読書メモ『闇祓』

『闇祓』著者:辻村深月

辻村深月さんもとても好きな作家さんのひとりです。
本作はホラーミステリということで、ワクワク、ドキドキ、ゾクゾクしながら読みました。怖いけど面白い・・・この感じ、好きです。
闇祓=ヤミハラと読みます。
「闇」を一方的に押し付けてくる、やみハラスメント。

私は、この世で一番怖いものって「生きている人間」だと思っています。
お化けとか妖怪とかより断然怖い。
昔、後輩と二人で夜遅くまで残業していたときに「夜の会社ってお化け出そうで怖くないですか?」って話しかけられて、
「生きている人間のほうが怖いわ!」って会話したのを思い出しました。

「怖くない。あの『家族』は確かに想像を超える。だけど、使うのはあくまで、言葉と行動。それは僕らができる範囲のことと変わらない。いかにあいつらだって、なんだってできるわけじゃない」

辻村深月「闇祓」,㈱KADOKAWA,2021年10月29日,386頁

「言葉」と「行動」だけで人を追い詰め、闇へ引きずり込み、死へ向かわせる『家族』がでてきます。
小説で読むと特別怖い『家族』みたいに感じますが・・・ふと考えると、現実世界のどこにでもいそうな人たちです。

モラハラ、パワハラ、セクハラ、いじめ、マウンティング・・・
一方的に「何か」を押し付けてくる人たち。

やっぱり人間って怖いよー!人間関係って面倒くさいよー!!
もう誰とも関わりたくない・・・(泣)
というわけにはいかないので。

この本を読んで思ったことは、
いざというときに、いつでも逃げられるようにしておいたほうがいい。
ということでした。

なんでも逃げればいいというわけではもちろんないです。逃げてはいけない問題だってあります。

ただし、理不尽すぎること、言葉が通じない相手からは早く逃げたほうがいい。
「逃げる」という言葉だとネガティブに聞こえてしまうので、「身軽になる」「選択肢を持つ」と言うほうがいいのかな。
「逃げるは恥だが役に立つ」という言葉がありますが、ヤミハラにあったときは
「逃げるは恥とか考えていないで、今すぐ逃げたほうがいい」ですね。
あと「居場所」を複数持つことがやはり重要なんだと感じました。

「人間」が一番怖いと思うと同時に、一番面白い存在であると思います。
怖がりすぎる必要はないけれど、関わり方を冷静になって考える瞬間を忘れてはいけない、そんな気持ちを教えてくれる作品でした。
ありがとうございました。




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