。

例えば、

・武器屋と言っても、勇者ほどではないにしろ、ある程度戦える
・ちょっとなら素材を取ってこられる
・武器屋ならではのスキルで、レア素材を沢山獲得できる
・武器の作成スキルも高いので、勇者よりも良い素材で作れる

などのメリットが有り、結果として武器を売ることで通貨を稼ぐのに有利にする、というようなことがまず考えられます。

もちろん、素材収集してクラフトして販売するという楽しみはあるのですが、それに対して、武器屋は武器屋でも、武器コンテストなどがあり、それで知名度が上がる、などといった英雄感―誉れ要素を入れてあげることで、よりメリットが増えます。


3.役割同士を補うような関係性へ誘導する仕組みを作る


ここの設計が、経済圏の設計だと実は一番重要なのですが、役割分担を作るところまでは出来ても、ここの関係性の構築が出来ていなくて失敗する例も多いので、注意が必要です。

例えば、先程の例だと、ダンジョンでの素材獲得も、強い勇者が行ってもあまり取れる素材の質が変わらなかったり、勇者も武器クラフトが普通にできるようでは、結局武器屋に頼る理由がなくなってしまいますよね。

なので、例えば強い勇者だと効率が悪いような、あまり行かないダンジョンで武器屋は良い素材を取ってきて、勇者よりも良い武器を作れることで、勇者側にも武器屋との関係性へ誘導しやすいですし、武器を作って売ることで得られる報酬はもちろん、例えば、勇者に売った武器に武器屋の名前が刻まれてて、自身が作った武器で勇者が活躍すると、自分の名声も上がる、というような形での名誉を得られるようにすると、お互いの関係性がより必要になってきますよね。

しかも、NFTゲームだと誰がその武器を作ったのかの記録をすることも出来るので、こういった要素は、NFTゲームとの相性も良かったりします。

ちなみに、更にこの場合だと、素材だけを取ってくる素材獲得屋、という役割分担を作ることも可能です。

このように、ある程度お互いが切っても切り離せない関係性を多く設計することが、経済圏を活発にする秘訣となります。

そして、経済圏が活発になった結果、その経済圏の活動自体が面白くなって、ユーザーがより定着しやすくもなります。

これを、別の言い方をすると、需要と供給を作るとも言えますね。


4.適切なリソースバランスになるように調整する


さて、ここまでで関係性の仕組みを作りましたが、最後は一番忘れられがちな、バランス調整です。

ただ、ここでの調整は、普通のF2Pやパッケージゲームとは違って、様々なタイプのユーザーの利害関係を含むので、割とシビアになってきます

例えば、勇者と武器屋のところでいうと、勇者でも素材回収効率や武器の品質というパラメータがあまり変わらなければ、武器屋に依頼するメリットもないですし、武器の価格とかも、そもそも誰も武器屋になりたいと思わないような安い価格設定では役割分担も成り立ちません。また、武器が高すぎてモンスター討伐で得られる報酬に届かないようだと、勇者になりたいと思わない、など、簡単な例でもここの調整が重要であることがおわかりいただけると思います。

別の記事でも書いていますが、NFTゲームを作るときには全体の経済圏を先に設計するということを書かせていただいていますが、実はここの全体の経済圏のバランス調整のポリシーがないと、本来入れるべき必要なロジックの検討が抜けてしまい、どう頑張ってもあとからでは経済圏が成立しなくなってしまう、ということもあるからなのです。

すごく極端な例ですが、まさにここの例のように、勇者と武器屋でも、作成した武器の品質に差がなければ、武器屋という職業が成り立たないバランスなのに、あとの方から、これって「武器屋と勇者でのクラフト品質を変える」というロジックを入れないといけなかったのに…となってしまいます。

なので、最初の段階で経済圏設計をする必要が出てくるのです。


おわりに


※ここから先は、ノウハウ的なものはないので読み飛ばしていただいて大丈夫です

今回の記事では、良くNFTゲーム開発運用の現場で言われる経済圏設計について解説させていただきました。

簡単に書いてはいますが、実際にやってみると結構難しく、いろいろな壁にぶち当たると思いますが、是非こちらの記事を参考にしていただきつつ、経済圏の設計に是非トライしてみて下さい!

余談ですが、この経済圏で楽しさを作る、というのが、「数値遊びの創造」の一つとなります。


【お知らせ】


プレアナでは、「数値遊びの創造」で新たな価値を創造すべく、ゲームを中心としたエンタメの面白さの数値化に日々取り組んでいます。

最近はおかげさまでこういった経済圏設計でお引き合いをたくさん頂いており、リソースも限られているのですが、もし本気での開発をご検討の際には、お声がけ下さい!

また、共同開発以外にも、自社開発での「数値遊びの創造」をNFTで実現する各種プロジェクトにも取り組んでいますので、一緒にやってみたい!という方は、ぜひこちらのWantedlyページまでご連絡ください。
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