読書メモ『生命式』

『生命式』 著者:村田沙耶香


村田沙耶香さんも好きな作家さんのひとりです。
『コンビニ人間』『消滅世界』『しろいろの街の、その骨の体温の』を読み、4冊目に手に取ったのが本書『生命式』です。

12話の短編集ということで、どんなお話が詰まっているのか、ドキドキワクワクしながら読み始めます。

「生命式」

いきなり、すごいのきた。
ページをめくってすぐに「ん?」「・・・え?」となります。いや、本当に。
さすが村田沙耶香さん、いろいろ凄すぎる。好きです。

本気で少子化対策したいなら、これくらいやらないと無理だよ、本気でやろうと思ってるの?舐めてるの?って言ってくれているようでなぜかスカッとする。

本気になるって狂うことと同じだ。
狂ったように何かをやることが本気になるということだ。

村田沙耶香さんの本を読んでいると、
無垢な瞳をした子供に「なんで、だめなの?」「なにが、いけないの?」と問われている気分になる。
「それはね・・・」と言いかけて、「あれ、何でだろう?」となる。
答えを持っていないから「普通はそうだから」とか「それが常識だから」と言ってしまう。

しかし、今ある「普通」とか「常識」と呼ばれているものなんて、すぐに変化していって、正しいものなんてどこにもないことに気づかされる。

今と10年前、20年前の常識だって真逆だったりする。
「イマドキそんなこと言ったらパワハラだよー」なんてことはザラで。

10年後はまた違った「普通」や「常識」が存在しているんだろうな。
でもそれって悪いことばかりじゃない。
そう思えると、日常のささいな問題が、いい意味でどうでもよくなる。

だから、

「まあ、そうかりかりするなって」

村田沙耶香「生命式」,㈱河出書房新社,2019年10月30日,23頁


衝撃的な1話目を読み終わり、次は一体どんな話が・・・?と読む手が止まらず、いっきに読んでしまいました。

個人的に面白かったのは3話目の「素晴らしい食卓」です。
地獄のような素晴らしい食卓が繰り広げられますが、最終的には平和(?)です。比較的ライトで読みやすい・・・はず。


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