読書メモ『かがみの孤城』
『かがみの孤城』著者:辻村深月
あらすじ
中学一年生の主人公”こころ”は、不登校になり家に閉じこもる日々を過ごしていた。ある日部屋の鏡が光だし、時空を超えた孤城へと招かれる。
ある共通点を持つ7人の中学生が集められた"鏡の孤城"。
そこには何でも願いが叶う”鍵”が存在するという。
この中の誰かが鍵を見つけて願いをかなえるのか、その先にはどんな未来が待っているのか——
この本を読み始めて、まず思ったのが、30代後半の自分には、中学生主人公とファンタジー要素強めな世界観についていくのが、精一杯だ・・・!という気持ちでした。笑
主人公の繊細さ=丁寧な描写
中学生の心の状態がすごく繊細に書かれています。
とくに主人公のこころちゃん、何て繊細なの!
相手の言葉・表情、すべてに反応している。
作者が、感情の動きをひとつひとつ丁寧に言葉で表現しているので、そのように感じるのだと思います。
「問題」のとらえ方は人それぞれ
こころちゃんにとっては、クラスメイトの”真田さん”にされたことが「殺される」と感じるほどの恐怖で、学校に行けなくなる。
一方、真田さんにとっては、「恋愛」や「自分がクラスの中心であること」が重要であり、自分は正しいのだと信じている。
ちなみに、私自身、中学時代はクラスに友達がひとりもいなくて、完全に”ぼっち”でした。
しかし当時の私にとって重要なことは「勉強すること」であり、「孤独」よりも「授業についていけなくなる」ことのほうが恐怖でした。
(頭のいい、勉強できる子ではなかったので)
おかげで(?)友達がいなくても、クラスメイトから無視されても、不登校になることはありませんでした。
本当に人それぞれだと思いました。
こころちゃんが真田さんに対して「言葉が通じない」と感じているのも、わかるなぁ・・・と。
喜多嶋先生と東条萌ちゃん
印象に残った人物としてこの二人をあげます。
喜多嶋先生はフリースクールの先生で、主人公のように学校に通えなくなった子たちに寄り添ってくれる存在として登場します。
この先生の存在が物語の”希望”のように感じました。
東条萌ちゃんは「たかが学校」と言ってのける女子中学生です。
大人になれば確かにそう思えるけど、中学生でそう思うのはなかなか大人びているなぁ!と思いました。
ただし、そう発言する萌ちゃんも、真田さんたちを意識して、こころちゃんから離れるあたり、中学生っぽさもある子だと思いました。当然ですが。
「たかが○○」と思う
「たかが会社」「たかが仕事」「たかが○○」
自分にはこれしかない、ここしか居場所がない、と思い詰めず、視野を変えてみるといいのではないかと思いました。
「中学生の世界って狭いからな」とか思っていた私ですが、大人の自分の方が案外視野が狭くなっていることだってあると思います。
読み終わって
30代の自分にはついていけるか不安なお話でしたが、後半になると、いっきに読んでしまいました。
自身の中学時代を思い出しつつ、周りの人に中学時代どうだったか聞いてみたりして、話が盛り上がりました。
昨年12月に映画化されているので、映画も観てみたいですね。
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