16. ルールブックに載らない「裏面接マナー」 河野のジーニアストーク
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16. ルールブックに載らない「裏面接マナー」
教員採用試験の面接では、面接対策本や面接対策講座などで、基本的なマナーやルールが明示的に説明されます。
例えば、服装の規定、面接時の話し方、入退室の手順などは多くの受験者が事前に確認し、準備を整えるものです。
しかし、実際にはそうした「ルールブックには載っていないけれど、面接官の評価に大きく影響するポイント」が存在します。
これがいわゆる「裏面接マナー」です。
これは、形式的なマナーではなく、面接官に良い印象を与えるための細かな配慮や心理的な要素に関係します。
本稿では、一般的な面接マナーとは異なる「裏面接マナー」について考察し、面接官がどのような視点で受験者を評価しているのかを解説します。
1. 第一印象の「空気を読む力」
面接では、最初の印象が非常に重要です。
多くの受験者は、入室時の挨拶や姿勢に注意を払いますが、それ以上に「場の空気を読む力」が求められることがあります。
例えば、面接官が和やかな雰囲気で進めている場合、受験者も適度にリラックスした態度を取ることで、自然なコミュニケーションが生まれます。
一方、面接官が厳格な雰囲気で進行している場合には、過度にフレンドリーな態度は避け、簡潔かつ真摯な受け答えを意識する必要があります。
面接官の表情や口調を観察し、適切な受け答えができるかどうかも評価の対象となります。
また、「相手の発話のリズムに合わせる」ことも重要な裏面接マナーの一つです。
面接官の話すスピードが速い場合、受験者もテンポよく答えることで、対話がスムーズになります。
逆に、ゆっくりと話す面接官には、落ち着いた口調で返答することで、無理なく会話を進めることができます。
このように、相手のペースに適応する力は、学校現場でのコミュニケーション能力とも関係し、評価に影響することがあります。
2. 質問への「適度な簡潔さ」
面接官の質問に対して、的確に答えることは当然のことですが、長すぎる回答は逆効果になることがあります。
受験者の中には、質問に対して詳しく説明しようとするあまり、論点が拡散し、要点が伝わりにくくなるケースがあります。
例えば、「あなたが考える理想の教師像は?」という質問に対して、「生徒に寄り添い、一人ひとりの個性を尊重し、社会に貢献できる力を育む教師です」と簡潔に答えた後、「そのために、私は○○のような実践を大切にしています」と補足する形が理想的です。
一方、「理想の教師とは……」と長々と話し続けると、面接官の集中力が低下し、重要なポイントが伝わらなくなる可能性があります。
また、「簡潔に話すこと」と「内容が薄くなること」は別の問題です。
短くても、要点が明確で、面接官にとって納得感のある回答ができるかどうかが問われます。このバランス感覚を持つことが、裏面接マナーの一つといえます。
3. 面接官のリアクションを読み取る
面接官の表情や反応を観察しながら、適宜、自分の話し方を調整することも重要です。
例えば、面接官が頷いている場合は、その方向で話を続けると良いでしょう。
しかし、顔が曇ったり、腕を組んだりするような反応があれば、話の方向性を変えたり、説明を補足する必要があります。
また、面接官が「もう少し詳しく教えてください」と言った場合、それは単に詳細を求めているのではなく、「この部分の考えが浅い」と感じているサインである可能性があります。
その際は、具体的な事例を交えて話をすることで、面接官の疑問を解消することができます。
4. 適切なアイコンタクトと姿勢
面接では、話の内容だけでなく、姿勢や視線の配り方も評価の対象になります。
適度なアイコンタクトを取ることで、相手に対する誠実さや自信を伝えることができます。
しかし、過剰に目を合わせると、圧迫感を与えることもあるため、適度なバランスを保つことが大切です。
また、姿勢にも注意が必要です。面接中に背中を丸めたり、貧乏ゆすりをしたりすると、落ち着きがない印象を与えます。
逆に、背筋を伸ばし、自然な姿勢で座ることで、信頼感のある受験者として評価されます。
5. 面接の終わり方にも配慮する
面接の最後の印象も、評価に影響を与えることがあります。
退室時には、簡潔に「ありがとうございました」と述べ、丁寧にお辞儀をすることが適切です。
特別に言葉を付け足す必要はなく、落ち着いた態度で退室することが重要です。
また、退室の際は慌てず、静かにドアを閉めるなど、丁寧な動作を心がけることが大切です。
退出時の所作が乱れると、面接全体の印象にも影響を与える可能性があるため、最後まで落ち着いて行動することが求められます。
6. 結論
教員採用試験の面接では、対策本や対策講座で公式に指導されるマナーだけでなく、「裏面接マナー」と呼ばれる細かな配慮が評価に影響を与えることがあります。
面接官の雰囲気や話し方に合わせる力、適度に簡潔な回答をする力、相手のリアクションを読み取る力など、形式的なマナーだけでは補えない要素が重要になります。
また、姿勢やアイコンタクト、面接の終わり方にも注意を払い、総合的に良い印象を与えることが、合格につながる要素となります。
受験者は、こうした細かな点にも意識を向けることで、より高い評価を得ることができるでしょう。
レトリカ教採学院
河野正夫