東京・大阪・神戸の靴メーカー
靴の生産地、っていうとどこを思い浮かべますか?
いくつかある中で、ある程度メーカーが集まっている地域というと、東京の浅草、神戸の長田、大阪の大国町が思い浮かぶのではないでしょうか?
その他にも静岡や福岡や各地に靴のメーカーはありますが、ここでは主要な浅草、神戸、大阪のメーカーについて紹介しようと思います。
各地域の特徴を個人的な視点もふまえて紹介するのですが、もちろんこの特徴をもったメーカーがこの地域だけに存在するのではなく、浅草のエレガンスな雰囲気をうまくこなすメーカーは神戸や大阪にも存在するし、ミセスをうまくこなすメーカーは神戸や浅草にもあります。
どこが技術が上、下とかいう基準ではなく、それぞれ特徴があります。
なので、こういう傾向のメーカーが集まってますよー、という視点で見ていただけたらと思います。
・ 浅草の靴
・ 神戸の靴
・ 大阪の靴
● 浅草の靴
東京では浅草を中心に靴メーカーがたくさんあります。
そのほとんどが革を素材に使った小規模の革靴メーカーです。
浅草は革を素材に正統派な製法で綺麗に靴を作る靴メーカーが多いです。
高価な革を使ってエレガンスに仕上げたり、グッドイヤー製法で高価な紳士靴に仕上げたりするような、ある意味正統派な靴は浅草が上手だと思います。裏も表も革素材を使って、熟練の職人が伝統的な製法を用いて手作業で仕上げている雰囲気です。
また、大抵の浅草のメーカーは浅草の革屋を主要取引先にしているのですが、浅草の革問屋はエレガンスな素材やインポートの雰囲気の革を揃えているところが多いです。
インポートを意識したアパレルブランドで、高級な靴を作りたいという場合には浅草でメーカーを探すのがオススメです。
ただ、値段は他の地域と比べると高いので、こってりとデザインが乗った靴や金具をたくさん使った靴などは、ある程度の金額になることを覚悟しないといけないかもしれません。。
● 長田の靴
神戸は長田を中心にケミカル(合皮)シューズメーカーがたくさんあります。
神戸の震災をきっかけに中国などの海外メーカーと提携して、手がかかる製甲を中国やカンボジアなどのメーカーに依頼して、底付け以降の工程を日本で仕上げる、ノックダウンという形式をとっているメーカーも多いです。
合皮素材や布などの雑材を素材にしたケミカルシューズ専業だけではなく、ケミカル靴も革靴も製造しているメーカーもあります。
神戸ではエレガンスからカジュアル、ミセスまで多種多様のケミカルシューズが製造されているのと同時に、味のある革を使った履き心地のよさそうなゆったりしたカジュアルシューズを製造しているメーカーも多く見ます。
浅草や大阪は問屋からの仕様書を元にサンプルを作る小規模メーカーが多いのに対して、神戸は自社で企画をして展示会を開き、OEMで素材や仕様を少しだけ変更して、ネームを取引先のブランドにして納品したり、自社ブランドでお店を開いていたりする、中規模のメーカーが多いです。
神戸で年に3回開かれる、卸・小売り業者向けの展示会「グランドシューズコレクション」には長田を中心としたたくさんのメーカーが出展しています。
仕様書を作成して靴を依頼するのはハードルが高い、ロットもそんなに出せないし、手頃な価格帯で自社商品にあう靴を揃えたい、などの場合には神戸の展示会でメーカーを探すのがいいかもしれません。
ちなみに神戸のようなケミカル素材を浅草や大阪の革靴メーカーで作ろうと思うと、革と同レベルに高くなる上に、あまりキレイに仕上がらないことが多いです。
これは、革靴メーカーは革屋とは直接取引があるけれど、ケミカル素材メーカーとは取引がない場合が多く仲介業者を挟む為に値段が高くなる事、ケミカル素材は革の様に伸びないので、型紙や製造が慣れていないと難しい為です。
● 大阪の靴
神戸や浅草ほど大きくはないですが、大阪も昔からの靴産地として有名です。
大阪は南の中心街の難波から一駅先の大国町を中心に靴メーカーが集まっています。
大阪の靴は履き心地がよさそうな、ミセスの靴を作るメーカーが多いです。ウレタンやEVA素材のモールド底を使用して、裏材をスポンジにしてふんわりと仕上げたような靴の雰囲気。
大阪の革問屋の革もミセス向けのふんわり仕上げた革が多く目につくのと、揃えてる革の色味やプリントのデザインもミセスの靴に合いそうな雰囲気が多いように思います。
ミセスを意識した履き心地の良い靴を揃えたい場合には、大阪でメーカーを探すのがオススメです。
個人的な経験を元に東京、神戸、大阪の靴メーカーさんを紹介してみました。
もちろん、あてはまらないメーカーさんも多々ありますが、傾向としてとらえてみてください。
「靴をメーカーさんに依頼したい」「靴修行したい」と思った時に参考になればいいなと思います。