読書メモ『空想教室』
好奇心を"天職"に変える『空想教室』
著者:植松努
宇宙開発をしている北海道の町工場「植松電機」
そこの経営者の方が書かれた本です。
「下町ロケット」のような大企業VS町工場みたいなストーリーなのかな?と思いながら表紙をめくり、目に飛び込んできた一文
表紙の穏やかな表情のおじさんが語りかけてきます。
「あなたは何が好きですか。」
1ページ目にして目から涙が溢れてきます。
多分そのとき私は疲れていたのでしょう。
帯にはこう書かれています。
”忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくる。”
「夢」だけでなく「涙」もあふれてきます。
夢と涙は切っても切り離せない関係かもしれない、と思いつつ読み進めていきます。
著者は子供のころからロケットが好きで、その「好き」をとことん追求して、ついには自家製ロケットを打ち上げるという「夢」を叶えてしまいます。
他人からどんなにバカにされようが、無理だと言われようが、諦めない。
壁にぶつかっても、失敗しても「どうしたらできるのか」を考え続ける。
「夢」を思い描き、思い続けるためのマインドが優しい言葉で綴られています。
ところで、好き・・・私の好きなものは何だった・・・?
ああ、そうだ。私は絵を描くのが好きな子供だったなぁ、と思い出します。
漫画やアニメを見るのが大好きで、よく真似て絵を描いていました。
けれど子供ながらに自分がそれで食べていけるとは思わず、早々に諦めていました。誰かに反対されたわけでもないのに、自分で自分に「無理だ」と言い聞かせ、むしろ絵を描くことから遠ざかるようになりました。
自分より上手い人なんていくらでもいる。
成功できるのはほんの一握りの人だけなんだ。
そもそも才能がない。
できない理由ばかり並べて、自分を納得させていました。
そのツケがきっと回ってきたのでしょう。
この本を読みながらこんなにも涙が出てくるのは。
どうしてもっと自分の「好きなこと」に向き合ってこなかったんだろう。
もっと素直になって、下手でも、かっこ悪くてもいいから、「好きなこと」に自分の時間を捧げればよかった。
・・・と後悔ばかりしていても、仕方ないので、これからどうするのか考えます。
自分の夢、やりたいことを具体的に思い描く
また絵を描くでもいいし、文章を書くことでもいいでしょう。
自分の好き、楽しい、やりたいことに向き合って、続けてみる。
今からだって決して遅くないのです。自分さえ諦めなければずっと続けることだってできます。
使う言葉に気をつける「でも」「だって」「どうせ無理」禁止
他人に対してはもちろん、自分自身に向かっても言ってはいけません。
自分で自分に「どうせ無理」の呪いをかける必要なんてないのです。
失敗を責めるのではなく「これからどうすればいいのか」「どうすれば上手くいくのか」を考える
新しいことに挑戦して、失敗したとしても、
未来志向でいれば、少しづつでも前に進むことができるはずです。
本書にはたくさんの素敵な言葉が詰まっています。
お金があるから何でも手に入るという考えは「とんでもない勘違いです。」とズバリ書かれていて、なるほど確かに、と思いました。
誰かが便利なモノを作ったりサービスを提供してくれていることにあらためて感謝の気持ちが湧いてきます。
戦争を生き延びた著者の”ばあちゃん”の言葉です。
壮絶な経験をした人の言葉の重みすごい・・・。
アメリカの宇宙船を作る会社を訪ねた時に著者が自己紹介で、「本が好きです」と言うと、相手のアメリカ人が「どんな本を書いているの?」とたずねます。「書いてないよ」という著者に対して「好きなら書いてみたら」とすすめてきます。
作り出す”趣味”は確かに何倍も楽しそうです。
絵を描く、本を書く、作曲してみる、料理を作る、DIYする・・・など、
消費するだけでなく、作り出す楽しさを味わうことができたら人生の充実度が変わってきそうな気がします。
読み終わって、こんなに勇気がもらえる本は、はじめてでした。
これから「夢」を叶えたいと思っている子供たちにも、「夢」を忘れてしまった大人にも読んでもらいたいと思える一冊です。