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【エッセイ】 オーストラリアのゴミ収集事情 

 オーストラリアに住むメリットというと大袈裟だが、一つ良かったことはゴミを出すのが楽になったことである。今回は自分の日本での経験と、オーストラリアのごみ収集事情について書いてみた。

 日本のごみ収集システムは自治体ごと少しずつ違うが、基本的には近所の人が集まって作る町内会(自治会)が設置したごみ収集所を市町村のゴミ収集車が回収していくシステムである。ゴミ収集は自治体の仕事なのに、その運営を町内会に押し付けている、といつも思っていた。そのため常にローカルルールが存在し収集日の朝しかゴミを出せないとか、月に一度ぐらい収集所の当番が回ってきて、ルール通りゴミが出されているかチェックしたり、収集所の掃除などをしなくてはならない。もちろん、町内会によると思うが。

 日本の生活で面倒なことの代表格は、PTA、こども会、町内会(自治会)だ。時代遅れのルールがあってもそれを変えるのは容易なことではない。さて、我々が日本で最後に住んだところの町内会の範囲がかなり広く、ゴミ収集所まで車でゴミを運ぶ必要があった。自治体に問い合わせたところ、自分でクリーンセンター(焼却場)にゴミを持ち込むこともできることがわかり、我々は町内会に入らずセンターに持ち込む選択をした。この方法は我々の生活スタイルにあっていて、20年以上住んだが最後まで町内会には入らなかった。

 たまに「田舎に引っ越したが自治会の有力者に意地悪されてごみ収集所を使わせてもらえない」などのニュース記事を目にすることがあるが、自分たちのような選択はできないのだろうかと思ったものだ。(断っておくが、我々は全く意地悪されていないし、近所の人たちとも良好な関係だった)多分、自治体の頭が硬くて個人で焼却場に持っていくことが許されていないのかもしれない。
 
 さて、オーストラリアに引っ越してゴミに対するストレスが激減した。ビンと呼ばれる高さ1メートルくらいの大きなプラスティックの箱の中にゴミを入れて自宅の前に出しておけば、収集車がやってきて、車の横に付いているフォークリフトのフックのようなものでそのビンを持ち上げて逆さまにして収集車の中に入れていくのだ。一つのビンを処理する時間は10秒程度である。収集車が行ってしまったら、空のビンは自分で回収する。オーストラリアがこのようなシステムをとっていることは前から知っていたが、実際使ってみて本当に便利なシステムだ。

 あまり細かくはないがゴミの分別もある。残飯、雑草、枝などのグリーンウェイスト、プラスティックやガラスボトルなどのリサイクル物、その他一般ゴミに分かれていて、それぞれ別のビンがありそれぞれ収集日が決められている。分別法は地域によると思われるが、他の地域のことは知らない。また、粗大ゴミは予約すれば家の前から自治体職員が持っていってくれる。(ただし年に2回だけ。)

 ちなみにグリーンウェイストの中で伐採した木などは、マルチと呼ばれる5cmくらいのチップにされる。これは再利用され、例えば公園や学校などで雑草が生えて欲しくないところに敷き詰められる。

 その他、廃棄したい家電などの引き取りは、家電やDIYの店でやっていて、日本のようにリサイクル料金を取られることはない。多分、広大な土地が広がるオーストラリアでは、課金すると不法投棄が増えてしまう恐れがあるのだろう。

 以上、今回はあまり大した話でなかったが、オーストラリアのゴミ収集事情について紹介した。

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