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生物多様性と衛星データ その6

(宇宙投資の会では、2023年度はこのテーマに注目をしたいと思います。このタイトルでしばらくブログを書きます。こちらにも掲載しています。宇宙投資の会のHPでも掲載しています) 
 
 
ネスレのプレスリリース
 ネスレ・ジャパンは、2018年9月、そのホームページにプレスリリースを発表した。
「ネスレは、パーム油 グローバル サプライチェーンの衛星モニタリングを 100%実施し、森林破 壊ゼロを目指すコミットメントを推進します」
昨年12月にCOP15が開催され、今ならこの重要性を理解する人も国内で増えているだろう。しかし5年前の2018年、このプレスリリースがどのように受け止められたか、今から推量することは難しい。サプライチェーンのモニタリングに衛星写真を使うなどと、なんと壮大な…と思われたのではないだろうか。上記プレスリリースによると、この時にこの取り組みは日本だけではなく世界でも、食品業界として初の取り組みだったようだ。
 
2010年からの取り組み
 ネスレは、なんと2010 年に、「世界の私たちのすべての製品が2020年までに森林破壊に関連しない」という、森林破壊ゼロコミットメントを発表した。この2018年のプレスリリースは、その取り組みを加速させるために、あらたなモニタリングシステムを導入したという発表だった。エアバスとThe Forest Trustによって開発されたStarlingというシステムを導入したのだ。これは高解像度のレーダーと光学衛星写真を組み合わせ、一年中土地や森林の監視を行うことができる。画像分析にはAI機能を用い、森林や土壌の状況を分析し、パームのプランテーションや保護区域の森林を識別するそうだ。もしサプライヤーの地域で問題が生じれば、それを早期に発見することができる。ネスレはRSPO認証をうけた持続可能なパーム油の割合を増やしているが、認証をうけていてもいなくても衛星画像で監視すると上記のプレスリリースでは述べている。
 
Starling
Starlingはそのホームページを見ると、今はネスレ以外にもColgate-Palmolive、食品や洗剤・石鹸などを提供するエクアドルのLaFabril、オーストラリアのパルプミル社などが利用しているようだ。2004年に持続可能なパーム油に関する円卓会議 (RSPO)の認証制度ができそろそろ20年、パームオイルを原料とする多くの企業が取り組みをはじめ、衛星写真を用いて森林を監視するようになった。最初は途方もない話だと誰もが思っただろう。しかしこのような取り組みが、着実にパームオイルの持続可能性と、熱帯雨林、そして宇宙産業を支えている。
 
 
 

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