香りの力価、閾値
力価
香りの強さのこと
閾値
香りを認識できる最小濃度のことです。認識閾値と検知閾値に分類されます。
認識閾値
香りの質が分かる最小濃度
検知閾値
香りがしていることが分かる最小濃度
香気成分によって閾値が異なります。閾値が低い化合物ほど、力価が強いです。
同じ濃度でも力価は化合物ごとによって異なるのです!
閾値の低い香気成分は良くも悪くも食品への影響力が強いです!
例えばトリクロロアニソール。これはカビのような香りがする成分で、食品には忌み嫌われています。ワインや清酒の異臭成分として知られています。
その閾値はなんと10ppt
50mプールにスポイト一滴垂らすだけでもニオイが分かるくらいの強さです...!
閾値の低い香気成分は、格好の研究対象です。
天然物には、数百種類もの香気成分が含まれています。もちろん、明らかになっていない成分も多く存在します。
香りの基礎研究の王道は、天然物の香気成分を明らかにすることです。閾値の低い成分は、重要な香気成分であることが多いです。しかし、含有量は極微量です。そこで、研究者はあの手この手を使って成分の探索を行います。
最もポピュラーな手法が匂い嗅ぎ(GC-O)です。分析機器であるGCの出口に鼻を当てて、サンプルから分離されるさまざまな香りを嗅ぐ方法です。
実は、分析機器よりも人間の鼻の方が感度が良いため、通常の機器分析では分からない思わぬ発見をすることができます。
一見楽しそうですが、何十分も同じ姿勢で集中し続ければならないので、忍耐のいる分析です。
まとめ
閾値から脱線しかけましたが、香気成分の重要性は濃度だけでは測れないということを知っていただければと思います!