ライスカントリー米里

最近ニンジャがすき。他にもいろいろすき。

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最近の記事

けもの往く路

「ドミー!!」 夕暮れの山道に少年の痛切な叫びが響いた。声の先にあるのは三つの影。人と獣と、人の死体。 死んだ男の喉笛に咬みついていたのは死体よりも一回り大柄な獣。生き残ったもう一人の男は震え声を漏らしながら既に山中へと駆け出していた。 獣はその足音を聞き逃さず、獰猛な視線を逃走者に向け、瞬時に後ろ脚で地面を蹴った。しかし――。 「ドミーもういいよ!アイツはどうせもう襲ってこないって!」 ドミーと呼ばれた獣は前脚を上げたまま立ち止まる。その背に駆け寄った少年は、毛皮

    • MONO

       心臓が軋む音がした。自分のではなくこの星の。  『立ち入り禁止』と掲示された外壁を軽々と乗り越え、数年来の日課である不法侵入に興じていた少女、スカイラー・ウッドはその瞬間明らかな異常を知覚し、駆け出した。  少女がぎょろりとした単眼で横目に睨む巨大な円柱は『いかづち1号』。星の外郭を巡るパイプラインの心臓部として稼働する波動炉の1基である。人体に有害な波動域を周辺数10メートルに発生させる波動炉施設は無人で運用されるのが常であり、波動域の外を円形に囲む外壁正門にこそ警備員

      • 鼎蒼の加護

         世界の端から這い出し、限り無い蒼の中へ投げたその身が垂直に加速してゆくのを感じながら、男は『解放』という言葉におぼろげな実感を覚えた。  身体を繋いでいた首輪は断たれ、歩く事の出来ない下半身が重荷となることも無く、たった今まで這っていた場所は視界の彼方で小さくなるばかり。解き放たれた。この蒼の中ではもう何にも縛られることはない。しかし。  ――俺は何をやっている?  世界の全てだと感じていた場所から身を投げながら、男は自らの行動の意味を理解できずにいた。不鮮明な意識で

        • 【感想】ずっとほんのりヤバかった大賀美詩呂という女【少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Regalia】

          いよいよ明日!幕が開きますね!!『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Rebellion』!! 我々のシークフェルト観をまた塗り替えて行くであろうその舞台の前に、前作である中等部舞台第一弾Regaliaの感想を一旦まとめておこうということで久々にnote書きました。 元々は去年の10月にRegalia初見の衝撃のまま書き散らしていた(けど勢いで書きすぎてまとめられてなかった)書きかけ記事に改めて加筆修正を加えたものです。 ※ネタバレと自己解

          3■『血中のアンコさえクリーンにできれば』……そうしてオハギ中毒者は現実から目を背けた■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          ドーモ、こちらはライスカントリーがツイッターで書いてた感想まとめの3番目です。 前回のまとめは去年の5月……ええ……? その間何をしてたのかと言えば特に何もしてなかったわけですが、まぁ私はこれぐらい適当に生きている人間なのでそのように理解してください。 今回で1巻分はオワリ!さぁ始めるぞ! 読んだ順番は書籍版に準拠 でも読んだのはツイッター連載版 でも今回から途中で書籍版も買った 読んだのは去年の2月ぐらい ネタバレがいっぱい サプライズド・ドージョー「ヒュー

          3■『血中のアンコさえクリーンにできれば』……そうしてオハギ中毒者は現実から目を背けた■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          私の『0』を『1』にした逆噴射小説大賞2022【前編】

          ドーモ、ライスカントリーです。 今年の1月までの私はダイハードテイルズという存在を知らず、小説を書いた事もありませんでした。 10月までの私は逆噴射小説大賞という企画を知らず、二次創作SSしか書いた事がありませんでした。 そして11月現在の私は逆噴射小説大賞という企画への参加を終え、2本の800字オリジナル小説を書いた事のある私となっております。 これは私にとって実際大きな変化であり、今の心情を率直に述べると、 小説書くの楽しいぃぃぃ~~~!!!イェイイェイhappy!!

          私の『0』を『1』にした逆噴射小説大賞2022【前編】

          竜谷のイマーグリン

          『竜に食われて死ね』  エルフは「せいぜい長生きしろ」という意味でそんな皮肉を言うのだと昔父さんから聞いた。  果てしない年月を生き、竜が捕食などしない事をよく知る彼らには、『竜による死』など冗談か世迷言でしかないのだろう。  だが人間にとっては違う。エルフよりずっと死に近く、竜から遠い俺たちは、たとえ食われる事が無くとも竜を目にすれば生きては帰れないのだから。  竜とは動植物が生存できない程に濃いマナの大気に棲息する存在。人が肉眼に竜を映すという事は、既に引き返せない程深

          竜谷のイマーグリン

          紅き忠義は苔むして

           廃村と呼ぶにはあまりに瑕疵のない家々が並ぶ無人の村。  この地からおよそ全ての生命が失われたのは4日前の事。そして今、最期の脈動さえ絶えつつある村に五つの人影が踏み入った。揃いの羽織に揃いの髪色、その頭髪は異様な紅に耀いていた。 ◆  無人となった村随一の屋敷の一室。どこから連れて来たのか、意識の無い2人の少年を部屋の中央に寝かせながら、紅髪の男女が言葉を交わす。 「やーこんな村で2人よ2人!両方当たりだったら凄くない?」 「だとしても末の配属は『銀髪』だろう。釈然と

          紅き忠義は苔むして

          地方オタク、推しコンテンツのキャストに名刺を貰いに行く【レヴュースタァライト】

           ドーモ、ライスカントリーです。九州南部の地方都市に住んでいます。  一昔前の田舎オタクと言えば、ローカル放送がないために大半の深夜アニメが見られなかったり新刊が書店に並ぶのに数日のラグがあったりで『地方格差』の4文字に常に生活を脅かされていましたが、10年代を通して大半のアニメはネット配信が当たり前になり、新刊は電子書籍で家に居ながら即日読めるようになりました。本当にいい時代になったものです。  一方で、ネットを通してデジタルコンテンツが誰にも平等に降り注ぐ環境は、逆に

          地方オタク、推しコンテンツのキャストに名刺を貰いに行く【レヴュースタァライト】

          2■トーフプレス機に右腕を奪われた男の怒り、そして夢■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          ドーモ、こちらはライスカントリーがツイッターで書いてた感想まとめの2番目です。 ボケっとしてたら前回まとめから3ヶ月経ってますが、ツイッターで書いてた当時は1週間ぐらいしか経ってないので気にしないでください。人の営みとはそういうものです。 読んだ順番は書籍版に準拠 でも読んだのはツイッター連載版 ネタバレがいっぱい 前回までのあらすじ:忍殺ドネート企画とかスパイダーリリィとか本編外の情報をツイッターヘッズたちに聞いて心が乱れたライスカントリーが読み進める本編に待ち受

          2■トーフプレス機に右腕を奪われた男の怒り、そして夢■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          1■主人公の師匠について何も知らないのに初登場回で爆発した■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          ドーモ、ライスカントリーです。 2022年1月のツジギリめいた布教をきっかけに、自分でも全く予想していなかったニンジャ生活が始まりました。 この記事はツイッターで呟いた感想を、気まぐれな修正を加えつつまとめたものです。 記事としてまとめると文章のメリハリがなんとなくアレだったので各話の最初にあらすじ的なのを書いたり、最後に振り返り的なのを書いたりしました。 読んだ順番は書籍版の収録順に準拠 でも読んだのはツイッター連載版 ラスガだけ順番飛ばして最初に読んだ(大事な回な

          1■主人公の師匠について何も知らないのに初登場回で爆発した■ニンジャスレイヤー感想まとめ

          【ネタバレ感想】カッコヨスギ代晶を観た【レヴュースタァライト エーデル Delight】

           スタリラキャラが動いとる!!Live2Dの可動域を超えて!!!!!  いやーーーーーずっと楽しみにしてた舞台スタリラ。無事に幕が開いてくれてとにかく嬉しいです。現地で観劇できなかったのは残念でなりませんが……とにかく幕が開いてくれて……どうか最後まで無事でありますように……。  というわけでネタバレ全開で感想吐き出したくなったのでnoteを利用することにしました。雪代晶!!!!! 書いた人 スタァライトは2018年のアニメから 舞台は映像で追えるものは全部追ってる

          【ネタバレ感想】カッコヨスギ代晶を観た【レヴュースタァライト エーデル Delight】

          ショーゴー=サンが7年前からイケメンだったおかげでニンジャ読み始めた

          ドーモ、ライスカントリーです。 カップリングなども嗜みますが根本的には『関係性』そのものに重点しており、どのような形の人間模様の矢印もあればあるほどよい、といった趣向で、キャラの老若男女を問わずいかがわしい目を向けるタイプのオタクです。 そんな私が『ニンジャスレイヤー』なる奇妙奇天烈小説を読み始め、1部からエピソードごとに感想ツイートを吐き出す生活を始めたのが2022年1月の事でした。 感想ツイートの方はその都度個別の記事としてまとめて行くつもりですが、ひとまず最初の記事

          ショーゴー=サンが7年前からイケメンだったおかげでニンジャ読み始めた