【面接合格の秘訣:「原稿」ではなく「脚本」を書くという考え方】

【面接合格の秘訣:
「原稿」ではなく「脚本」を書くという考え方】

教員採用試験の面接準備を進める中で、最も重要なポイントは、「原稿」ではなく「脚本」を書くということです。

多くの受験者が面接対策をするとき、まず自分の考えを文章にまとめて「原稿」として準備しがちです。

しかし、これでは面接で失敗するリスクが高くなります。

なぜなら、面接はあくまで「話す」場であり、文字を読む場ではないからです。

例えば、こんな経験はありませんか?

自分で書いた文章を読んでいると、内容がとてもよくまとまっているように感じ、自分の考えがきちんと伝わるはずだと思う。しかし、実際に声に出して話してみると、相手に伝わっていない気がする。

こういったことは、面接でもよく起こります。

これは、文字で考えた「原稿」と、実際に話す「脚本」の違いを意識していないことが原因です。

では、どのようにすれば「脚本」として面接の準備を進められるでしょうか?

いくつかのステップに分けて説明していきます。

1. 原稿ではなく、話すための「脚本」を書く理由

まず、面接では、相手(面接官)に自分の考えや意見を「話す」ことが求められます。

原稿は文章として読むためのものです。

だからこそ、原稿ではなく、相手に伝えるための「脚本」として準備する必要があります。

例えば、こんなことを考えてみてください。

「教育は共育だ」というフレーズ。

文字として読むとすぐに理解できるかもしれませんが、これを面接でそのまま話すとどうでしょうか?

面接官は「共育」という言葉を聞いてもすぐにはピンと来ないかもしれません。

これは、文字としての意味が強すぎるからです。

話す場合は、例えば次のように変えることができます。

「私は、教育というのは、先生と生徒が共に成長していくこと、つまり『共に育つ』という意味を持っていると考えています。」

こうすることで、話す言葉としても意味がすぐに伝わりやすくなります。

このように、「話す」ことを意識して、文章を書き換えるのが「脚本を書く」ということです。

2. 面接は「演技」のようなもの

次に考えてほしいのは、面接は「演技」の一部だということです。

もちろん、面接で嘘をつくという意味ではありません。

しかし、演技と同じように、聞き手に自分の考えをわかりやすく伝えるための準備や工夫が必要です。

実際の演劇や映画の「脚本」は、俳優が話すことを前提にして書かれています。

それと同じように、面接では自分が話す内容を考えながら、脚本を作成しましょう。

例えば、こんなシチュエーションを想像してください。

面接で「あなたの教育方針を教えてください」と聞かれたとします。

文字で考えた原稿では、こんな答えが思いつくかもしれません。

「私の教育方針は、生徒一人ひとりの個性を尊重し、共に成長できるような環境を作ることです。」

一見、完璧な答えに見えます。

しかし、これをただ暗記して面接で話すと、相手に伝わりにくいことがあります。

なぜなら、文章としては綺麗でも、実際に話す際に感情がこもらず、棒読みになってしまうからです。

ここで大事なのが、話し手としての「演技」を考えることです。

自分の言葉で、相手に伝えたい気持ちを込めて話すためには、脚本として、次のように工夫できます。

「私の教育方針は、生徒一人ひとりの個性をしっかりと見つめ、それを尊重することです。そして、生徒と共に成長していく環境を作りたいと思っています。」

このように、短いフレーズで区切り、間を取ることで、感情を込めた話し方ができるようになります。

まるで演技をしているかのように、面接では自分の言葉を生き生きと伝える必要があるのです。

3. 「脚本を書く」ための具体的な方法

では、具体的にどうすれば「脚本」を作成できるのでしょうか?

いくつかのポイントを紹介します。

声に出して確認する

まず、書いた文章を実際に声に出して読んでみましょう。

声に出すことで、話すときに違和感がないか、伝わりやすいかを確認できます。

もし、読んでいて言葉が詰まったり、意味が伝わりにくいと感じたら、その部分を修正します。

短いフレーズで区切る

長い文章は、一気に話すと聞き手に伝わりにくくなります。

そこで、短いフレーズで文章を区切り、自然なリズムで話せるように工夫します。

これにより、面接官も聞きやすくなり、内容が頭に入りやすくなります。

表情や声のトーンも考慮する

面接では言葉だけでなく、表情や声のトーンも重要です。

話す内容に合わせて、適切な表情や声の強弱をつけることで、より説得力が増します。

これも、脚本を作成する際に意識しておくべきポイントです。

話し手を想定する

面接官がどのような立場で聞いているかを考えながら、脚本を作成しましょう。

たとえば、教育委員会の面接官が興味を持つのは、あなたが教師としてどのように貢献できるかです。

そのため、ただ自分の考えを述べるのではなく、面接官が興味を持つような表現やエピソードを取り入れることが重要です。

4. 実際に「脚本」を使った演習

最後に、作成した脚本を基に、実際に声に出して練習することが不可欠です。

練習を通じて、言葉のリズムや抑揚、聞き手の反応を確認しながら、話し方をブラッシュアップしていきましょう。

特に、実際に声に出して練習することで、自分がどれだけ自然に話せているか、相手に伝わりやすいかを確認することができます。

このように、教員採用試験の面接に向けては、「原稿」を書くのではなく、あくまで「脚本」を作成し、自分の言葉で話す準備を進めてください。

面接官にとってわかりやすく、あなたの魅力が伝わる「語り」を作ることで、合格に一歩近づくことができるでしょう。


レトリカ教採学院
河野正夫


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