フランス女性に学んだ「女」の3ヵ条
パリに1年半住んでいた。
ある日学校へ向かうバスの中、初老のマダム(きっと70代くらい)が乗ってきた。綺麗にセットされた白髪、それこそ顔はしわくちゃだったが、不自然にボトックスをするわけでもなく、洋服とマッチしたアイシャドーと唇の縦じまが目立つ赤い口紅を引いたマダムは足元こそゆっくりだったが堂々とバスに乗り込んできた。
これまたしわくちゃの手にはきちんとマニキュアが施され、薄いブルーのシャネル風のスーツは体に沿って仕立てられた質の良いものであることは一目瞭然。だって、フレンチマダムといえど身長が高くスラッとした〜ではなく、小柄で典型的ぽっちゃり型おばあちゃん体型なのに、スーツには肩回りもウエスト周りも余計なシワがなくスッキリと着こなしていた。
そして締めくくりは6〜7センチのハイヒール。
心の中でブラボーマダムと叫んだ!
日本では見ることのない、フレンチマダムの誇り、潔さを感じた。背中は気持ち曲がってカーブが付いているし、ハイヒールに差し込む足もシワシワだけど、かかとのヒール部分に剥がれや傷はなく、歩き方には膝が曲がらず、長年ハイヒールを履いてきた馴染みがある。
バスの中の子供たちを見てみると、シンプルな服装だけど日本と大きく違うのは色の組み合わせ!紫色と緑、ピンクと赤、その組み合わせ、自分で選んだの?と思ってしまうほど。ファッションを率いるフランス、歴史と世界中の芸術が街中に溢れるこの国に生まれた時から見える色、取り入れる色も違うのだと思った。
パリ滞在中は2件のホームステイとルームシェアを何度か経験。その中でフレンチマダムたちに教えられた3つのこと。
ハイヒールは女の命
何があってもルージュ(口紅)
私は私
パリの街は石畳のようにゴツゴツとしているし、犬の散歩でのうんちはほったらかしだし、エスカレーターのついたメトロの駅は少なく、実はヒールで歩くのも大変。でもそう言うこととハイヒールを履くと言うことは全く関係なし。ハイヒールを履いた瞬間から頭ひとつ出るくらい女としての自分の主張が始まる。自分の物語の始まり。
ヨーロッパ人は乾燥気味の気候もあって、髪の毛を毎日洗う習慣はない。洗わない方がむしろヘアスタイルが作りやすかったりする。ブロンドの髪は細い割に腰があって実は日本人の黒髪の方がダメージの弱く(と言うことを後になってヘアスタイリストさんに聞いた)、無造作にまとめてもかなり絵になる。シンプルな組み合わせのスタイルをしても締めくくりはやはり口紅。女の特権の始まり。
私は私。自分のスタイル、生き方、決めるのは自分次第。自分の人生というランウェイは我が道をいく。
こんなこと誰も教えてくれなかった。実際それを取り入れているかというのは別の話だが。ただ、ハイヒールやルージュに代わる、自分を上げてくれる何か勝負ものであれば良くって、それがあることで家を出る瞬間がその日のランウェイの始まり。
自分の人生、自分以外の誰が主役よ?ってマダムに言われたから。
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