鰻とメロンみたいな。
「例え」をするくせがあります。芸人が好きだからです。
なんでもないトーンで飛び出した一言が場に刺さるあの瞬間。
HIP-HOPでいうパンチラインというか、何気なく発せられたからこそ猛烈な凄みがあるように感じます。
千原ジュニアや麒麟の川島なんかがよく繰り出している印象です。
ぼやけた雰囲気に名前がついて一気に流れが変わるのが、画面越しに見てても伝わってきてたまにヒリつきます。
(個人的ベスト例えは千原ジュニアが即興で叩き出した「カラーコンタクトの和風変換→目玉の親父の衣替え」。本家であるすゑひろがりずが喰われるという事態が発生した)
ここから本題なのですが、自分は昨日、友人たちとボイスチャットをしていました。
「別にどっちも悪くないんだけど、絶対に噛み合わない人っているよね」みたいな話題。
天啓が来ました。
「それって鰻とメロンみたいな?」
脳内を稲妻が走り、ちょっと視力が良くなったような感覚になりました。
ゾーンです。
例えのゾーン。
「噛み合わない」→「相性が悪い」→「相性が悪いものといえば?」
……「鰻とメロン」。
勝ちました。
勝ちです。いやーすみません、正解を出してしまいました。
そんな雰囲気で友人たちの反応を待っていました。
「鰻とメロン?」
空振りました。
よくよく考えてみれば、その会話に最初から例えなんていらなかったんです。まだボケが起きてない凪の状態。もし例えが必要になるなら、それはボケが出てから。
例えの先置きです。
やっちまった。例えたい欲求が先行し過ぎて、場の空気を読むことが頭から抜け落ちていました。
しかし我ながらいい例えだな、とは思います。
小説の中で交わされる会話だったらウケてたはずなんだけどな。
「鰻とメロン?」
「相性が最悪ってこと」
ダメだ。オシャレだけど補足でもう一言セリフがいるわ。
なかったことにしてください。テレビの編集みたいに。
今週の質問:あなたの上期にコピーをつけてください
ずっとチューニングをしていた半期だと思います。
いや、半期どころじゃないですね。合わせようと寄せに行ったのは一年半くらい前からです。
その成果が出てきたのか、ゆっくりと噛み合っていくようになりました。
自分は性格が悪いので、他人と足並みを揃えたときの歩幅の狭さに苛立ってしまいます。
それは別に美徳ではなくて悪徳だし、距離を取るのが全員にとってプラスになるんだ、といまでも思っています。
ただ少し前に出てみたところ、割と音が打ち合うようになりました。
インターン先にしても、仕事で会う人にしても、大学院にしても、新しく参加した界隈にしても、波長の合う人はまぁまぁいるな、と。
「人生が変わった」なんて、大量印刷されるコピーを自分に巻きつける気はありません。気軽に消費できるタイプの感動巨編ではないので。
ただゆっくりと、噛み合っていく。
何をしても流れていく時間に、少し納得できるようになったと思います。