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アイデアの価値 と 実行の価値

「作ってみたい靴があるんです。今までにない靴なんです。どこか作ってくれるメーカーさんを知りませんか?」


以前に書いていた靴Blogのお問い合わせページからよくもらったメール。
ちなみにその「作ってみたい靴」を実際に作った方はいらっしゃらなくて、構想やデザインは思い描いているという段階でメールを頂いている。

例外なく「今までにない、すごいアイデアの靴なんです。詳しくは話せないのですが…」という内容。
最初は返信をしていたけど、全く同じ内容のメールがちょくちょく来るので、最後は「作ってみたい靴がある人へ」とのタイトルでBlog書き、それを読んで下さいと返信していた。


と、昨日のけんすうさんのTwitterみて思い出した。
私レベルでもこんなメールもらうので、けんすうさんならたくさんそんな人が来るのだろうな。


素晴らしいアイデアを思いつくことは大事、でもそれを実現する実行のハードルを超えるほうがより大事。
そんなことを綴った過去のBlogが残っていたので貼ります。
文中で紹介しているスティーブ・ジョブズのインタビューは配信もあるので、ぜひぜひ機会があればフルバージョンで。
示唆に富む言葉が散りばめられてますよ。

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このBlogを通していろんなメールを頂くようになりました。
何かのお役にたてていれば嬉しいです。
そして個人さんたちからのお問い合わせがほぼ同じ内容なので、返信がてら記しておこうと思います。

「作ってみたい靴があります。どこかで作ってくれるメーカーさんを知りませんか?」

という内容です。ちなみにその「作ってみたい靴」を実際に作った方はいらっしゃらなくて、構想やデザインは思い描いているという段階でメールを頂いています。
これに対しては「まずご自身で作ってみたい靴を実際に作ってみては」と返信しています。


靴業界でなくても靴の学校はたくさんあるし、靴を作ったことがなくても今ならば3Dプリンターや研削機でモデリングをしたりモデルを作る手段はたくさんあると思います。


日本の靴業界はとても厳しい現状です。
老舗のメーカーさんや問屋さんの倒産が頻繁に聞こえてきます。
こんな状態で「今までにない靴」を一緒に試行錯誤して伴走してくれるメーカーさんを探すのは難しいと思います。


モノ作りは企画の段階から実際に手を動かしていく過程で、出来ること、出来ないことを選別しながら形を変えて製品になっていきます。
その過程を人に委ねることは難しいと思います。

スティーブ・ジョブズのインタビュー。


モノ作りをしている人であれば共感してもらえると思います。
「製品に発展させる中でアイデアは変容し成長する」
その通りで、作る過程というのは試行錯誤の連続です。

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「作ってみたい靴がある」という方は、まずはご自身で試行錯誤をして現物を作ってみることをスタートにしてみてください。

そこで実際に試してみて、小ロットを製品化したい場合は

①ご自身で作る
②取り仕事の職人さん(型紙師・製甲師・底付け師など)に一つ一つの過程をお願いする

のが小ロットでこなせる方法だと思います。
私の周りの靴を製作することのできない個人デザイナーさんは②で作っている方が多いです。

ちなみに国内メーカーさんだと最小ロットは300〜500前後(サイズ展開こみ)と伝えられると思います。多いと感じるかもしれませんが、靴は製造パーツが多く、それらをオリジナルで作ることやサイズ展開を考えるとこれ以上の少ないロットの交渉は難しいと思います。

ご自身で在庫を積んで販売していく覚悟があれば、現物を持ち込んでメーカーさんと交渉をしてみるのが良いかもしれません。

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参考になりそうなリンクを貼っておきます。

東都製靴工業組合の靴つくりについての総合サイト。
http://www.tokyo-shoemakers.jp/
東京の靴学校やメーカーさんの求人などが掲載されています。

浅草ものつくり工房
http://monokobo9.com/
靴やバッグなど台東区の地場産業に特化したシェアオフィス。

インキュベーターの城さんは靴の情報誌「シューフィル」の編集者でもあります。
http://www.shoephile.co.jp/

神戸ケミカルシューズ工業組合
http://www.csia.or.jp/index.htm

大阪靴メーカー共同組合
http://osmu.jp/


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