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あの映画のロケ地にもなった町並みを歴史さんぽ ~倉吉の白壁土蔵群~
赤い瓦に白壁、石橋がかかる土蔵群はしっとり大人の雰囲気。人生初の体験にも挑戦!
鳥取~島根~広島~岡山② りろの旅エッセイ
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雨で砂が硬くしまった鳥取砂丘を少し散策したあと、白兎海岸近くにある「道の駅 神話の里 白うさぎ」に立ち寄ると、話題の「すなば珈琲」のカウンターが!
ひと昔前、スタバが一軒もない唯一の県とウワサにのぼった際に知事が発したコメント「スタバはなくともスナバはある」が大ウケし、それがきっかけで誕生したコーヒー店だ。これはぜひ味わいたいと、さっそく鳥取砂丘の砂でコーヒー豆を焙煎したという砂焼きコーヒーをオーダー。砂焼きの効果なのだろうか、苦みに角がなく、酸味も抑えめでとてもまろやかな味わい。うん、気に入った。焼き立てパンも買い足して、遅めの朝ごはんタイムを楽しんだ。
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次の目的地、倉吉は、美しい日本の歴史的風土100選にも選ばれている「倉吉市打吹玉川伝統的建造物群保存地区」がある町。倉吉市役所の駐車場に車を置き、すぐそばの町並みを散策した。
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小雨のせいもあるのだろうか、しっとり落ち着きのある家並みに心が安らぐ。全体的に黒っぽい色合いが印象的なのだが、これは石州瓦(せきしゅうがわら)のせいだろうか。
石州瓦とは島根県西部の石見地方で生産されている伝統的な屋根瓦だ。みなさんは電車で山陰地方を通る時、車窓の景色が少しずつ赤茶色っぽくなっていくのを体験されたことはあるだろうか。鳥取県や島根県、山口県辺りで急に赤味がかった屋根を持つ家々が目立ち始める。山あいの集落ではすべての家が赤茶色の屋根であることも多い。これが石州瓦だ。海と山を持ち、自然が猛威をふるうことも多々あるこの地域において、強い耐性を備えた伝統的なこの瓦が人々の生活を守ってきた。この土地の土と釉薬を使って1300度の高温で焼成される高品質の瓦は、400年続く山陰地方の誇りなのだ。
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この色合いは間違いなく倉吉の町並みを特徴づけているようだ。焼き杉板の黒さとベンガラ格子に石州瓦の赤茶色を、漆喰壁の白さがアクセントになって際立たせている。加えて目を惹くのは玉川沿いの土蔵群に代表される水路の存在だ。苔むした一枚岩の石橋が何本も連続してかかる風景は倉吉を象徴している。
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やわらかい山容を見せる打吹山(うつぶきやま)を背に、細い水路の玉川沿いに土蔵が連なる情景。映画『男はつらいよ』のロケ地にもなったこのエリアは、室町時代に打吹城の城下町として発展した。城は廃城となったが、江戸時代には陣屋を中心に武家屋敷が立ち並び、明治、大正時代にかけては商業都市としておおいに栄えたという。江戸、明治、大正、昭和それぞれの建物がほどよく残されていて、古き良き日本の空気感が今も残る。建物を守りながら商店や飲食店として活用しているスポットもあり、歴史をしのびながら歩くにはちょうどいい大きさの町である。
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石橋を渡って武家屋敷の軒先をのぞいたり、伝統工芸品である「倉吉絣(かすり)」を展示販売している「倉吉ふるさと工芸館」で藍色の芸術を愛でたり、大きな杉玉がぶら下がる酒蔵でにごり酒を買ったり。ぶらぶら歩くだけでも見どころがありつつ、かと言ってあまり観光化し過ぎていない静かな雰囲気がとても心地よい。香ばしい匂いにつられて入った古い商家造りの「桑田醤油醸造場」では、昔ながらの製法で仕込まれた「再仕込み醤油」を土産に購入した。
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一日ゆっくり過ごすなら、倉吉の伝統工芸である張り子「はこた人形」や倉吉絣の体験もしてみたいところだ。今回はあまり時間の余裕がないので、町歩きの最後にどうしてもやってみたかったことだけに的を絞った。
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そう、文字通り、的を絞ったのである。昔からずっと、一度でいいから弓道をしてみたかったのだ。人生初の弓道体験を、いざ!
石造りの洋館っぽい建物がモダンな「まととや」。ここではたった500円で、本格的な弓道を体験させてもらえる。矢5本コースを選び、ワンコインを支払って位置に着く。先生に皮の手袋を装着していただくと実感がわいてきて、期待と不安で心臓がドックンドックンはち切れそう。もう一人、たまたま一緒に体験することになった爽やかな青年に思わず声をかけた。
「やったことあります? 私、ほんっとに初めてなんですけど」
「いや、僕も初めてなんです!」
「そうですか! じゃあがんばりましょうね」
あまりにも自信がないので、知らない人を励まして気持ちを落ち着かせてみた。
初心者向けに、着席で矢を射る形。的までは8メートル。
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相方が激写してくれました
先生に言われるがまま、弓を手にして矢を持つ。
「はい、そのまま肘を後ろに引いて」
こ、こうか。
矢を引く右腕よりも、弓を持つ左腕を動かないように支えるのがけっこう大変。見るとやるでは筋肉の使いどころが違うものだ。これで右手を離しても、矢が前に飛ぶとはとても思えないのだが。どう考えても目の前にボロンと落ちそうだぞ……。うーん、もっと引くべきか、うーん腕が震えるうぅーーー。
ドスッ
と、飛んだ! 前に飛んだ! いやもう矢が前に飛んだだけで感動だ! しかもなんと、的のそばに矢が刺さっているではないか。壁まで飛んだのだ! 届いたのだ!!
「ちゃんと飛んだーーー!!!」
横の青年が放った矢も壁に刺さった。
「やったぁ!」
見守ってくれている相方も、青年のご家族も「おおっ飛んだ!」と声をあげる。
小さな部屋がにわかに歓声で満たされる。なんという爽快感。こりゃたまらん!
5回のトライで、ほんの少しではあるもののコツが掴めてきた。肩甲骨の真ん中に筋肉を集めるように、しっかり背中の筋肉を使って弓を引き絞る。ここまで引けばOKだと感じてから、さらにもう少し背筋を引き締めて限界まで矢を引くと勢いよく飛ぶ。深呼吸をして精神統一してから静かに指を離すと、スタートがブレずにまっすぐ飛びやすいようだ。もう少し続けたい、と思ったところで最後の矢。的のギリギリ脇に突き刺さり、先生にお礼を述べて青年と気持ちよく挨拶し、人生の初体験を終えた。いやぁ弓道はやはり素晴らしい。今からでもイチから始めたい。
念願が叶った喜びついでに特産品の大きな梨を買い込み、倉吉をあとにした。
※次は大山の紅葉を見に行きます。ずっと雨予報なんだけど、果たして山に行けるのだろうか……
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DATA
倉吉市打吹玉川の白壁土蔵群(倉吉市打吹玉川伝統的建造物群保存地区)
●アクセス……JR倉吉駅から白壁土蔵群までは倉吉駅バスターミナル2番乗り場より路線バスが運行(おおよそ5~10分間隔で運行。所要時間は12~17分)
●車……米子道 湯原IC から約40分
●詳細はJR倉吉駅内観光案内所(エキパル倉吉)や、倉吉白壁土蔵群観光案内所へ
https://www.kurayoshi-kankou.jp/information/
(一般社団法人 倉吉観光MICE協会)
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