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香気分析法のお話

こんにちは!かおりずむです!

香料分析法という少しマニアックなお話をします。


香気成分を分析する時には、多くの場合、サンプルから香りを濃縮してあげる必要があります。
なぜなら、1kgの天然物に含まれる香気成分量はmg単位しかないからです。


そのため、さまざまな香気分析法があります。
①溶剤抽出
②蒸留
③ヘッドスペース法
④固相抽出

最適な手法は、分析の目的や期限によって変わります。


特徴を簡単にまとめていきます。↓

4つピックアップしていますが、厳密には並列情報ではありません。一つの手法の中に他の手法が複合的に絡み合っています。ただ、感覚的にはこれら4つの中から選択していくイメージがあります。



①溶剤抽出


香気成分が有機溶剤に溶けやすい性質を利用して、ジエチルエーテルなどの有機溶剤と混合することで、有機溶剤に香気成分を集めて濃縮する手法
分液漏斗などを使って水相と有機溶媒相を分けていく、と高校〜大学で経験する化学実験と同じことを行います。時には、センター試験(年がバレる)で出るような酸塩基抽出を使って目的の香気だけを回収することもあります。

〇:簡便
△:脂質などの油に溶けやすい成分が一緒に抽出されてしまう(抽出効率の低下)。

 


②蒸留


香気成分が揮発性の化合物であることを利用して、温度や圧力を調整して揮発成分だけを濃縮する手法

ウイスキー、ブランデー、焼酎のような蒸留酒も香りをより楽しむことができるお酒ですよね。

また、減圧すると沸点が下がります。減圧下で蒸留することで対象サンプルにあまり熱をかけずに香気を回収することができます。香料業界ではSAFEという手法(器具?)が用いられています。

〇:香気成分の濃縮に最適化されている。
△:装置が煩雑。時間がかかる。

 


③ヘッドスペース法

空間に漂う香気成分を濃縮する手法。
サンプル処理がほとんど不要なためスピード重視で分析するとき、前処理など余計なファクターを減らしたいとき、大量の検体数を分析するときに利用されます。

分析者にとっては負担の少ない手法です。サンプル中の香気バランスとサンプルから揮発するヘッドスペースの香気バランスは異なるため、香りを再現したいフレーバリストにとっては扱いにくい手法でもあります。
分析者がヘッドスペース法を提案するのは、目的が十分に達成されるとき、楽をしたいとき、スピード重視なときです。

〇:簡便
△:揮発しにくい香気成分の回収率が低い。

 

 
④固相抽出


シリカゲルなどの香気成分を吸着しやすい樹脂を使って香気成分を濃縮する手法です。twister、monotrapなど便利な製品も多く販売されています。他にはSPMEも④に該当します。しかし、SPMEでヘッドスペースの香気濃縮を行うこともあります。この辺が香気分析の分類を難しくしているように感じます。こちらも③に近い特性を持ちます。


〇:簡便
△:脂質などの香気成分と似た特性を持つ成分が一緒に抽出されてしまう。樹脂の性質にデータが左右される。


端折っていることも多いですが、ざっくりとこんな感じです。
文献を見てみると、
・天然物の香気比較→③や④
・特徴香気成分の解明→①や②
であることが多いです。


 

まとめ


香気成分と一括りにすることが多いのですが、香気成分の中でも特徴は大きく変わります。「水/油に溶けやすい」、「揮発しやすい/しにくい」など、目的に応じて最適な分析手法を選んであげるのが、分析屋さんの役割でもあります!分析する人もただデータを出せばいいわけではなく、対話がとても大事ということですね~。


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