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風の幻想(オリジナル曲)
これまで、私の音楽遍歴と題して、社会人になる前の私が音楽とどのように関わってきたか、という話をしてきました。
上の二つ、小中学校の頃の記事は、音楽を作った話が中心でした。高校・大学時代になると、音楽を聴いているうちにピアノ以外の鍵盤楽器が欲しくなって、ついに買ってしまったという話。^^ その話は、続きがありまして、それはまた後日記事にしたいと思います。
さて、高校・大学時代は小中学校時代と違って、楽譜を書くこともなかったですが、ピアノの即興(実質でたらめ弾き)はやっていました。大学に入ってからは帰省した時にしていました。ただ、それを録音することはありませんでした。ですので実作は全く残っていないのですが、実家のピアノで弾いていた自作のテーマを一つだけ覚えていました。
そのテーマはこんな感じです。
音符が6つだけなので、これはテーマというよりモチーフと言った方が適切かもしれません。
このモチーフには、やや不安定で幻想的な雰囲気が感じられます。受験や、親元を離れてのアパート生活など、精神的に不安定だったことを思わせるものがあります。今となっては、これに続いてその後、どのような即興を楽しんでいたのか、全く覚えていません。
さて、数年前に、このモチーフを使って幻想的な曲を作りました。
タイトルは風の幻想(Wind Illusion)
6分ほどの曲です。お時間が取れる方はどうぞ聴いて下さい。
ジャケ絵は、動物の角で作られたゲムスホルンという角笛の画像をダブらせて加工したものです。
曲ではこのゲムスホルンの他に、三つのリコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、プサルテリといったルネサンス~バロック期の楽器を使っています。
なお、見出し画像は、ストリボーグというスラヴ神話の風神を崇拝する人々の様子を描いたもので、1698年頃のものらしいですが詳細はわかりません。
ストリボーグについては、Wikipediaに説明がありましたので、その一部を引用させていただきます。(注釈された引用文献は省略)
ストリボーグは、インド・ヨーロッパ系の神がその由来であったと考えられており、名前の由来も印欧祖語で「父なる神」を意味する語に求められると考えられている。名前については他にも諸説があり、古代イラン語で最高神を意味する語に由来している、あるいはスラヴ祖語で「破壊」を意味する語である、または中世ロシア語で「おじ」を意味する語と「神」を意味する「bog」の結合である、といった意見もある。「ストリ (Stri)」がスラヴ語では「風」を意味することから、風の神とみなすこともある。
参考:
以下は、やや専門的な用語を使っていますが、上の楽譜のモチーフがなぜ不安定な雰囲気になっているのかという説明を試みたものです。
このモチーフは、最初の小節が主音Cを基音とする7の和音の第3音を省略した形の分散和音になっています。第3音はその次の小節に登場させていますが、それまでの間、長調か短調か不確定なことと、もう一つ、最初の主音Cが耳に残るような旋律進行によって、Bが不協和音として響くという二つの理由で、このモチーフには不安定で幻想的な雰囲気が感じられるのではないかと思います。