旧態依然とした昭和の美学を捨てることが、教採合格への秘訣です!
日本には,21世紀になっても,まだまだ,旧態依然とした昭和の美学が残っているようです。
例えば,就活(就職活動)では,まだまだ,手書きの履歴書やエントリーシートを求める会社が多いですよね。
就活生は,数十社以上,エントリーするとわかっていながら,手書きを求めます。
壮大な時間の無駄です。
昭和の美学では,「履歴書を書く苦労で本気度を見せる」とか「字を見ればその人の人となりがわかる」などと言います。
しかし,文字の書かれ方と,その人の能力(職業人としての資質・適性)の相関関係を調査した証拠はまずありません。
また,就職後は,ほとんどの場合,パソコン等を使って文書をつくるわけですから,手書きの文書を出させることの評価上の意味もわかりません。
主要先進国で,履歴書等を手書きで書かせる会社はまずありません。
でも,日本は昭和の美学で,手書きこそ本気度がわかる,文字の書かれ方でその人がわかるという都市伝説を,いまだに信奉しています。
証拠もなく,調査することもなく,ただただ,昔の美学を信奉しているのです。
教員採用試験でもそんな都市伝説はたくさんありますが,今日は,教採の筆記試験の都市伝説をあげてみますね。
昭和の美学では,次のような,間違ったアドバイスをします。
筆記試験直前の時期は,使い込んだ問題集をもう一度,見直しなさい。決して,新しい問題集に取り組んではいけません。
はっきり言って,根本的に間違っています。
間違っていないというのなら,科学的な根拠を示していただきたいものです。
こういうことを言う人の,ちょっとした思い込みや思い出で,合否に関わることで,無責任なアドバイスを言ってもらっては,多くの受験生が路頭に迷います。
試験直前に,問題集をやるのであれば,新しい問題集にチャレンジすべきです。これが正解です!
できるだけ合理的に検証してみましょう。
1.試験前には,総復習が必要だということは正しいことです。総復習とは,理解したこと,記憶したことの総整理です。総復習は,網羅的なものである必要があります。漏れなく,学んだことを見直す必要があります。
そのためには,問題集より,参考書の方が適切です。参考書は,知っておくべき知識が網羅的に記述されています。問題集は,問題化する時点で,知識が選別化されますので,何千問・何万問もしないかぎりは,すべての知識を網羅することは困難です。
従って,総復習の時期は,問題集より,参考書を使う方が,より効果的です。
2.試験本番で,緊張するのは,本番だという事実以外に,見たことのない問題が目の前に現れる!ということが大きな原因です。
どんなに勉強していても,多くを理解して,多くを記憶していても,試験本番で,初めて見る問題を前にすると,緊張するものです。
たとえ,勉強した範囲でも,これまでやった問題に若干,似ていたとしても,まったく同じ問題はまずありませんから,初対面の問題に接して,緊張します。
この緊張に対して,備えておく必要があります。
試験前にすべきことは,初出の問題に対応するときの,対応力を身に付けることです。
初出の問題と言っても,完全に新しいものではありません。
所見の問題というのは,既に知っている知識・教養を,ちょっと違う視点から取っているだけです。
ですから,初出の問題に対応する力とは,問題の出題の仕方・視点・バラエティに慣れるということに他なりません。
従って,問題集をやるのであれば,やり慣れた問題集ではなく,新しい問題集に挑戦すべきなのです。
新しい問題集には,同じ知識教養を扱っても,出題の仕方やパターンが違う問題がたくさんあるのですから。
記憶した答えを書くという行為ではなく,理解した知識を活用して,答えを導くというのが,問題演習の本当の作法です。
これは,新しい問題で演習すべきなのです。
それなのに,昭和の美学と精神論に騙されて,「試験直前は使い込んだ問題集をやれ!」などという助言を聞いていたら,大きな失敗をします。
試験前に,使い込んだ問題集をやれば,既に何回もやっているのですから,スラスラと解けるでしょう。
しかし,スラスラと解けるのは,問題が解けるからではなく,正解をほぼ覚えているからです。
確かに,その問題の範囲の限られたキーワードだけが試験に必要なのであれば,そういう復習の仕方があるかもしれません。
しかし,その復習の仕方では,問題の出題の角度が変わった瞬間に,答を出すことが難しくなります。
試験前は,知っている知識を,いろいろな角度から,検索し,引き出すことができるかを試しておく必要があります。
だから,新しい問題集にチャレンジすることが重要なのです。
こう言うと,昭和の美学しか持っていない人は,「そんなことはない。この勉強方法で,合格者を出してきた!」と叫ぶことでしょう。
まったく違いますね。
正しくは,その勉強法でも,なんとか合格した人はいるでしょうけれど,その勉強法とは異なった,正しい勉強法を行った人は,もっともっと効果的・効率的に,より多くの人数が合格していると言わなければなりません。
では,分かりやすい,科学的,かつ,合理的な理由をお話ししましょう。
仮に,オリンピック(夏)が中東の乾燥地域の都市で開催されるとします。
その都市は,湿度がほぼゼロで,気温は30度以上になるとします。
日本からその中東の都市でのオリンピックに出場するアスリートは,オリンピック直前にどんな練習をするでしょうか?
走り慣れた日本の競技場でさらに走り込み,思い込みレベルの自信を高めることに専念するでしょうか?
それとも,ちょっと早めに中東の現地に行って,乾燥して高温の現地の気候のもとで走りこむ練習をするのでしょうか?
答えは,歴然としていますね。
当然,答えは,後者です。
現地の気候に慣れ,現地でも好成績(高タイム)が出せるように自分を適応させる必要があります。
教員採用試験の筆記試験も同じです。
試験直前期にすべきは,試験本番に備えることです。
試験本番での,最大の緊張要因は,一見すると初めて出会う初見の問題に遭遇することですから,これに慣れておく必要があります。
何回もやって,既に正解を覚えているような問題集を,試験直前にやる意味は全くありません。
総復習をしたいのであれば,問題集ではなく,参考書を通読(流し読み程度でもよい)すべきです。
問題集をするのであれば,新しい問題集に立ち向かうべきなのです。
「試験直前は,使い慣れた問題集をやる。新たな問題集に手を出さない」というのは,間違った精神論であり,不合格に直結する昭和の美学に過ぎません。
あれだけ勉強したのに,あれだけ理解して,記憶したのに,試験本番では,全然,問題が解けなかったという経験がありませんか?
それは,試験の問題が,初見の問題だったからです。
たとえ,勉強した範囲で,よく考えれば類似の問題であったとしても,試験本番で,試験問題に遭遇したときには,初見の問題に映るわけですから,初見の問題に対応する力を付けておくことが不可欠です。
新しい問題集は,初見の問題に対応する力を付けてくれます。
熱帯地方でのオリンピックなら,熱帯地方で運動ができるように身体を慣らしておくのとまったく同じことです。
学習は科学です。合理的な根拠が必要です。
根拠もなく,昭和の精神論や美学を吹聴するのは,極めて無責任な行為です。
私(河野)は,アメリカ合衆国の教育学大学院で,科学(Science)としての教育学を学びました。
美学ではなく,精神論でもなく,科学(Science)です。
Evidenceもなく,人を惑わすなど,21世紀にはふさわしくありません。
受験者の皆さん,どうか,正しいアドバイスに耳を傾け,科学的かつ合理的に,教採合格を勝ちとってくださいね!!
河野正夫
レトリカ教採学院
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