面接で許されるウソ,許されないウソ,そして,採用側の身勝手で無礼な質問にはウソで答えてもよい。
昨日のお話しの続きとして,面接では,どこまでのウソが許されるのかについて,法的,倫理的,戦略的に,考察を深めていきましょう。
昨日は,「material facts(公的な記録としての事実)に関してはウソをつくことはできない」けれども,「episodic facts(エピソードとしての事実)に関してはウソをつくことができる」という話をしました。
前者は,学歴・職歴・免許状・資格などについてですから,ウソは絶対につけません。
後者は,恋人・婚約者がいるかどうかなどですから,ウソは容易につけます。
結婚しているかどうかは公的な記録としての事実ですから,ウソはつけませんが,結婚を考えている人がいるというのはエピソードとしての事実ですから,ウソはつけます。
では,昨日の難問です。
教採の面接(願書)で,他の自治体も併願していますか?と聞かれたら,ウソをついてもいいでしょうか?
また,両方合格したら,どちらに行きますか?と聞かれたら,ウソをついてもいいでしょうか?
まずは,結論から言いましょう。
どちらもウソをつくことができます。
人によっては,他の自治体を併願している(願書を出して受験する)というのは,公的な記録としての事実だと考える人もいるかもしれませんが,あなたが,現在,正採用の現職の正教諭でなければ,他の自治体の教員採用試験の受験を正直に申告する義務はありません。
正規の教諭である場合は,自治体等の規則で,他の公務員の職を受験する場合には,届け出等の義務がある場合があります。この場合は,ウソはつけません。
でも,非正規の教員の場合,どの自治体を受験しようが,それは自由です。
民間企業の場合も,会社に教採の受験について,届け出る義務はありません。
他の自治体の併願にウソを言う,特に,願書に併願の有無がある場合,ウソを記入することに抵抗を感じる人も多いかもしれません。
でも,次のように考えてみてください。
例えば,あなたが,Aさんという人に結婚のプロボーズをするとします。
Aさんは,そのプロポーズをされて,あなたに対して,「他の人にもプロポーズしているの?」と聞くでしょうか?
そんなことを聞く人はいないでしょう。
就職活動(教員採用試験)でも,本来は同様のはずです。
あなたが,Aという自治体を志望して,受験しているわけですから,Aという自治体の面接官(願書)が,「他の自治体も受験していますか?」と聞くのは,何とも無礼な話です。
Aという自治体としては,本当に自分たちのところに来てくれるのかが気になるのでしょうが,それは,本当に自分との結婚を真剣に考えてくれているのかを心配して,「他の人にもプロポーズしているの?」と聞くのと同じようなものです。
「他の自治体も受験しているのか?」という問いは,採用側の自分勝手で,自己中心的な質問です。
学歴や職歴・免許状や資格に関する質問は,その人の能力・資質などに関連する合理的意味のある質問ですが,他の自治体も併願しているのかどうかを聞くのは,採用側の身勝手な質問です。
採用側の自己中心的で身勝手で,かつ,無礼な質問には,ウソをついても構いません。
ただ,先程も行ったように,あなたが,正採用の教育公務員(正教諭)である場合は,自治体の規則に従う必要があります。
そもそも,併願の事実を告げる必要はありませんから,両方合格したらどちらに行くかの質問が来ることはありません。
仮に,併願の事実を何らかの理由で語る必要があるとしても,目の前の面接官の自治体が第一志望だとウソをつくことに何の問題もありません。
はっきり言って,日本の教採の面接官は,身勝手で,自己都合の質問ばかりします。
そんな質問には,戦略的に嘘をついても,何の問題もありません。
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河野正夫
レトリカ教採学院