ドラマ版デフ・ヴォイス待機中
ついに1週間後に、10年以上前から待っていたデフ・ヴォイスのドラマが放映される。
私たち、ずーっと待ってたね。2011年の夏にネット立ち読みを読んで、次の日には買って、そして読み終わっている私……
そして、このあたりで、すでに我々、日本手話関係者である岡さん、木村晴美先生とドラマ化の話をしているときた。
そして、確かに人気のある俳優である草薙剛さんが主演で、ろう者や難聴者が当事者の演技で、ドラマ化することになった。前編・後編でNHK(CMなし)で1時間ちょっと×2週連続でやるので、2時間ドラマよりちょっと長いくらいでじっくり見られそうなのもうれしい。
日本手話ネット民(?)の「わたしたち」は12年間、この時を待っていました。その間に、手話を扱ったドラマは、なんかあやしいのがたまにあって、2021年のアメリカ映画「コーダあいのうた」でろう者の俳優がアカデミー助演俳優賞を取った。そして去年のSilent。あれから一年。
Silentでは、主人公に手話を教えた女友達のろう者の「奈々」を夏帆さんが演じていて、そこに当事者俳優がほしかったよーと嘆いていたところ。
丸山先生が、ろう者の役はろう者に、難聴者の役は難聴者にと結構強くプッシュしていたことは、この講演でも話されていますね。まだの方は是非これも見て待機しましょう。公開期限が12/27になってるので…。
この講演、デフ・ヴォイスの主人公が訪れるリハセンターのモデルになった国リハの手話通訳学科の教官が翻訳を担当してるなど胸アツというか循環的な展開に。私が研究所オープンハウスの翻訳では動員できなかった木村・野口両教官(NHK手話ニュースのキャスターもやっているろう者の通訳者=ろう通訳)が手話通訳者として、後付けの翻訳を担当しているのですよ(※これを翻訳と呼ぼうと言ってるのは私だ)。(ちなみに木村教官は、このドラマに限って手話に関する監修もやってる)
デフ・ヴォイス。これまでの手話ドラマの類例は、日本だと、好きになった人がろう者で、手話で話さないといけなかったのです、みたいなのばっかりなのだけど、それのテーマは「献身」。今回のは違う。主人公は私が何度もツイートしていたように「いじけている」。いじけているので、同じ元某Jタレントで手話ができるようになった三宅健さんではだめだった。草彅剛さんがどれくらい手話が上達したのかはまだよくわからないけど、小説を読む限り、失業して職安に行って、何かできることないんですか? 英語? とか聞かれて「手話ができます」「すごく」と答えるくらい「すごく」手話ができないといけない。
主人公は、「すごく」手話ができる。2分予告の動画には、手話が「すごく」できる通訳じゃないとなかなかちゃんと通訳できない系のろう者のおじいさん(本物)を通訳している草彅剛さんがいる。これを見てるだけでもう、いい。「私たち」はこれが見たかった。視聴率を稼げる彼が、本物のろう者の中にいる。
お洋服のコーディネートで、全部ユニクロだとユニクロにしか見えないけど、いくつかのアイテムだけ本物を入れとくと、ユニクロももっと良い品に見えるんだよ、というアドバイスがある。このドラマも、本物のろう者が出てるから、きっと草彅さんも本物に見えるだろう。たとえ去年まで手話を知らないただの聴者(ただし大人気元アイドルですごい役をやってきた人だけど)だとしても、きっとその世界は、今までのどのドラマよりリアルになっているはずだ。逆もまたしかり。超有名な草彅さんとテレビに映ることで、手話の世界の人たちが、すごいドラマの中の世界になっている。
うん、楽しみ。