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香料会社研究開発職の仕事内容とキャリアパス

私は香料会社で研究員をやっているかおりずむと申します。香料会社の研究開発職にはどのような仕事があり、それぞれどのようなキャリアパスを歩むのか考えてみました。

世間的に香料会社の研究開発職は非常にニッチな職業であり、興味もあれば心配もあると思います。そんな悩める就活生、そして香料会社に興味を持ってくださる皆さんに向けて記事を書いております。

私個人の意見ですので、事実とは異なることもあると思います。もし、同業さんがご覧になっていれば、本記事に対する感想やご意見をくださると、記事修正の参考となりますし、より精度の高い情報として進化できるはずです。よろしければご協力よろしくお願いいたします。


それでは、香料会社の研究開発職のキャリアパスについて考えてみましょう。

まず、香料会社の研究開発職と一口に言っても、いろいろな仕事があります。香料会社にある程度共通するであろう仕事を紹介しますね。


1.調香師

flavoristやperfumerとも呼ばれる香料を創る仕事です。香料の香りを覚えて、それを組み合わせて、自在に香りを創るという仕事ですね。香料会社の花形です。しかし、専門性が高過ぎる職種でもあります。調香師はその専門性ゆえに、スペシャリストとしてキャリアを歩む傾向が高いです。

企業によってはジョブローテーションで他部署に異動することもあると思いますが、調香師としての軸を持ちつつ、キャリアを歩む人がほとんどです。

調香と一口に言っても、人それぞれ得意分野を持つことになります。企業の事情や本人の希望が合わさり、気付けばある分野の仕事の割合が多くなり、それを得意分野とする人が多いです。

具体的には、飲料用のフレーバーが得意、フルーツフレーバーが得意、シャンプー用香料が得意、乳化香料が得意、、、のようなイメージです。得意分野の組み合わせで、調香師ごとに個性が出てくるかと思います。基本的には職人のようなキャリアパスを歩むのではないでしょうか?


2.アプリケーション

香料を使って市販商品を試作開発する仕事です。香料会社では、お客様に香料を提案する際に、実際の使用感を簡単に感じてもらうために試作品を作ります。BtoCメーカーの開発職にも近く、調香師に続いて華やかな部署です。自社香料の有効な活用方法を検討したり、お客様にプレゼンしたりと社内外で活躍する仕事です。

アプリケーションは、調香師と比べるとキャリアの幅が広がるのではないかと思います。食品のアプリケーションであれば、食品の規格や法規などに詳しくなりますし、ラボスケールの食品開発者のような専門性を身に着けられます。そして、マーケティングや営業と協力して仕事を進めることも多いので、営業的な視点も身に付きます。

したがって、試作のスペシャリストになるもよし、マーケティング的な視点を持つマルチプレイヤーになるもよし、調香師や営業をコントロールするバランス感覚を持つもよし、と個人的には面白いポジションだと思います。


3.素材研究

天然香料と呼ばれるエキスを新しく開発したり改善したりする役割を持ちます。レモンエッセンス、バニラ香料、コーヒーエキスなど香料にはさまざまな天然香料があります。そして、天然物から香りを抽出する方法によって香りの質が大きく変わるのです。そんな天然香料の製造方法を検討するスケールの大きな仕事かと思います。最近では、食品表示可能なエキスの製法検討を行うこともあります。

素材屋さんは、ラボスケールから工場スケールまで扱うので、ラボで新素材を開発する人になるのか、工場での製法確立のような生産技術を極める人になるのか、はたまた実際の香料製品への落とし込みが上手な人になるのか、といった道が考えられます。扱うものは違えど、BtoCの開発職に近い役割を持つ気がします。


4.香気分析

分析機器を使って、天然物や市販商品の香気成分を分析します。天然物には数百種類の香気成分が含まれており、どんな香気成分がどれくらい含まれているかを数値化して、調香の情報を提供します。香料を開発する際には、必ず香気分析から始まります。また、製品のプロモーションのためのデータ解析を行うこともあります。学会発表など学術的な場に出る機会が多いのは、この分析屋さんになると思います。

分析者は基礎研究と応用研究の割合で、その人の専門性やキャリアが変わってくると思います。基礎研究では、天然物から新規成分を発見するなど、自社の香料製品を中長期的に改善する仕事を担います。企業によっては、博士号を取得して基礎研究のスペシャリストになることもあります。博士号を取得できるかどうかは企業文化に左右されます。企業規模や売上が大きい企業ほど、博士号取得のチャンスが多いです。

応用研究では、短期的な香料開発や製品プロモーションのデータ分析を担います。アプリケーションと同様、調香師や営業とやり取りも多く、バランス感が養われると思います。

5.化学合成


香料成分を化学合成する仕事です。香料とは有機化合物であり、有機化合物を多種類組み合わせて一つの香料製品を創ります。そんな香料原料のコストダウン、新たな原料の製法(合成法)検討などの役割を持ちます。その結果、自社独自の香料原料を持つこともあります。大手ほど化学合成に人員を割いていると思います。

合成屋さんはやはり合成のスペシャリストとなるケースが多いです。素材研究と同様に、ラボスケールから工場スケールまで扱う可能性があるので、どのレベルの仕事が得意かどうかでキャリアパスに変化があると思います。


ジョブローテーションについて

上記の5種類の仕事が香料会社の研究開発職として一般的だと思います。そして、これらの職種間でのジョブローテーションを実施するかは企業によります。ここは企業文化によるところが大きいので、はっきりとお答えできません。ただ、同業他社を見渡す感じだと、ジョブローテーション自体はちゃんと存在します。希望や会社の都合のどちらの事情もありながら異動しているようです。

また、調香師は特殊性が高いので他の部署から調香師になる方は極めて少ないです。この辺が調香師を目指す方を悩ませる問題です。


以上、香料業界の研究に役立つ情報があれば幸いです。ご質問あれば、お気軽にご連絡ください。また、同業他社の皆さん、ご指摘があれば是非ともDMをくださいませm(_ _)m



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