![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/38748536/rectangle_large_type_2_a234190ccc09e534f375b6ff2ac3819f.jpg?width=1200)
資生堂ギャラリー Ask him 橋本 晶子展
資生堂ギャラリーにて橋本 晶子さんの展示(~11月22日終了)を鑑賞しました。
吹き抜けの展示空間に余白をたっぷりとって作品が飾られている。ある作品は角に沿って貼られ、別の作品は見上げるように上方に備えている。
少しだけベージュがかった紙に鉛筆で書かれたデッサン画がギャラリーの真白な壁に貼り付けられており、その現実と非現実の狭間を曖昧にするグラデーションに誘われるように絵の中の世界に惹きこまれる。
没入するのではなく、境界線の狭間からあちら側をのぞいている感覚にとどまるのは、面白い体験であった。
デッサン画であることや、四隅に描かれたセロファンテープの描写、違和感を作り出す凸折、ガラスを通して作られる屈折、など随所に工夫が施されて、覗き込むような世界観を構築している。
私にとってはGO TO TRAVELで周遊ツアーに出かけたようなとても気持ちの良い展示でした。
特に写真では伝えられないギャラリーの空間の余白が作品と相乗効果を生んでいると感じましたので、お近くの方は足を運ばれてはいかがでしょうか。
ここにいながら遠くを見るための、絵のある風景をつくっている。
壁に絵があるとき、ここと、ここから届かない遠くとがささやかに触れ合う。
それがふと目に映り、また映るたび、見る人はふたつの間を何度でも行きかう。
それは遠くを見ながら、同時に自分の足元・ここにいることに気づく時でもある。どうぞごゆっくり。
橋本 晶子