20. 合否を左右する「最後の一言」の攻防戦 河野のジーニアストーク

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20. 合否を左右する「最後の一言」の攻防戦

教員採用試験の面接では、受験者の教育観や適性が総合的に評価されます。

その中でも、面接の締めくくりとしての「最後の一言」は、合否に影響を与える重要な要素となることがあります。

面接の内容そのものが評価の中心であることは間違いありませんが、最後の一言が面接官に強い印象を残すこともあります。

本稿では、最後の一言が持つ役割と、それをどのように工夫すべきかについて考察します。

1. 最後の一言の重要性

面接の最後には、多くの自治体で「最後に何か伝えたいことはありますか?」といった問いかけがされることがあります。

この質問に対して適切に対応できるかどうかが、面接全体の印象を左右することがあります。

最後の一言には、以下のような役割があります。

面接官に強い印象を残す

面接官は一日に多くの受験者を面接しており、個々の受験者の印象が曖昧になることもあります。

そのため、最後に的確な一言を述べることで、自身の人物像を印象付けることができます。

教育への意欲を再確認する

面接の中で十分に伝えきれなかった自身の教育観や熱意を、最後に簡潔に補足することができます。

誠実さや人柄を示す

面接の最後に落ち着いて適切な言葉を述べることで、冷静さや誠実な態度を印象付けることができます。

逆に、慌てた様子で発言すると、最後の印象が悪くなる可能性があります。

2. 適切な最後の一言とは

最後の一言は、簡潔かつ自然なものであることが求められます。

長々と話しすぎると、かえって冗長な印象を与えてしまうため、簡潔に伝えることが重要です。

以下のような内容が適切と考えられます。

① 教育への意欲を簡潔に伝える

「本日はありがとうございました。私は、生徒一人ひとりの可能性を大切にし、主体的な学びを支える教師を目指します。」

このように、短いながらも自身の教育観を簡潔に述べることで、面接官に良い印象を残すことができます。

② 面接の感謝を述べつつ、自分の強みを補足する

「本日はありがとうございました。私は、どのような環境でも柔軟に対応し、生徒の成長を第一に考えて行動することを心がけています。」

自身の強みを強調しつつ、それが教育現場でどのように活かせるのかを示すことで、面接官に好印象を与えることができます。

③ 簡潔に決意を述べる

「本日はありがとうございました。私は、生徒とともに学び続ける教師を目指し、精一杯努力したいと考えています。」

このように、意欲や決意を端的に伝えることも有効です。

3. 避けるべき発言

最後の一言では、適切な表現を選ぶことが重要ですが、逆に避けるべき表現も存在します。

① 必要以上に長く話しすぎる

「最後なので、もう一度自分の考えをお伝えしたいのですが、私は…」と話し始め、長々と説明を続けると、面接官に冗長な印象を与えてしまいます。

最後の一言はあくまで補足的なものなので、簡潔にまとめることが大切です。

② 過度に謙虚すぎる態度

「至らない点も多いですが、もしご縁がありましたら精一杯頑張りたいと思います。」といった発言は、慎重な姿勢を示しているようでありながら、消極的な印象を与える可能性があります。

受験者としては、自信を持って前向きな姿勢を示すことが望まれます。

③ 合否に関するお願いや情に訴える表現

「どうかよろしくお願いします」や「ぜひ合格させてください」といった表現は、適切ではありません。

面接官は公平な基準で評価を行っており、個人的な情に訴える発言は逆効果になる可能性があります。

4. 最後の一言を効果的に伝えるためのポイント

最後の一言を効果的に伝えるためには、以下の点に留意することが重要です。

① 落ち着いた口調で話す

最後の部分で焦ってしまうと、それまでの面接の印象が悪くなってしまう可能性があります。

落ち着いて、はっきりと話すことを意識しましょう。

② 簡潔にまとめる

最後の一言は1~2文(「文」です。決して「分」ではありません)程度で十分です。短い言葉の中に、自分の思いをしっかりと込めることが大切です。

③ 事前に準備し、自然な言い回しで伝える

最後の一言は事前に考えておくことが望ましいですが、暗記した言葉を機械的に話すのではなく、自然な口調で伝えることが重要です。

5. 結論

教員採用試験の面接において、「最後の一言」は合否を左右する決定的な要素ではありませんが、面接全体の印象を締めくくる重要な役割を果たします。

簡潔で前向きなメッセージを伝えることで、面接官に良い印象を残すことができます。

最後の一言では、教育への意欲を明確に示し、感謝の気持ちを伝えることが重要です。

一方で、長すぎる説明や過度に謙虚すぎる態度、情に訴える発言は避けるべきです。

落ち着いた態度で簡潔に話すことで、受験者としての誠実さと自信を示すことができるでしょう。

面接の締めくくりとして、自分らしい言葉で教育に対する思いを伝えることが、合格への一歩となります。


レトリカ教採学院
河野正夫


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