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魔の三問目

手話通訳士試験を受けてきた。言い訳を書いておくと,直前に締め切りが立て込んでいて(1週間に大小合わせて3本の原稿を〆た。重なるときは重なる),日本手話モードに頭を切り替える余裕がまるでなかった。しかも締め切りというのは意思決定力のリソースをかなり食い,そのあと単純作業でもしにくいときた。というわけで,勉強は若いときにしろというのは大事である(意思決定をしていると疲れて勉強する気にならない)。直前に某教材をやってみて「OKOK,できるやつはできる」と確認した程度であった。あと手話ニュースは見ていた。ただ,その週のニュースでは「閣僚が」と「地震後の大雨による土砂崩れ災害」ばかり強化されるのであった。

さて,会場。夏の筆記試験のときは「生きてたどり着くミッション」だったが,秋なので涼しくてよかった。蚊がいたので,こういうとき虫除けスプレーを持ち歩ける気が利く人になりたいと思った。

バス停では年配女性ばかりが並んでおり,さらに地元のおばあちゃまがバス停に来て「今日はなんでこんなに混んでるんだろ」とおっしゃったので「今日は資格試験があってですね…」というと,「それは無理そうだ」とばかりに歩いてどこかにいってしまった。地元の方に申し訳ない…。

会場に着くと某通訳学科の若者たちが…。そう,若い人はだいたい関係者だ。手話通訳士試験の合格率の推移とかを見ても,年齢層がとにかくずっと上がっていっている。危機だなあ。私もそういう群に入ってしまうのでなんともいえないのだが。

保育士試験のときに,試験監督が中年男性ばかりだ…と観察していたが,通訳士試験はほぼ女性だった。(ただし面接は女性だった)保育士試験は規模が大きいからバイト募集の枠が広いのだろうか…?

12時10分までに集合で12時40分から個別室への移動で,遅い人は17時くらいまでかかるという噂だったが,なんと2グループ目だったので,あっという間に終わった。

試験内容は,(1) 介護用品の説明(手すりのCLをたくさんやる),(2)サウナから炭酸温泉への趣旨替え,(3)魔の三問目,タイトルは「帰納法」,(4)場面緘黙症の娘への対応についての相談 だった。

魔の三問目,本当に何の話だったかわからなかった。あとのものはタイトルから想像がついて,ある程度それに合わせて訳出できたのだが…。「帰納法」というのがなんなのかわからなかった!という人もいたが,私は「ははぁ,今回は数学の話か」と思って蓋を開けてびっくり,「母が何かを月2回取り寄せている」みたいな話だった。帰納法だから,2度あることは3度あるという話かと思いきや,「それが外れることもある」といっていて,それは「経験則」では…と思ったけど,帰納法…の一般的な説明に使う用法,全然わからん…(私の知っている帰納法じゃなかったのか,読み取れなかったのか…いずれにしても,事前準備なしに通訳するのはつらいことはよくわかった)

というわけで,来年もがんばります! って感じである。難問が出ても調整されてる気配がないのがこの試験。合格率の推移が不安定すぎるし受験料も高いので,特に通訳になる気はないし,と受けるのをやめたんだけど(受けた年の合格率が2%だった),久々に受けたらこのざまである。よろしくないな…。

そんな私ですが,この秋は手話通訳を目指す人のための手話言語学の授業をいくつか…。1コマでがんばるやつと,4コマ,15コマ。1コマは論文の要旨みたいなもので,あとは本でも読んで自分で勉強してくれぃ・・というやつだ。できればトンデモ学説が載ってるような本を読まないように誘導するくらいはしたい。4コマでできることは,「ざくっと地図を紹介する」だ。悩みを解決するためにどのあたりを気にしたら良いか自分で判断するためのガイドマップをお渡しする。15コマも地図を示すんだけど,できることはもうちょっとある。ざくっと地図を広げつつ,必要に応じて掘り下げる部分をきちんと時間を使って掘り下げるのを見せる。すると,他の部分でも掘り下げ方がわかるようになるだろう。さすがにメジャーなトピック全部を掘り下げられるとは思えないが。


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