【レトリカ教養ラジオ】第4回【法令等及び上司の職務上の命令に従う義務】

【レトリカ教養ラジオ】
第4回【法令等及び上司の職務上の命令に従う義務】

地方公務員法第32条の「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」は、公務員がその職務を遂行する際に、法令や条例、地方公共団体の規則などに従うとともに、上司の命令にも忠実に従う義務を定めています。しかし、この義務には上司の命令に無条件で従うことを求めるわけではなく、上司の命令が違法や不当である場合、従わない選択が正当化されることもあります。このため、公務員の行動は、上司の命令と自身の職務上の独立性とのバランスの中で判断されます。

公務員の職務上の独立性とは、職務を遂行する際に、単なる命令に従うだけではなく、法令や倫理に基づいて自主的に判断する責任を持つことを意味します。例えば、上司の命令が法律に違反する場合や、公共の利益に反する場合、公務員はそれに従う義務がないとされています。重要な判例では、公務員が命令に従わなかった場合に、その命令が適法であったか、公共の利益を損なうものではなかったかなど、具体的な状況が詳細に審査されます。

この規定は、公務員が公共の利益のために働く立場であることから、組織の統制を守りつつ、法と倫理に従った職務遂行を求めるものです。そのため、公務員には命令の内容を適切に判断し、法令や倫理に反しない範囲で上司の指示に従うことが求められます。命令の正当性が争われる場合、最終的には個別のケースごとに裁判所や人事機関が判断を下すことになります。


レトリカ教採学院
河野正夫


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