生物多様性と衛星データ その7
(宇宙投資の会では、2023年度はこのテーマに注目をしたいと思います。このタイトルでしばらくブログを書きます。こちらにも掲載しています。宇宙投資の会のHPでも掲載しています)
Roundtable Sustainable Perm Oil (RSPO)
“森をまもるカップヌードル?「カップヌードル」を作る全工場で、環境と社会に配慮した「RSPO認証パーム油」を使用開始”
2020年2月日清はこのようなお知らせを発表した。パーム油は食品から石鹸、シャンプーなどあらゆるものに利用されているが、最近“RSPO認証されたパーム油だけを使う”と宣言するところをよく見かける。この認証はなんだろうか。この認証があると何がサステナブルなのか。
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そもそもその前に、パーム油の何がサステナブルではないのか。
簡単に言えば、まずパーム油が採れるアブラヤシの木を植えるために亜熱帯林が伐採されるという点だ。パーム油の有用性から、アブラヤシ農園が急速に広がり中には不適切な開発が行われた。アブラヤシが繁殖する地域は赤道を挟んだエリアで、東南アジアではインドネシア、南アメリカではアマゾンなど熱帯雨林がある場所となる。同時に動植物の種類がもっとも多いゾーンであり、森林破壊は生物多様性のリスクも高めている。またこの地域は収入が低い地域でもあり、農家の中には劣悪な労働環境、人権侵害の問題も起きている。
しかしパーム油は植物油の中では非常に生産性がよく、大豆油、なたね湯、ひまわり湯などに比べ同じ面積で大量に生産できる。従ってパーム油自体がわるいわけではなく、むしろ地域にとっては必要な産業で、問題はいかにその生産が自然とバランスを保ち、透明性の高い経営を行うことができるか、ということになる。
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パーム農家をサステナブルに
持続可能なパーム油に関する円卓会議 (RSPO)は、パーム農家の実態を調査し、その生産がサステナブルに行われている場合認証を出す活動を行うNGOだ。生産者も消費者も会員になることができる。RSPOはパーム農家を調査し、パーム油がサステナビルに採取できるよう行動規範を定めた原則やクライテリア、そしてindependent Smallholder (ISH) Standard という基準などを提供している。これらによって農家が違法な伐採や奴隷労働のようなことを行っていないことを認証する。パーム油のコンシューマーはこの認証を取得した農家から購入をしたということで、「サステナブルな製品」を目指すことができる。
しかし、パーム油を提供する農家の数は膨大で、上記の日清のサイトをみると、次のような記載もある。
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“RSPOは、生産やサプライチェーンにおける管理方式の違いによって認証モデルを分類しており、「カップヌードル」はマスバランス方式*2で認証を取得しました。
*2 認証パーム油が流通過程で他の非認証パーム油と混合される認証モデル。物理的には非認証油も含んでいるが、その比率が最終利用段階まで厳密に記録されるため、購入した認証農園と認証パーム油の量は保証されます”
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認証をとった農家からだけでは足りないのだろうか。
独立小規模農家を支援
RSPOのオフィスはマレーシアの首都、クアラルンプールにある。最寄駅はKLセントラルから一駅、Bangsarというビジネス街だ。Maybankなどの隣のオフィスビルにあり、訪ねていくとRSPOの活動を丁寧に説明してくれた。開口一番「重要なことはパームオイルを売ることなんです」と言われ意外に感じた。最初に環境のことを言われると思ったがそうではなく、アブラヤシは貧困の多い地域に繁殖し植物油としては最も効率がいい、だからこの産業をサステナブルに守っていかなければならないというのがその活動の根幹にあるということが、深く理解できた。
3つのスタンダード(グローバル企業用、サプライチェーン用、独立小型農家用)を提供するが特に小さな農家のために力を入れているように感じた。彼らの経営改善のために力を入れている。一方で問題ある事例もある。インドネシアのある会社は労働者に対する扱いに問題があり、RSPOは認証を取り下げた。このような活動は重要だが、農家を調査するのも大変な仕事だ。そのコストの価値を利用者や投資家が理解する必要があるが、同時にこれらが衛星データなどによって少しでも調査を助けることは、社会的な課題解決のみならず、業界全体をサステナブルとする一助となるだろう。
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