蒼い恋は運命を飛び越えるーThe Otals「シナリオライターを撃たないで」

音と詞で紡がれた映画

The OtalsはJune FAXxxxxxとMarina Timerによって結成された、シューゲイザー/ドリームポップデュオである。メンバーはカートゥーン調のタッチで描かれたキャラクターで表現されており、キャッチーなビジュアルも強烈な印象を残す。

「シナリオライターを撃たないで」は、瑞々しくキラキラとした音の裏で鳴るノイジーなギターというドリームポップの王道サウンドの流れを組みながら、獰猛に食らいつくように歪んで動くベースが楽曲のスパイスとなっている。サビの後半で解放感を持って高揚するメロディーは鮮烈で、物語が進んでいくような歌詞と相まり、サウンドと歌詞で完成する一本の映画のような印象を受けた。

ドリームポップと蒼さ、若い恋といったテーマはもはや日本のインディーシーンにおいて王道と言える。
しかし、「シナリオライターを撃たないで」で描かれた恋は、泡沫の夢のような、若さと共に終わるような淡く儚い恋ではなく、真摯で愚直な想いではないかと感じた。それ故にエモーショナルなボーカルや歪んだベースの力強さが説得力を持つし、生き急ぐように恋するあの人に触れたいと思う気持ちが切実に伝わる楽曲だ。
物語のような起承転結をもつ歌詞がよりリアルにその恋を描き、聞き手に恋の情景を強烈に想起させる。

「くたばれ僕らのストーリーテラー」と歌うこの曲が描くストーリーの行方を、見守っていたいと思わずにはいられない一曲だ。


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