教員採用試験の集団面接での合格の秘訣とは?

教員採用試験での集団面接は,5~6人くらいの受験者が,2~3人の面接官によって,面接されるというカタチが多いです。

集団面接では,何がどう見られ,面接官の脳裏でどんな評価や判断が行われているのか,次の3つのクエスチョンについて,考えていきましょう。

1.集団面接では,何が見られているのか?個人面接とは,何が違うのか?

2.集団面接ならではの注意点とは何か?

3.集団面接の裏話と,集団面接で不合格にならないための秘策とは?

この3つのクエスチョンについて,考察していきます。


1.集団面接では,何が見られているのか?個人面接とは,何が違うのか?

確かに,集団面接でも,面接官の手元にある評価シート・面接票には,個人面接と同じような評価項目が書かれています。

責任感・使命感・協調性・コミュニケーション能力・情熱・指導力などなど,面接官の面接票にある評価項目には,あまり大きな違いはありません。

でも,集団面接と個人面接では,大きく違うところがあります。

それは,集団面接は,意識的であれ,無意識的であれ,他の受験者と,即時に,比較されるということです。

個人面接でも,面接官にとっては,次から次へと面接するわけですから,他の受験者との比較という観点は,当然あります。

でも,集団面接では,5人~6人程度の受験者が並んで,面接官の質問に答えるわけですから,どうしても,他の受験者と瞬時に比較されてしまいます。

優れたところもすぐに見て取れますが,深刻なのは「変な」ところが一瞬にして明らかになってしまうところです。

集団で,順番に面接官の質問に答えていくわけですから,話し方,表情,立ち居振る舞い,雰囲気が,まさにリアルタイムで,他の受験者と比べられてしまいます。

優れたところも見てもらえますが,「変な」ところは,ものすごく目立ってしまうことにもなります。

ここが,集団面接の恐ろしいところです。

「変な」癖や,「変な」雰囲気がある人は,すぐに目立ってしまい,評価が下がってしまうのです。


2.集団面接ならではの注意点とは何か?

上述したように,集団面接では,優れたところをアピールできるというよりも,「変な」部分があれば,すぐにそれが浮き上がってしまいます。

集団面接での最大の注意点は,「変な人」だと思われないようにすることです。

もう一つ,重大な注意点は,集団面接の場合は,いわゆる追加質問がないということです。

個人面接であれば,面接官が質問して,受験者が回答して,さらにその回答に対して,面接官がより詳しいことを聞いてくるという追加質問があります。

集団面接では,この追加質問がありませんので,一つの質問に対しては,1回の回答で,好印象・高評価が採れるようにする必要があります。

面接官が質問をして,その質問で,好印象・高評価が取れるのは,1回,回答する,そのワンチャンスだけです。

追加質問を待って,インパクトのあることを言おうという戦略は使えません。

また,集団面接では,「フルーツバスケット・シンドローム」にならないようにすることも重要です。

「フルーツバスケット・シンドローム」とは,私(河野)の命名ですが,例えば,幼稚園児数人に,「あなたが大好きなものは何ですか?」と聞いて,一番最初に答えた子が,仮に「メロン!」と言ったとすると,次の子は「バナナ!」,そして,その次の子は「みかん!」,そして,「パイナップル!」というように,次々に,果物の名前が出てきます。

でも,質問は,「あなたが大好きなものは何ですか?」でした。最初の子が,偶然に,果物を言ったので,それ以降の子が,みんな,好きな果物を言い始めたという現象です。

本当は,別に果物でなくても,「おもちゃ」でも,「お母さん」でも,「ペットの犬」でも,何でもいいのですよね。

このように,集団では,自分より先に発言した人に,無意識に引っ張られてしまうことがあります。

時には,空気を読むという観点で望ましいこともありますが,フルーツバスケット・シンドロームのようになっては,そもそもの知性が疑われることになります。


3.集団面接の裏話と,集団面接で不合格にならないための秘策とは?

集団面接の裏話というか,集団面接の正体をお話しましょう。

集団面接は,結局は,採用側にとって,「落としたい人を落とす絶好のチャンス」なのです。

集団面接は,1次試験にあることが多いのも,そのことを物語っています。

1次試験は,一般に,筆記試験がメインのところが多いですよね。

ということは,筆記試験で高得点を取れば,ほぼ合格するということになります。

でも,採用側にとっては,筆記試験でいくら高得点であっても,採用したくない人というのはいます。

この人だけは,合格させたくないという人がいるという事実は否定できません。

筆記試験の得点を改竄することはできませんので,集団面接や集団討論(時には,個人面接)を1次試験に併用することで,どんなに筆記試験が高得点でも,落としたい人を落とす絶好の方法を,採用側は手にすることになります。

そして,1次試験で行われる,集団面接(時に,集団討論,短めの個人面接)では,面接官からの追加質問等はなく,質問の一問一答方式です。

つまりは,受験者側に,あまり,自由に自分を表現したり,言い訳したり,面接官を納得させるチャンスは,あまりありません。

また,集団面接の場合は,一人当たりが話せる時間も回数も限られているので,自分の印象を,その限られた発言のチャンスで,大きく変えるというのは,なかなか難しいものがあります。

何が言いたいかと言うと,年齢や学歴・職歴,経歴,バックグラウンドがユニークで,一見すると不利だという人は,戦略がなければ,集団面接で,不合格になる可能性が極めて高いということです。

2次試験(3次試験)である個人面接は,面接官からの追加質問等もあり,じっくりと自分の想いや考えを聞いてもらうこともできます。

でも,集団面接では,それができません。

従って,願書・履歴書上で,変な人,変に見える人は,それだけで,集団面接では,採用側は,「この人は不合格にしよう!」という目で見られています。

どんなに,「それはフェアではない!」と思ってもダメです。

面接は,人が人を選ぶ営みです。

人が人を選ぶ営みの際には,必ず主観が入ります。

それが人間というものです。

ですから,年齢や学歴・職歴,経歴,バックグラウンドがユニークで,一見すると不利だという人は,集団面接の前に,つまり,願書や自己アピール書,エントリーシートで,戦略的に,自分をアピールし,「変な人」だと見られないようにしておく必要があります。

言い換えると,年齢や学歴・職歴,経歴,バックグラウンドがユニークで,一見すると不利だという人は,願書や自己アピール書,エントリーシートを,戦略的に書かなければ,1次試験の集団面接で,確実に不合格にされる可能性が高いということです。

集団面接には,非常に限られた発言のチャンスしかありませんから,自分の一見すると不利なバックグラウンドを弁解したり,説明したりする機会はありません。

そして,採用側は,その「変な」バックグラウンドのせいで,あなたを不合格にしようかと思っています。

その不合格を合格にするためには,集団面接の前に,あなたの魅力や資質・適性を採用側に伝える必要があります。

だからこそ,願書,自己アピール書,エントリーシートが重要になってくるのです。

ここで,はっきりと言っておくと,年齢や学歴・職歴,経歴,バックグラウンドがユニークで,一見すると不利だという人が,集団面接で,合格を勝ち取るためには,戦略的に願書,自己アピール書,エントリーシートを書く必要があり,それが恐らく,唯一の合格への方向性だということです。

既に,自己アピール書,エントリーシート,教育実績報告書などを提出している場合は,それを踏まえた上で,弱みを強みにする面接の語り戦略を立案することが絶対的に必要です。

いい加減に集団面接に臨むと,その時点で,不合格が決まってしまいますから。


河野正夫
レトリカ教採学院

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